2025年6月17日火曜日

所有者として主体的に行動しよう


2025年6月も中旬に入ります。梅雨の対策は万全でしょうか?排水能力を超える豪雨は全国どこで発生してもおかしくありません。各マンションで内水氾濫に備えた対策をしましょう。

今回はどうすればマンションの資産価値を守れるのか改めて考えていきます。


①管理会社の担当者の能力(日常のメンテナンス)

➁長期修繕計画と修繕積立金の充実(メンテナンスの実行を担保)

③大規模修繕工事の適切な実施と設計監理会社の能力(長期のメンテナンス)

このうち、もっとも高額で継続的にコストがかかるのが、管理会社への業務委託費になります。管理会社の働きはマンションの資産価値の維持向上に大きく影響を与えます。

管理会社が対価に見合った働きができなかったり、管理会社の担当者の能力が対価に見合わない場合、マンションの資産価値は大幅に下落します。このような状態に陥った場合、私たちはどうすればよいのでしょうか?

最終的には、マンションの所有者の責任です。理事は区分所有者の代表者としての責任を負っています。区分所有者や理事が自分のこととして、当事者意識をもって主体的に行動しなければ、マンションの資産価値を維持することはできません。

管理会社の担当者に気持ち良く対価に見合った仕事をしてもらえるよう、最大限努力する必要があります。担当者も人間ですから、良い仕事をした時は、躊躇なく褒めましょう。時にはちょっとしたプレゼント(もちろん自腹ですが)を渡して、感謝の気持ちを伝えるのも良いでしょう。

理事が最大限努力を重ねても難し場合は、管理会社と交渉し、担当を対価に見合った仕事ができる人に代えてもらいましょう。

区分所有者、理事が「所有者」として主体的に行動することで、マンションの資産価値を守っていきましょう!

2025年6月7日土曜日

大規模修繕工事と設計監理会社について

2025年も6月も第2週に入りました。梅雨の対策はやはり局地豪雨による内水氾濫です。全国どこで浸水がおきてもおかしくない状況になっておりますので、万全を期しましょう。大規模修繕工事で浸水防止工事行うのも一案です。今回は大規模修繕と設計監理会社について説明いたします。




大規模修繕工事は、多くのマンションで竣工後10年から15年周期で実施されます。1回の工事費用は1戸あたりおよそ140万円、100戸のマンションで1億4千万円程度かかる計算になります。

このように大きなお金が動く工事なので、効果的かつ効率的に実施するため、設計監理会社(コンサルタント)と契約するのが一般的です。

設計監理会社は、工事の前に建物の状態を診断し、工事の設計を行い、施工業者の選定サポートをします。工事中は適切な工事が行われるよう、施工業者を監督し、工事終了後は、長期修繕計画を更新いたします。

工事を効果的かつ効率的に実施するためには、設計監理会社の能力が重要になります。従って、管理組合や修繕委員会としては、どの会社に設計監理を依頼するかがポイントになります。

設計監理費用と過去の実績を参考に、対価に見合ったサービスを受けられるような会社に依頼します。修繕委員会からの推薦を受け、理事会で承認し、総会に上程します。最終的には総会決議によって設計監理会社を選任することになります。

設計監理会社の業務は以下の通りです。
・管理組合の立場で、建物事前診断と工事設計をする
・管理組合の立場で、施工業者の選定をサポートする
・管理組合の立場で、施工業者の仕事ぶりをチェック

設計監理費用は、これらの業務に対する対価として、マンション管理費から支出します。設計監理会社を選定するにあたっては、複数の業者から見積書の提出とプレゼンを受け、コンペを実施し、能力と対価(コストパフォーマンス)を見極める必要があります。

特に重要なのは、事前診断になります。事前診断の結果によって、工事開始の時期と工事周期が決まります。

「不要不急の工事をしない」という管理組合の意向を踏まえ、適切にレポートできるかが問われます。また、竣工時からの不具合(契約不適合)が発見された場合、買主(区分所有者)の立場で、売主に対する補償交渉をサポートしてもらえるかも重要なポイントになります。

プレゼンを受ける際、「事前診断」や「契約不適合」に対する向き合い方を確認しておくことが重要になります。

対価に見合った設計監理を受け、大規模修繕工事を成功させることによって、マンションの資産価値を守っていきましょう!

2025年5月31日土曜日

長期修繕計画の更新と修繕積立金の充実

2025年5月も最終日です。朝夕の寒暖差が大きく、大気の状態が不安定な日が増えてきました。これから25℃以上の夏日や30℃以上の真夏日も増えてきます。全国各地で局地的豪雨が発生しておりますので、浸水対策を十分行っていきましょう。今回は長期修繕計画と修繕積立金について説明いたします。



区分所有者が毎月納めている修繕積立金は、長期修繕計画に基づいて決められております。国土交通省のガイドラインのモデルケースは、月額241円/㎡(70㎡の場合16,870円/月)となります。尚、目安の幅(206~356(円/㎡・月)です。皆様が毎月負担されている金額に比べ如何でしょうか?


ガイドラインより大幅に少ない場合は、積立不足の可能性がありますので、注意が必要です。管理会社と一緒に、長期修繕計画を精査して、必要な項目が漏れなく織り込まれているか、想定工事単価が相場に見合っているかよく確認しましょう。(実際に直近数年に実施された日常修繕工事が、長期修繕計画に適切な金額で織り込まれていたか?大規模修繕工事は何年周期で予定されているか?など。)

マンションの資産価値を維持するためには、必要な工事を適正な金額で速やかに実施するとともに、不要不急の工事を可能な限り後ろ倒しにすることが求められます。施工業者の言いなりで、長期修繕計画で予定されている工事をすべて実施すると、積立金はすぐに枯渇してしまいます。理事会には、すぐに実施が必要な工事と、先送り可能な工事を適切に峻別し、無駄な支出を極力抑えることが求められます。

国土交通省のガイドラインでも長期修繕計画は5年毎に見直すことが奨励されています。近年では科学技術の進歩により、資材の耐用年数が伸びているため、大規模修繕工事の周期を延ばすことができます。多くの場合、竣工時に計画された周期(10~15年)より5年ほど延ばし、15~20年周期にすることが可能です。建物診断を受け、外壁タイルに異常が無ければ、長期修繕計画を見直し、足場を必要とする大掛かりでコストのかかる工事を先延ばし、修繕積立金の充実を図っていきましょう。

足場を必要とする工事の周期を15~20年に延ばすことで、60年に4回予定されていた工事を3回に減らすことができます。1回の大規模修繕工事に要する1戸あたりのコストは140万円程度かかると言われておりますので、60年/戸で140万円のコスト削減となります。

長期修繕計画を定期的に見直し、不要不急の工事を先送りすることで、修繕積立金の充実を図り、マンションの資産価値を守っていきましょう!

2025年5月24日土曜日

管理会社に優秀な担当者を付けてもらう


2025年5月も下旬に入っていきます。夏がすぐそこまで来ております。気温はぐんぐん上昇し大気の状況が不安定になっております。排水能力を超える局地的な豪雨には十分注意しましょう。

今回から3回に渡り、「マンションの資産価値を維持」するためのポイントについて説明していきます。

マンションの資産価値の維持・向上に大きく影響を与えるのは以下の3点になります。
1.管理会社⇒「当マンションの担当者の能力」
2.長期修繕計画⇒「修繕積立金の充実度」
3.大規模修繕工事⇒「設計監理会社の能力」

今回は、このうち最も重要な管理会社からあてがわれる担当者の能力について説明します。



マンションでは住民トラブル、日常修繕、管理費滞納、事故や災害など、日々様々な問題が発生致します。これに直接対応するのが、管理会社の担当者になります。次々発生する問題を適時適切に処理することができなければ、マンションの資産価値はどんどん低下していきます。

管理会社社員の能力は個人間で大きな差があります。「管理業務主任者」や「マンション管理士」と言った肩書を名刺に載せているかたも多く見受けられますが、実務を遂行する上で、資格の有無は殆ど関係ありません。管理組合の立場で経験に基づき、適切かつスピーディーに業務をこなしていく力が必要となります。

理事になったら、先ず、管理会社の担当者から携帯電話の番号を教えてもらいましょう。大事な時に連絡がつかないようでは、担当者として意味がありません。そして担当者に対し、「今期実施予定の修繕項目とその予算額」や、「当マンションでの代表的な住民トラブル」について質問を投げかけてみましょう。(担当者であれば当然把握しているべき内容です。)

このような問題に対し、滞りなく回答が返ってくれば、仕事に対する情熱と、一定の能力が期待できます。一方、このような典型的かつ重要なテーマに対し、回答が滞るようであれば、今後適切な対応は期待できませんので、管理会社に担当者の交代を要求しましょう。

管理会社から能力の高い担当者をつけてもらうことは、マンションの資産価値を維持・向上させる上で極めて重要なことです。

逆に、能力の低い担当者をあてがわれて、そのままにしていると、対価である管理委託費に見合ったサービスを享受することができないため、区分所有者からお預かりしてる管理費を無駄遣いしていることになります。

これでは理事としての職責を果たしているとは言えません。管理会社に対し毅然とした態度で担当者の交代を要求しましょう。(担当者が交代する場合も後任者の能力を良く見極めて下さい。)


管理会社の担当者に対し、対価に見合った働きをしてもらうことで、マンションの資産価値を守つていきましょう!

2025年5月17日土曜日

コロナ後の管理組合の運営について

2025年5月も下旬に入ります。そろそろ梅雨入りが見えてくる時期です。近年の地球温暖化に伴う以上気象で、ゲリラ豪雨や、線状降水帯、頻発する勢力の大きい台風が見込まれます。ハザードマップを確認しマンションの治水対策は万全を期しましょう。

今回はコロナ後の管理組合の運営について説明いたします。コロナを機に私たちの社会様式は大きく変わりました。



2023年でWithコロナが終り、現時点ではAfterコロナに完全移行しております。いつ新たな感染症が出ても慌てることがないよう、攻めの姿勢で取り組んでいきましょう!

Afterコロナの施策①⇒「3密」を防ぐため、リモート会議を普及させる

Afterコロナの施策➁⇒「人口減少」「高齢化」に伴う役員の成り手不足への対応させる

Afterコロナで、マンションの資産価値を維持していくためには、外部(遠隔地を含む)に居住する区分所有者が管理組合の活動に参加できるかがポイントになります。

管理組合は全ての区分所有者で構成されますので、居住・非居住に関わらず等しく管理組合に関与する義務があります。しかし、非居住の区分所有者が理事・監事として管理組合に関与するためには、リモートで会議ができる環境を整える必要があります。

リモート会議導入に向けた「対策」と「投資」を積極的に行っていきましょう!

対策⇒管理規約使用細則など法的な面で環境を整備(リモート会議を明文化する)

投資⇒ビデオカメラ、マイク、スピーカー、モニター、WIFIなど

Afterコロナの施策を加速することで、マンションの資産価値を守っていきましょう!

2025年5月10日土曜日

管理組合の目的とは?

2025年5月も中旬に入ります。今年のゴールデンウイークは短かったですね。束の間の休日だった方も多かったと思います。今回は管理組合の目的について改めて考えてみます。




管理組合の目的⇒「マンションの資産価値の維持・向上」

管理組合が意思決定を行う上での判断基準は正に、「マンションの資産価値の維持・向上に資するか?」になります。

マンションの区分所有者は、所有するマンションの資産価値を維持・向上させる目的で、毎月決して安くない額の管理費を、管理組合に納付しています。管理組合は区分所有者から集めた管理費の大部分を、管理会社に対する業務委託費に充てています。

このことから、管理会社に対価に見合った働きをしてもらうことが、マンションの資産価値を維持向上させる上で、最も重要なことだと言えます。

管理会社が、私たちが支払っている管理委託費に見合った働きをしない(又はできない)場合、マンションの資産価値は下落します。

区分所有者から委託を受けた理事は、区分所有者に代わって、管理会社の働きを監視する義務があります。管理会社が対価に見合った働きをしない場合は、理事が管理会社を適切に指導監督しなければなりません。

但し、対価以上のサービスを要求してはいけません。昨今では管理会社が採算重視に舵を切ったため、適正な利益を得ることができないマンションから撤退する例が相次いでいます。対価以上の要求をするマンションの管理を引き受ける管理会社は無いので、その点は注意が必要です。

マンションの資産価値を維持・向上させる上でのキーマンは、管理会社の担当者(一般的にはフロント担当と呼ばれています)になります。管理会社を儲けさせても、損をさせてもうまくいきません。

理事は担当者と密に連絡を取り合い、信頼関係を構築していく中で、管理会社から「対価に見合った働き」を引き出すことが重要になります。

管理組合の目的を正しく理解し、管理会社から対価に見合った働きを引き出すことで、マンションの資産価値を守っていきましょう!

2025年5月3日土曜日

外部オーナーについて


2025年も5月に入りました。今年も暑い夏になりそうです。ゲリラ豪雨など局地的な雨にご注意ください。今回は、非居住の区分所有者(外部オーナー)への対応について説明いたします。

区分所有者には居住や非居住(賃貸)に限らず、所有者として同等の権利と義務があります。

・賃借人に区分を貸して賃料を得る権利

・管理費及び、修繕積立金を納める義務

・理事又は監事を輪番で引き受ける義務

賃料を得る権利と管理費を支払う義務は広く知られていると思いますが、理事や監事など管理組合の役員は、実際に居住している人が対象であると考えている人も少なくないと思います。

しかし、外部に住んでいることを理由にこの義務が免除されることはありません。(標準管理規約第35条2項)特に遠方に住んでいる人は「総会や理事会に出席するおが難しいので止むを得ない」と思われていることも多いです。

昨今では、Afterコロナの施策で、リモート会議を整備している管理組合も多くあります。非居住であってもリモートで理事会に出席することは可能です。



また、非居住者に役員就任義務を免除すると、居住している区分所有者の負担が重くなり、公平を逸することになります。

また、代人料を納めることで、役員就任義務を免除しているマンションもありますが、役員のなり手がいなくなった場合の解決方法を失うことになるため、注意が必要です。

非居住の区分所有者にも義務を果たしてもらうためには、決して「音信不通にしないこと」です。連絡が取れなくなると、役員の就任を要請できなくなるだけではなく、管理費滞納や、災害時への対応も十分に行うことができなくなり、資産価値の維持向上に疑義が生じます。

全ての区分所有者に対し、携帯番号+α(自宅・職場・実家)など複数の連絡先を届けることを義務化しましょう。

非居住者を含め全ての区分所有者に義務を果たしてもらうことで、マンションの資産価値を守っていきましょう!

所有者として主体的に行動しよう

2025年6月も中旬に入ります。梅雨の対策は万全でしょうか?排水能力を超える豪雨は全国どこで発生してもおかしくありません。各マンションで内水氾濫に備えた対策をしましょう。 今回はどうすればマンションの資産価値を守れるのか改めて考えていきます。 ①管理会社の担当者の能力(日常のメン...