2025年11月15日土曜日

新しい生活様式を取り入れる

2025年11月も後半に入ります。早いもので今年も残り僅かとなりました。管理組合では通常多くの案件を抱えております。未解決案件については極力年内に目途が立つよう取り組んでまいりましょう。今回はコロナ後の新しい生活様式について説明いたします。

新型コロナが普通の感染症になってから、早くも2年半が経過します。コロナを機に新しい生活様式を取り入れた管理組合がある一方、ほとんど手を付けていない管理組合も多いと思います。コロナを機にマンションの管理が2極化している状況です。



コロナ対策の生活用式は、管理組合の活動に親和性が高く、新しい生活様式を積極的に取り入れたマンションと、取り入れていないマンションとでは、今後、管理組合の活動に大きな差が出ます。

効果的かつ効率的にマンションの管理を行い、資産価値を維持していくためには、このタイミングで新しい生活様式を積極的に取り入れていく必要があります。

集会室に一同に会し会議をするのではなく、各住戸から会議に参加できるようにする取り組みは、新型コロナの感染拡大を防止する目的でスタートしましたが、コロナ禍でインフラ整備を整えたマンションは、コロナが過ぎ去った後も、効果的かつ効率的に管理組合を運営することができています。

・会議の開催方法を「リアル」から「リモート」へ変更する

・会議資料の配布を「紙」から「電子データ」へ変更する

集会室にリモート会議ができるインフラ(Wi-Fi、ノートパソコン、マイク、スピーカーなど)を整備するとともに、資料の電子データ(PDF)化を進めていく必要があります。

リモートでの参加が難しい方もいますので、先ずは、リモート参加とリアル参加の併用からスタートし、有事の際は全員リモートで参加できる体制を構築しましょう。

管理組合の予算に「Afterコロナ費用」(新生活様式対応)枠を確保し、積極的に進めていく必要があります。

Afterコロナの取り組みを行うことで、マンションの資産価値を守っていきましょう!

2025年11月8日土曜日

Afterコロナのマンションの苦情について

2025年11月も中旬に入ります。早いもので街はクリスマス仕様になっております。年末年始もすぐそこですね。管理組合で今年発生した問題は、可能な限り今年のうちに解決できるよう進めて参りましょう。今回はコロナ後に管理組合に寄せられる区分所有者からの苦情について説明たします。

コロナ禍を経て、リモートワークが普及するなど、マンションの生活様式が一変しました。コロナ前は日中マンションに居なかった方の多くが、マンションの中で在宅勤務をしております。日中におけるマンション内の人口密度は皆さんが考えている以上に高い状態となっております。



一方、以前からどこのマンションでも生じる3大苦情(タバコ・騒音・ペット)はコロナ以降も同様に生じています。苦情の原因を作る側も、被害を受ける側も人数が増えているので、トラブルになりやすい状況にあります。

コロナ前は勤務先の喫煙室でタバコを吸っていた人が、Afterコロナはマンション内の自室で吸います。窓を開けて吸う場合でも、窓を閉め換気扇の下で吸う場合でも、タバコの煙はバルコニーや廊下など共用部に流れていきます。

コロナ前は夜に洗濯していた方も、Afterコロナは日中に洗濯してバルコニーに干します。近隣住戸のタバコの煙が共用部を通じて流入し、洗濯物に付着するトラブルが想定されます。

ペットを散歩させるとき、どうしてもエレベーターやエントランスなど共用部を通ります。Afterコロナは、日中マンション内の人口密度が高くなるため、ペットを連れた状態で多くの住民とすれ違います。動物嫌いの住民と接する機会が増えることによるトラブルが想定されます。

生活音は人口密度に応じて発生するため、日中の在宅率が上がるAfterコロナは、騒音トラブルの増加が想定されます。

人口密度が高いと、ストレスも高くなりますので、予期せず大きなトラブルに発展する可能性があります。このような問題が生じた時は、直接苦情を言うのではなく、理事や、管理会社に相談するところから始めましょう。

相談を受けた理事や管理会社は、Afterコロナ特有の事情を周知する文書を作成し、掲示・投函します。トラブルが起こりやすい状況になっていることを、住民に周知することが必要です。

Afterコロナも快適な居住空間を保つことで、マンションの資産価値を守っていきましょう!

2025年11月1日土曜日

マンションの感染症対策

2025年も11月に入りました。早いもので今年も残すところあと1ヵ月余りです。皆さんのマンションでは積み残し案件はありませんか?多くのマンションでは課題山積だと思います。年内に少しでも解決できるよう全力を尽くしましょう。今回はマンションの感染症対策について説明いたします。




新型コロナウイルスが終息し2年半が経過しました。最近は多くの人がマスクを外して外出するようになりました。世界的にも一巡し、感染しても軽症のケースが多く、コロナを恐れる必要はほぼ無くなったといっても過言ではないようです。

しかし、コロナの他にも感染症はあります。コロナ禍での経験を教訓とし、いつどのような感染症が発生しても対応できるよう、管理組合として備えを万全にしておく必要があります。

感染症が発生した場合、管理組合は、管理会社と協力し、マンション内の集団感染を防いでいく必要があります。先ず、居住者の皆様に以下の内容を周知し注意喚起を促します。

・居住者、スタッフ(フロント・清掃・点検など)の安全確保

・除菌の徹底(インターホン、エレベータのボタン、ゴミ捨て場のドアノブ等)

・スタッフの時差出勤、勤務時間変更(体調不良時の出勤見合わせ等)

・住戸内に立ち入りが必要な点検(消防設備点検・排水管清掃等)の延期

・理事会、総会の開催延期又は、リモートでの実施

マンション内にはコロナ禍で厚生労働省が注意喚起した3つの密(密閉空間、密集場所、密接場面)が存在(エレベーター、エントランス、ゴミ捨て場等)します。集会室で行われる理事会や総会は、その典型になります。密閉空間にならないよう、広い場所を確保した上で窓を開けてるなど換気にも気を配りましょう。

密集場所にならないようリモートで参加できる環境を整え、リモートでの参加を促しましょう。密接場面とならないよう、事前に書面で説明や意見収集を済ませ、当日は最終的な意思確認に限るなど、運営方法を工夫しましょう。

マンションによっては、これらの対策が難しいこともあると思います。国土交通省が公表している標準管理規約では、年1回の開催が義務付けられています(第42条)が、感染症がまん延している状況で、従来通りの方法で総会を強行することを求めるものではありません。総会を管理会社の事務所や理事長の自宅で開催し、区分所有者には議決権行使書又は、委任状(書面)で意思表示頂く方法もあります。

また、感染症が終息するまで、総会を延期しても法令違反とならないとする法務省の見解も出ております。

理事会や総会は、感染拡大防止策を取った上で、「3つの密」を防ぐ形で実施するか、延期することが求められます。

感染症対策を徹底する一方で、区分所有者(居住者)の中に保健所から自宅療養を指示されている方がいる可能性もあるため、区分所有者のプライバシーにも配慮が必要になります。

緊急時に適切な対応ができる体制を整えておくことで、マンションの資産価値を守っていきましょう!

2025年10月25日土曜日

修繕積立金を過不足なく積み立てよう

2025年10月も最終週になります。早いものと今年も残すところ2ヵ月余りとなりました。皆さま如何お過ごしでしょうか?積み残し案件がある管理組合は今年のうちに問題を解決できるよう全力を尽くしましょう。今回は修繕積立金の設定について説明いたします。




修繕積立金の積立㎡あたりの単価/月】
平均積立額 205円/㎡(東日本不動産流機構調べ
必要積立額 241円/㎡(国土交通省調べ

単純計算で月額36円/㎡(241円-205円)の不足、70㎡の部屋に換算すると、2,520円/月不足するので、平均的な大規模修繕工事の周期を15年として試算すると、約45万円/戸(2,520円×12か月×15年)不足する計算です。不足したままの状態で放置すると、大規模修繕工事実施時の区分所有者が一時金として不足額を負担するか、管理組合で借入を行い、将来の積立額を値上げして賄うことになります。

一時金の徴収や借入金の実施が総会で否決されると、十分な修繕工事ができなくなり、マンションの資産価値を押し下げる原因になります。

毎月の積立額が平均より低い場合は、積立不足の可能性が高いです。大規模修繕工事までの長期修繕計画を策定(又は更新)し、工事に必要な金額と、工事までの年月から必要な月々の積立額を試算してください。実際に不足している場合は、毎月徴収する積立額を改定する必要があります。

それでは何故、積立額が大規模修繕工事に必要な金額より低く設定されているのでしょうか?マンション竣工後、最初の積立金を設定するのは、売主(デベロッパー)です。

買主が月々負担する積立額を高く設定すると販売が難しくなるため、売主はマンションの販売を最優先し、積立額を低く設定します。従って、竣工時に設定された積立額では実際に工事で必要となる金額に満たないケースが多くなります。

理事会はできるだけ早い段階で、次回以降の大規模修繕工事で必要となる額を確保できるよう、月々の積立額改定案を総会へ上程することが求められます。区分所有者は総会でそれを速やかに承認可決し、修繕積立金が不足する状況を解消しましょう。これで一時金徴収や、借入を免れることができます。

修繕積立金が不足していると、買い手が付きにくくなり、マンションの資産価値下落の原因となります。

修繕積立金を適切な金額まで積み立てることで、マンションの資産価値を守っていきましょう。

2025年10月18日土曜日

理事会を有効に機能させよう


2025年10月も下旬に入っていきます。過ごしやすい日々とともに、局地的豪雨による浸水被害のリスクが高まっている昨今、管理組合として適切に対応する必要があります。今回はマンション管理組合理事会の役員の選任について説明いたします。

マンションの役員は理事と監事で構成されており、任期は各マンションの管理規約によって定められております。1年又は2年ということが多く、報酬を定めているケースもありますが、基本的には無報酬としているマンションがほとんどです。


決算期末が3月のマンションでは、毎年3月頃、次期役員をどうするか理事会で話し合われます。まず、立候補者を募り、足りない場合は、輪番表から順番にお声がけしていく方法が一般的です。

4月頃に理事会で役員選任案を決定し、5月頃に開催される総会に上程します。総会で承認を受けて正式に選任となります。

総会での承認を受けて、6月頃新メンバーによる最初の理事会が開催されます。第1回目は顔合わせと年間スケジュールを確認する程度で終わってしまうので、実質的な活動は夏以降になります。夏から冬にかけて何回か理事会を経た段階で、次期役員選任の話になります。

任期が1年の場合は、ようやく慣れてきたところで交代ということになります。やり残したことも多く、名残惜しい思いがある一方、夜間や休日に時間を取られることの煩わしさから、留任せず、1年で退任するケースがほとんどだと思います。

理事の多くが新任の場合、管理組合の状況を把握するのに時間がかかり、「管理会社に適切な指示を出す」という本来の役割を果たすことが難しくなります。

管理会社に適切な指示を出すことができないと、管理組合の活動が停滞してしまうので、その点注意が必要です。

任期が2年で、毎年半数を改選する方式にすると、管理組合の事情に通じた2年目の理事が1年目の理事に引継ぎをしながら、管理会社に適切に指示を出すことができます。

管理組合の運営という観点からは理想的ですが、任期が長いことで就任頂けない可能性が出てきます。

多くの方に役員をを受けてもらえるよう任期は1年としつつ、留任を推奨する方法も一つです。理事会が活性化すると、良い雰囲気で運営できるようになり、留任に応じる役員も増えてきます。理事会活動を充実させることで、好循環を作っていけるよう心掛けていきましょう。

理事会を有効に機能させることによって、マンションの資産価値を守っていきましょう!

2025年10月11日土曜日

マンション管理組合の会計について

 2025年10月も半分が過ぎました。今年も残すところあと2ヵ月余りです。早いものですね。ところがまだ夏日があります。局地的豪雨への警戒も必要です。管理組合としてマンションの治水に万全を尽くしましょう。今回はマンションの会計について説明いたします。




総会の資料には、「貸借対照表」や「収支報告書」という書類が必ず付いています。管理組合が活動を数字の面から示す重要な書類です。

理事会や総会では、管理会社が時間をかけて説明しますが、勘定科目や会計用語が良く分からないことがあると思います。

難しく考えず、ポイントをおさえることで、理解を深めて頂ければと思います。

「区分」は、「一般会計」と「積立金会計」の2つに分かれていることが多いです。

「一般会計」は、管理会社(管理委託費)・業者(日常修繕費)への支払を管理する区分、

「積立金会計」は、長期修繕計画に基づき、大規模修繕工事等の支払を管理する区分です。

「会計期間」は、4月1日から3月31日のように1年で設定されております。

「貸借対照表」は、3月31日時点のマンションの財産の状態を示しています。

「収支報告書」は、1年間のお金の流れ(収入と支出)が記載されています。

貸借対照表のポイントは「現金預金」と「未収入金」になります。「現金預金」は不正が起こりやすい科目になりますので、銀行の預金残高と一致していることを確認して下さい。

「未収入金」には区分所有者が管理費を滞納している場合、その金額が表示されます。期末(3月31日時点)で未収入金がある場合、その内容と現在の状態を確認して下さい。

総会前最後の理事会時点(4月中旬から下旬)で回収できていなければ、遅くとも総会(5月中旬から下旬)までには回収し、総会出席者に「期末時点での未収入金は既に回収済みです。」と報告できるようにしましょう。

収支報告書のポイントは区分所有者からの管理費収入、駐車場収入、管理会社への管理委託費支払になります。これら金額の大きい項目が前期と比較して金額に大きな差が無いか?確認し、差があればその内容を管理会社に確認するようにして下さい。

貸借対照用と収支報告書は管理会社が作成し、監事が監査した後、総会前最後の理事会に提出されます。理事会で承認後、総会に上程され、最後は総会で区分所有者が承認します。

会計資料(貸借対照表・収支報告書)のポイントをおさえることで、マンションの資産価値を守っていきましょう!

2025年10月4日土曜日

修繕積立金を充実させよう

2025年10月に入りました。早いですね。残暑が厳しいと言われておりましたがここにきて気温は大分落ち着いてきました。しかし、海水温が高い状況は変わらないので、街の排水能力を超える局地的豪雨には引き続き注意が必要です。今回は修繕積立金の設定について説明いたします。



修繕積立金の積立㎡あたりの単価/月】
平均積立額 205円/㎡(東日本不動産流機構調べ
必要積立額 241円/㎡(国土交通省調べ)⇦ ガイドライン10ページ参照

単純計算で月額36円/㎡(241円-205円)の不足、70㎡の部屋に換算すると、2,520円/月不足するので、平均的な大規模修繕工事の周期を15年として試算すると、約45万円/戸(2,520円×12か月×15年)不足する計算です。

不足したままの状態で放置すると、大規模修繕工事実施時の区分所有者が一時金として不足額を負担するか、管理組合で借入を行い、将来の積立額を値上げして賄うことになります。

一時金の徴収や借入金の実施が総会で否決されると、十分な修繕工事ができなくなり、マンションの資産価値を押し下げる原因になります。

毎月の積立額が平均より低い場合は、積立不足の可能性が高いです。大規模修繕工事までの長期修繕計画を策定(又は更新)し、工事に必要な金額と、工事までの年月から必要な月々の積立額を試算してください。実際に不足している場合は、毎月徴収する積立額を改定する必要があります。

それでは何故、積立額が大規模修繕工事に必要な金額より低く設定されているのでしょうか?マンション竣工後、最初の積立金を設定するのは、売主(デベロッパー)です。

買主が月々負担する積立額を高く設定すると販売が難しくなるため、売主はマンションの販売を最優先し、積立額を低く設定します。従って、竣工時に設定された積立額では実際に工事で必要となる金額に満たないケースが多くなります。

理事会はできるだけ早い段階で、次回以降の大規模修繕工事で必要となる額を確保できるよう、月々の積立額改定案を総会へ上程することが求められます。区分所有者は総会でそれを速やかに承認可決し、修繕積立金が不足する状況を解消しましょう。これで一時金徴収や、借入を免れることができます。

修繕積立金が不足していると、買い手が付きにくくなり、マンションの資産価値下落の原因となります。

毎月適切な額を積み立てることで、マンションの資産価値を守っていきましょう!

新しい生活様式を取り入れる

2025年11月も後半に入ります。早いもので今年も残り僅かとなりました。管理組合では通常多くの案件を抱えております。未解決案件については極力年内に目途が立つよう取り組んでまいりましょう。今回はコロナ後の新しい生活様式について説明いたします。 新型コロナが普通の感染症になってから、...