2024年11月23日土曜日

理事会の運営方法を工夫しよう!


2024年11月も最終週に入ります。今年も残り僅かですね。管理組合では常に様々な問題が発生しております。今年のうちに解決すべき積み残し案件については、速やかに進めて参りましょう。今回は理事会の運営方法について説明いたします。




理事会は1~2ヵ月に1回の頻度で役員(理事・監事)が一堂に会して行われます。役員は区分所有者が順番で就任しますので、それぞれの方の年齢や職業が違い、ライフスタイルもバラバラです。役員になったものの、土日が出勤である方や、介護をされている方、小さい子供がいる方など、其々事情を抱えた方が、一堂に会し、長時間議論するのは難しい場合があります。

そのような状況で、理事会で効果的かつ効率的に合意形成を行うためには、工夫が必要です。前期から引き継がれた形式を踏襲する必要はなく、今期の役員が出席しやすいような日時に開催しましょう。

土日に理事会を開催するケースも多いと思いますが、場合によっては平日の夜間に設定することも検討してみてください。

また、コロナ禍ZoomなどWeb会議システムが普及しておりますので、介護や育児をされていてどうしても手が離せない方にはオンラインで参加頂けるようにするのも良いです。オンラインであれば、出張中の方や、非居住の区分所有者も容易に参加できます。

効果的かつ効率的に合意形成を図るためには、管理会社の協力が不可欠です。会議の場で初めて議案を知るようでは、議案の背景を把握するのが精一杯で、有効な解決策を議論するには至りません。

管理会社には少なくとも1週間前までんは参加者に資料を配布してもらうようお願いして下さい。参加者が事前に資料に目を通した上で会議に参加すれば、会議の場ではポイントのみを協議すれば足りますので、短時間で効率的に合意形成を図ることが可能になります。

必要に応じて、事前の解説や根回しまで済ませておくとより効果的な議論を導くことができます。この点は管理会社の力量にもよりますが、協力頂けるよう依頼してみて下さい。

例年、欠席者もいる中で2~3時間かけて議論していた内容を、運営方法を工夫することで、全員参加の下、30分程度で合意形成を図ることができるようになります。事前準備が大事です。

理事会で効果的かつ、効率的に合意形成を図ることで、マンションの資産価値を守っていきましょう!

2024年11月16日土曜日

総会決議を成功させるカギは?

2024年11月も下旬に入ります。今年も残すところあと僅かです。管理組合には様々な問題が山積しておりますが、今年のうちに解決できる案件はできる限り解決させましょう。今回は総会決議における合意形成について説明いたします。




前回、「理事会の権限は区分所有者からの信頼にある」ことを説明致しました。これを踏まえ、総会で合意形成を図るためにはどうすればよいでしょうか?総会では様々な問題が話し合われます。決算承認・予算承認・役員選任など定例の議案は満場一致で承認さえることも多いですが、区分所有者の利害が絡む議案は、総会が紛糾することも多いので対策が必要です。

例えば、管理規約の変更や、機械式駐車場の更新など、区分所有者の生活様式や積立金の値上げに関わる議案は丁寧に対応する必要があります。総会に出席する区分所有者は「物言う反対派(ノイジー・マイノリティ)」と「静かな賛成派(サイレント・マジョリティ)」に大別されます。

前者は多くの場合少数派(全体の1~3割程度)ですが、大きな声で延々と自説を主張し、議事進行を妨げます。後者は多数派(全体の7~9割程度)ですが、総会で自分の意見を述べることはなく、委任状や議決権行使書で静かに権利を行使する人が殆どです。

総会に出席する「物言う反対派」の主張に引っ張られ、多くの区分所有者が反対しているかのような誤った感覚に陥ることも珍しくありません。

理事会は、マンションの資産価値を維持するため、長期に渡り議論してきた結果を総会に上程しますので、「静かな賛成派」の協力を得て、「物言う反対派」の妨害を阻止し、議事運営を円滑に進めて行く必要があります。

「静かな賛成派」からの協力を得るためためには、日頃から理事会の活動をオープンにしておくことが必要です。区分所有者には理事会の傍聴を認め、広報活動を通じて理事会で決定したことを小まめに報告することなどが考えられます。

「物言う反対派」の妨害を阻止するためには、日頃から区分所有者に対しアンケートを実施し、区分所有者の意向を把握しておくことが必要です。

「物言う反対派」の主張が少数意見であると分かっていれば、総会の場で大声で発言されたとしても、それに動揺したり惑わされることなく、「静かな賛成派」の意向を背景に自信を持って却下することができます。

日頃から理事会活動をオープンにし、「静かな賛成派」の支持を得ることで、マンションの資産価値を守っていきましょう!

2024年11月9日土曜日

理事の権限の根拠を理解する

2024年11月も中旬に入ります。ようやく穏やかな気候が到来しましたね。これを機に積み残し案件を解決させましょう。今回は理事の権限について説明いたします。

理事は、理事会で管理会社から多くの判断を迫られます。理事会が2ヵ月に1回のペースで開催されると、2ヵ月間に溜まった諸問題について、まとめて判断をすることになります。区分所有者からの苦情や、管理費滞納、日常修繕への対応など多岐に渡ります。

基本的には、総会で承認された予算の範囲で実施することになりますが、マンション内で生じる問題の多くは、其々個別の事情があり、判断が難しこともあります。これを公平性を考慮しながら、解決していくため、理事には大きな裁量が与えられております。


判断が難しい、責任を取りたくないなどの理由で、判断を先送りしてしまう傾向もありますが、判断を遅らせている間に状況は悪化し、問題が大きくなります。マンションの資産価値にも影響が出ますので、そのような対応は好ましくありません。適時に判断することです。

理事は、総会で選任されておりますので、基本的には自信を持って判断することで問題ありません。理事の権限の基盤は区分所有者からの信頼にあります。どうしても困った場合は、「区分所有者の信頼に応えられるか?」という観点で判断しましょう。

区分所有者は理事が管理組合のお金を使って「私腹を肥やしているのではないか?」という疑念を持っています。理事が自らの利益のためではなく、管理組合の為に行動していることを明らかにすることで、区分所有者の疑念を解消すれば全く問題ありません。

理事が判断したことについて、区分所有者に報告すれば、問題が起こることはありません。理事会の後、主要な議案について報告書を作成しましょう。内容は議事録から抜粋する程度で問題ありません。

区分所有者からの信頼を基盤に、適時適切に判断を行うことによって、マンションの資産価値を守っていきましょう!

2024年11月2日土曜日

管理会社と良好な関係を築く


 2024年も11月に入りました。10月まで夏日(25℃以上)が続く異常な気候でしたが、ようやく落ち着いてきましたね。これで躊躇なく衣替えができます。急激に気温がさがると心配されるのが感染症です。新型コロナは現在でもインフルエンザの10倍の致死率があるようです。その多くが65歳以上の高齢者ということなので、高齢者の皆さまは命を守るため油断せずワクチンを打ちましょう。今回は管理組合の活動をする上で、極めて重要な管理会社との関係性について説明します。




マンション内では日々様々な問題が発生しています。どんな問題が生じているか把握し、ひとつずつ解決していく必要があります。但し、管理組合の役員である理事が直接実務を行うわけではありません。ほとんどのことは、管理委託契約に基づき管理会社が実施します。

管理会社は管理組合理事会の決定に基づき管理実務を行います。理事が理事会で管理会社に対し適切な指示を出すことが必要になります。「適切な指示」は何を基準に出せばよいのでしょうか?

マンション管理組合の目的は、「マンションの資産価値の維持向上」にありますので、「マンションの資産価値を維持・向上あせるためにはどうすればよいか?」という観点から指示を出す必要があります。

管理会社の担当者は複数のマンションの管理を兼務で担当しています。マンションの規模にもよりますが、7棟から10棟程度兼務していると言われております。1週間のうち自分のマンションの業務に割けるのは1日あるかないかです。

このような状況の下、管理会社は自ら積極的に問題解決に動くことはありません。問題を解決するためには、理事会が積極的にアプローチする必要があります。

マンション内で生じている問題を把握し、解決していきためには、管理会社の担当者とのコミュニケーションが重要になります。

日々、電話やメールで密接に連絡を取り合い、現在マンション内で起こっていることを話し合い、マンションの資産価値を維持・向上させるためにはどうすればよいか?について共通認識を持つことが重要です。

2か月に1回程度程度開催される理事会で、理事が管理会社に適切な指示を出すためには、日頃から、管理会社に対して管理組合の意向を伝え、管理会社からアドバイスをもらうなど、適切に下準備を進めておく必要があります。

管理会社とのコミュニケーションを密にし、良好な関係性を築いていくことで、マンションの資産価値を守っていきましょう!

2024年10月26日土曜日

マンション管理組合の年間スケジュール

2024年10月も最終週に入ります。元旦の能登地震から始まった今年も残すところあと2ヵ月余り。皆さん如何お過ごしでしょうか?ようやく過ごしやすい気温になってきました。管理組合として積み残しが無いようにしましょう。今回は管理組合の年間スケジュールについて説明いたします。

9月決算のマンションではこれから総会ですね。年末にかけて新メンバーによる理事会を開催し、翌年10月までの間、1~2か月に1回の頻度(年6回~8回程度)で理事会が開催されます。

マンションでは日々様々な問題が生じます。前回の理事会終了後に生じた苦情(騒音・タバコ・ペット)や劣化に伴う設備不具合への対応をまとめて協議して、注意喚起文の掲示や、日常修繕の実施などを決めていきます。



※管理組合の年間スケジュール(9月決算)
11月 定時総会で、決算・予算が承認され、役員が選任される
12月 第1回定例理事会で、前任者からの引継ぎを受け、役職を互選で決める
2月 第2回定例理事会で、夏祭りなどを企画し、区分所有者の交流を深める
4月 第3回定例理事会で、防災訓練などを企画し、有事や災害に備える
6月 第4回定例理事会で、クリスマス会など交流を深めるイベントを企画する
8月 第5回定例理事会で、自薦他薦で次期役員候補者を募る
10月 第6回(総会前最後の)理事会で、決算案・予算案・次期役員案を決める 

苦情や不具合は定期的に発生しますので、上記のようなスケジュールを組んで、理事会を定期的に開催していく必要があります。

特に、竣工後10年以上経つマンションでは、劣化に伴う不具合が高い頻度で発生しますので、その点留意が必要です。

また、近年では気候温暖化に伴う水害(局地的な大雨による浸水被害など)が全国的に発生しているため、自然災害への備えや対応も重要になっております。

適切な頻度で理事会を開催し、絶えず生じる諸問題に対し、適切に対応することで、マンションの資産価値を守っていきましょう!

2024年10月19日土曜日

理事の役割を理解する


2024年10月も最終週に入ります。早いもので今年も残すところあと2ヵ月余りです。今年は10月に入っても25℃を超える夏日が頻発しています。地球温暖化の影響ですね。全国どこで局地的豪雨による内水氾濫が発生しても不思議ではない状況です。管理組合として、マンションの治水対策に全力で取り組んでいきましょう。今回は理事の役割について説明いたします。



理事は「総会での決定事項に基づき業務執行を行う」役割を担っていますが、実際に現場で仕事をするのは、管理会社になります。

それを踏まえると理事の業務執行の内容は、同じく総会で選任された監事のチェックを受けながら、「管理会社に適切な指示を行う」ことになります。

理事の役割は、管理会社を通じて業務執行をすることになります。理事がマンション管理業務(事務管理業務、管理員業務、清掃業務、建物設備業務など)を適切に執行するためには、管理会社との関係性が大変重要になります。

管理会社の担当者(フロント担当)は、複数のマンションの管理組合を担当しています。

管理組合と関係性が薄く、疎遠になると、自分たちのマンションに対して時間を割いてもらうのは難しくなります。

すべて管理会社任せにして放っておくと、他のマンションの業務を優先され、自分たちのマンションの業務が後回しになり、気付いたら前回の理事会以降、何の進捗も無かったということも考えられます。

理事の一番の役割は、管理会社の担当者と良好な関係を築くことにあります。

良好な関係を築いた上で、管理会社の担当者から適切なアドバイスを受けるとともに、適切に指示を出すことで、マンション管理業務が円滑に進んでいくことになります。

理事には管理会社から対価に見合ったサービスを引き出すことが求められています。しかし、管理会社の担当者も人間です。苦情をぶつけるだけでは愛想を尽かされてしまいます。

良い仕事をしてもらったときは感謝の意を伝え、時にはちょっとした贈り物(もちろん理事個人の自腹ですが)をしてみると良いと思います。次第に自分たちのマンションの優先順位が上がってきます。

理事の役割を正しく理解し、管理会社に気持ち良く仕事をしてもらうことで、マンションの資産価値を守っていきましょう!

2024年10月12日土曜日

監事の役割を理解する。

2024年10月も中旬にはいります。早いものですね。今年もあと2ヵ月余りとなりました。異常気象の影響で、未だ局地的な集中豪雨による内水氾濫の可能性もあります。管理組合として適切に対応して参りましょう。今回は管理組合の役員のうち「監事」についてその役割を解説いたします。

監事」は「理事」と同様、管理組合の役員であり、総会で選任されます。しかし、理事とは役割が異なりますので、その点認識が必要です。




監事は総会で行われる「監査報告」の中で、「貸借対照表・収支計算報告書は適正と認めます。理事の業務執行について不正行為や、規約に違反する事実はありません。」と述べます。これは監事の役割である「会計監査」と「業務監査」の結果を区分所有者に報告するものになります。

会計監査→決算書(貸借対照表と収支計算書)が適正

業務監査→理事の業務執行が適切

監事は、決算書と理事の業務執行の適否を区分所有者に報告する義務を負っています。決算が適正であるというのは分かりやすいですが、「理事の業務が適切」とはどういうことでしょうか?

理事は区分所有者から預かった管理費と修繕積立金を使用して、日々業務執行を行っています。理事が管理組合のために業務を発注する際、安い金額でできるよう交渉しますが、理事が経営する会社に発注しているような場合は、「理事が自らの利益を優先させているのではないか?」という疑念が生じます。そのような場合、理事と管理組合は利益相反の関係にあることになります。監事が利益相反取引に気づいた場合は、管理組合の財産を保全するため、一旦、取引を停止する必要があります。

取引に至った経緯や、取引額について精査し、精査の結果、特に問題が認められなかった場合でも、区分所有者に疑念を抱かせる行為は慎むよう指導することが求められます。管理組合の財産を保全するため、監事は重要な役割を担っています。

監事の役割を正しく理解し、チェック機能を働かせることで、マンションンの資産価値を守つていきましょう!

理事会の運営方法を工夫しよう!

2024年11月も最終週に入ります。今年も残り僅かですね。管理組合では常に様々な問題が発生しております。今年のうちに解決すべき積み残し案件については、速やかに進めて参りましょう。今回は理事会の運営方法について説明いたします。 理事会は1~2ヵ月に1回の頻度で役員(理事・監事)が一...