2025年9月27日土曜日

マンションの資産価値を維持しよう

2025年9月もいよいよ終わりですね。暦の上では秋本番ですが、まだ残暑が続いています。しかも秋晴れとは程遠く、秋雨前線によるゲリラ豪雨に伴う内水氾濫が頻発しております。浸水被害を防ぐため、管理組合として対策を施していきましょう。今回は本ブログの原点となる「マンションの資産価値」維持向上について改めて説明いたします。



資産価値で一番分かり易い指標が、中古販売価格です。築年数や駅からの距離が中古販売価格に影響を与えますが、これらは新築時の分譲価格に織り込まれています。「マンションの資産価値を維持する」とは、築年数が経っても分譲価格を維持することを意味しています。(中古で購入された方は、購入価格の維持が目標になります。)

Q)分譲価格を維持するにはどうすればよいでしょうか?

A)管理を適切に行うことで、分譲価格は維持されます。

具体的な項目としては、以下の5つが挙げられます。

・管理組合(理事・監事)が適切に機能している(区分所有者の意識が高い)

・管理会社から対価(管理委託費)に見合ったサービスの提供を受けている

・近隣のマンションンと比較して、㎡あたりの管理費や修繕積立金が高くない

・大規模修繕工事が適切に実施されている(設計監理会社の力量が適切)

・長期修繕計画が定期的に見直されている(管理会社の力量が適切)


区分所有者が管理組合の意義を正しく理解し、積極的に活動に参加することが最も大事です。自分の試算を自分で守る。極めて単純なことですが、自分の資産に関心が薄かったり、他人任せにしている人が多いのが現実です。

分譲マンションは自らの生活を支える大事な資産であることを再認識し、中古販売価格を下落させることがないよう、活動に積極的に参加しましょう。

「管理組合の役員になって、活動に積極的に参加する」ことを、面倒と考える方もいますが、実際に面倒なことを実施するのは、マンション管理会社、設計監理会社(大規模修繕工事のコンサルタント)及び、それらの関連会社になります。

区分所有者は毎月管理費を支払って、彼らに業務を委託しているのですから、自ら面倒なことをする必要はありません。自らは、役員会で決めたことを彼らに任せ、適切に実施されているかチエックするだけです。

分譲価格(購入価格)の維持を目標に活動することで、マンションの資産価値を守っていきましょう!

2025年9月20日土曜日

大規模修繕工事の長周期化を図ろう


2025年9月も下旬に入ります。まだ暑い日もありますが、大分過ごしやすい日が増えてきました。管理組合の活動を活性化し積み残し案件を前に進めていきましょう。今回は大規模修繕工事の長周期化について説明いたします。



大規模修繕工事とは、マンションの外側に足場を組む必要がある大掛かりな工事で、長期修繕計画では一般的に10年から15年周期で組まれています。

国土交通省の調査では、1回あたり140万円/戸程度かかると言われており、第1回目を実施するタイミングは、第2回目以降の工事スケジュールにも影響を及ぼすため、慎重に検討する必要があります。

第1回目の工事は外壁(タイル)の補修や防水工事が中心になります。タイルの浮きや、水漏れがある場合は、長期修繕計画を前倒し、竣工後10年未満でも行う必要がある一方、タイルや防水の状態が良い場合は、竣工後20年程度まで引き延ばすことができます。

前者の場合は10年周期、後者の場合は20年周期となり、工事総額は2倍近くの差がでます。

タイルの浮きや、水漏れがあり、長期修繕計画の前倒しを余儀なくされる場合は、その原因は竣工時(引渡し前)の施工不良にあると考えられます。

設計監理会社(大規模修繕工事のコンサルタント会社)の協力を得て、売主に責任を追及しましょう。このような場合、区分所有者の皆さんからお預かりしている修繕積立金で工事費用を賄うと、将来の財政が枯渇してしまいますので注意が必要です。

一方、外壁タイルや屋上防水の状態が良い場合は、長期修繕計画通りに工事を進める必要はありません。設計監理会社の協力を得て、工事周期の延期を検討しましょう。

近年の技術革新で、工事素材の質は飛躍的に向上しており、素材の耐用年数は想像以上に伸びています。長期修繕計画策定時に15年周期と想定していても、実際には20年周期に延ばすことが可能な場合が多くあります。

細かな不具合を日常修繕で積極艇に補修することで、大規模修繕工事を先に延ばし、工事総額を大幅に削減することができます。

そのためには、管理会社や設計監理会社に対し、「不要不急の工事を行わず、修繕積立金を充実させる。」という管理組合の基本方針を、日頃から伝えておくことが重要です。

可能な限り大規模修繕工事の周期を長くし、財政を充実させることで、マンションの資産価値を守っていきましょう!

2025年9月13日土曜日

マンション理事会を有効に機能させる。

 2025年9月も中旬に入ります。暑い日が続く一方、天候が不安定で排水能力を大きく超える局地的豪雨も多発しております。共用部の電気系統が浸水すると復旧に時間を要しますので、浸水を防ぐための対策を施しましょう。今回は役員(理事・監事)の選任について説明いたします。

マンションの役員は理事と監事で構成されており、任期は各マンションの管理規約によって定められております。1年又は2年ということが多く、報酬を定めているケースもありますが、基本的には無報酬としているマンションがほとんどです。



決算期末が3月のマンションでは、毎年3月頃、次期役員をどうするか理事会で話し合われます。まず、立候補者を募り、足りない場合は、輪番表から順番にお声がけしていく方法が一般的です。

4月頃に理事会で役員選任案を決定し、5月頃に開催される総会に上程します。総会で承認を受けて正式に選任となります。

総会での承認を受けて、6月頃新メンバーによる最初の理事会が開催されます。第1回目は顔合わせと年間スケジュールを確認する程度で終わってしまうので、実質的な活動は夏以降になります。夏から冬にかけて何回か理事会を経た段階で、次期役員選任の話になります。

任期が1年の場合は、ようやく慣れてきたところで交代ということになります。やり残したことも多く、名残惜しい思いがある一方、夜間や休日に時間を取られることの煩わしさから、留任せず、1年で退任するケースがほとんどだと思います。

理事の多くが新任の場合、管理組合の状況を把握するのに時間がかかり、「管理会社に適切な指示を出す」という本来の役割を果たすことが難しくなります。

管理会社に適切な指示を出すことができないと、管理組合の活動が停滞してしまうので、その点注意が必要です。

任期が2年で、毎年半数を改選する方式にすると、管理組合の事情に通じた2年目の理事が1年目の理事に引継ぎをしながら、管理会社に適切に指示を出すことができます。

管理組合の運営という観点からは理想的ですが、任期が長いことで就任頂けない可能性が出てきます。

多くの方に役員をを受けてもらえるよう任期は1年としつつ、留任を推奨する方法も一つです。理事会が活性化すると、良い雰囲気で運営できるようになり、留任に応じる役員も増えてきます。理事会活動を充実させることで、好循環を作っていけるよう心掛けていきましょう。

理事会を有効に機能させることによって、マンションの資産価値を守っていきましょう!

2025年9月6日土曜日

管理会社の変更(リプレイス)について

2025年も9月に入りました。秋到来ですが、まだまだ猛暑日が続いております。11月ころまでは夏日が続くという予測もありますので、それを前提に準備を整えておきましょう。異常気象の影響は気温だけではありません。全国各地で豪雨が発生しておりますので、その点、留意しましょう。今回は管理会社の変更(リプレイス)について説明いたします。




区分所有者が管理会社に満足できないと、管理会社の変更を検討することになります。実際に変更するか否かに関わらず、一度検討してみるのが良いと思います。一番のポイントは「対価に見合ったサービスを受けているか否か」になります。管理会社との契約は通常、国土交通省が公表している標準管理契約書に準拠していますので、実際のところは契約上のサービスの内容に大きな差は無いと考えられます。

先ず、管理費を確認しましょう。毎月支払っている管理費の大部分は管理委託費として、管理会社に支払われます。管理費が他のマンションに比べて高いか、安いかをチェックします。東日本不動産流通機構が公表している首都圏中古マンションの管理費・修繕積立金によると、平均で216円/㎡(1戸あたり13,847円)となっております。毎月引き落とされている金額には修繕積立金も含まれているので、内訳を確認して下さい。



次に、サービスの質を確認します。サービスの質は、担当者の能力と態度で決まります。管理会社が管理組合(理事会)から指示された内容を忠実に対応できれば、管理組合の満足度は高まります。どこの管理会社にも優秀な管理マンは必ず存在するので、担当者に満足がいかなければ、管理会社の交代を検討する前に優秀な担当者に変更してもらいましょう。


管理費の金額が平均並みで、担当者にも大きな不満や問題がないのであれば、管理会社を変更する意味はありません。管理会社の担当者は管理業務主任者やマンション管理士といったマンション管理に関する国家資格を持っている人も多いです。もちろん、資格があるから仕事ができる訳ではありませんが、管理組合(理事会)が彼らの潜在能力を引き出し、ハンドリングすることも重要です。これができなければ、仮に管理会社を変更しても同じ結果になります。

管理組合(理事会)は、毎月管理会社に高いお金を支払っているのですから、管理会社の仕事ぶりに関心を示しましょう。委託者からの視線を感じれば、自ずときちんと仕事をするものです。担当者と適切にコミュニケーションを取ることで、不満や問題の多くは改善されます。

対価に見合ったサービスを受けることで、マンションの資産価値を守っていきましょう!

2025年8月30日土曜日

管理組合と管理会社の情報格差について

2025年も9月に入りました。まだまだ暑い日が続きますね。台風や局地的豪雨など異常気象に伴う自然災害に注意が必要です。今回は管理組合と管理会社の情報格差について説明します。

・管理会社⇒マンション管理のプロ集団(管理受託者)
・管理組合⇒マンション管理の素人集団(管理委託者)



管理会社の社員の中には、管理業務主任者やマンション管理士といったマンション管理に関する国家資格を持っている人もいます。国家資格を持たない人でも長年に渡り複数のマンションの管理を担う中で得た知識や経験があります。

マンション管理のノウハウが蓄積されているという意味で、管理会社はマンション管理のプロと言えます。

一方、管理組合を構成するのはマンションの(区分)所有者であり、必ずしもマンション管理の知識があるわけではありません。どこにでもいる普通の人です。

関係業界に勤めている人もいるでしょうが、業界のしがらみもあり、自分が所有するマンションの管理をするために力を発揮するのは難しいことが多いようです。その点、管理組合はマンション管理の素人といえます。

プロと素人の間には大きな「情報格差」(知識や経験の差)があります。管理会社は「情報格差」を利用し、手抜きをしようとします。

手抜きをしても素人である管理組合にバレないと考えているからです。素人である管理組合は、毎月高額のお金を支払い、マンション管理業務を委託しているので、その対価に見合ったサービスを受ける権利があります。プロである管理会社に騙されてはいけません。

管理組合は「情報格差」があることを正しく認識し、それを踏まえて管理会社に向き合う必要があります。

「情報格差」を埋めるために管理委託費をお支払いしていることを管理会社に伝えましょう。「情報格差の悪用は決して許さない」という姿勢を見せることで、管理会社を牽制し、対価に見合ったサービスを引き出すことが重要です。

管理会社を牽制する方法
・管理会社の担当者と最低でも週2回は、電話やメールで等連絡を取り合う
・理事会の1週間前にレジュメを提出させ、一通り目を通してから出席する

これを意識して取り組むだけでも、管理会社に与える印象は大分変ります。管理組合は管理会社になめられてはいけません。管理会社の業務内容に関心を持ち、管理会社に丸投げしないことが重要になります。

「情報格差」の存在を正しく認識した上で、管理会社と対等に向き合うことで、マンションの資産価値を守っていきましょう!

2025年8月23日土曜日

管理組合の会計

2025年8月も最終週に入ります。子どもたちにとっては、待ち遠しかった夏休みもいよいよ終わりですね。宿題の手伝いに忙しい状況ではありますが、マンションを洪水から守る必要があります。毎日のように浸水被害のニュースが流れる昨今、内水氾濫は全国どこで起きてもおかしくない状況です。治水対策を万全にすることで、マンションの資産価値を守っていきましょう!今回はマンションの会計について説明いたします。




マンションの会計は、区分所有者からお預かりしている「管理費」が元手になりますが、具体的にどのように管理さてれいるのか?はあまり知られていないのが実情です。会計業務(出納業務)は、管理組合が管理委託契約により管理会社に委託している事務管理業務の一環として行われています。(標準管理委託契約書参照)

過去、管理会社の横領事件によって、管理組合の財産が毀損する事件があり、銀行口座の管理方法を厳格化する法改正が2010年に行われました。管理組合としてもマンションの会計業務を管理会社に一任(丸投げ)するのではなく、委託している会計業務を自ら主体的に監督する必要があります。

マンション会計のうち、主な収入は区分所有者から毎月徴収している管理費や、駐車場利用者から徴収している駐車場使用料になります。一方、主な支出は管理会社に対する管理委託費になります。

管理会社が管理組合の口座から自らの口座にお金を移動させる行為は、不正が起きても発見することが難しいため、避けなければなりません。仮に振込実務を管理会社に任せる場合でも、管理組合が振込の内容を把握する必要があります。

具体的には複数の理事が、
振込額とその内容を理解した上で、事前に承認する仕組みを作ることが求められます。

管理組合の預金残高は区分所有者共有の財産であり、マンションの資産価値を維持向上させる上で不可欠なものです。管理が杜撰で共有財産を毀損させることがあってはなりません。

区分所有者一人一人が関心を持ち、少しでも分からないことがあれば、納得がいくまで管理会社に説明を求める姿勢が重要です。その積み重ねが管理会社に対する牽制となり、適切な管理に繋がります。

毎年の定時総会では、決算報告の後、決算承認決議がありますので、この機会に不明点を管理会社に質問して内容把握に努めましょう。

会計業務の内容を正しく把握することによって、マンションの資産価値を守っていきましょう!

2025年8月16日土曜日

管理組合と自治会はどう違うの?


 2025年8月も下旬に入ります。お盆休みはあっという間に過ぎ去ってしまいました。早くも心なしか日が短くなった気がします。夏休みが終わると秋から年末まで一気にやってきます。まだまだ猛暑日が続きますが、積み残し案件がないよう管理組合の活動を本格化させましょう。今回は管理組合と自治会の違いについて説明いたします。(似て非なるものです。)




区分所有者からお預かりしているマンション管理費の中から、自治会費を支出しているマンションもあると思います。管理組合が自治会費を代理徴収しているに過ぎないのであれば良いのですが、管理組合の経費として自治会費を支出している場合は、問題があるので注意が必要です。

管理組合と自治会は、「対象者」、「目的」、「加入義務の有無」が異なります。

管理組合の対象者が、「区分所有者」であるのに対し、自治会の対象者は「居住者」になります。

管理組合の目的が「資産価値維持向上」であるのに対し、自治会の目的は「地域コミュニティ形成」です。

管理組合は加入が「義務」であるのに対し、自治会の加入は「任意」とされています。

国土交通省は、標準管理規約第27条のコメントで、マンション管理費と自治会費を区分経理(明確に区別)することを求めています。区分所有者からお預かりしているマンション管理費の中から自治会費を支出すると、結果として自治会に加入したくない人からも強制的に自治会費を徴収することになるため、十分な配慮が必要です。

また、賃貸の場合、結果として非居住の区分所有者(賃貸人)に自治会費を負担させることがないよう配慮が必要です。自治会は居住者(賃借人)に加入の意思が確認できた場合にのみ徴収ができるため、管理組合が代理徴収している場合は、その点十分な配慮が必要です。

標準管理規約は、管理組合と自治会のお財布を別にすることと、自治会費を強制徴収しないことを求めているのであって、管理組合と自治会の活動を分断することを求めているのではありません。管理組合としては、自治会とどんな関係を築いていけば良いのでしょうか?

其々の目的(マンション資産価値の維持向上・地域コミュニティの形成)が重なる部分で協力していくのがベストです。マンションは地域の中に存在するのですから、地域コミュニティと関係が悪ければ、資産価値を維持することは難しくなります。一方、自治会は地域内に存在するマンションの居住者の多くが未加入の場合、地域コミュニティの形成は難しくなります。双方の目的を達成するために、お互いができる範囲で協力していきましょう。

管理組合としては、自治会費をマンションの会計とは完全に分けた上で、代理徴収には協力するというのも一つの方法です。

自治会との関係を理解し、相互に協力し合うことで、マンションの資産価値を守っていきましょう!

マンションの資産価値を維持しよう

2025年9月もいよいよ終わりですね。暦の上では秋本番ですが、まだ残暑が続いています。しかも秋晴れとは程遠く、秋雨前線によるゲリラ豪雨に伴う内水氾濫が頻発しております。浸水被害を防ぐため、管理組合として対策を施していきましょう。今回は本ブログの原点となる「マンションの資産価値」維...