大規模修繕工事は、マンション竣工時に設定された長期修繕計画によって10年から15年周期で計画されていることが多く、
国土交通省の調査では、1戸あたり100万円/回程度(100戸のマンションの場合1億円
/回程度)が必要とされています。昨今の人手不足で工賃が上がっている状況にありますので、当初計画通り大規模修繕工事を行った場合、工事代金が不足する事態が想定されます。
一方、昨今の技術革新により大規模修繕工事に使用する材料の質が上がっていることから、計画当初の想定より各種材料の耐用年数が長くなっていると言われます。マンション建設時の瑕疵等による不具合が無い場合は、長期修繕工事の周期を伸ばすことができる可能性が高い状況にあります。1回あたりの工事代が増加する分、工事周期を伸ばす(工事回数が減る)ことで全体の工事代金を当初の計画通りで収まるよう調整すれば、修繕積立金の増額を防ぐことが可能になります。
第1回目の大規模修繕工事は外壁(タイル等)・防水及びそれらに伴う仮設(足場等)が費用の中心になります。長期修繕計画で1回目の大規模修繕工事が予定されているタイミングに行う事前調査で、タイルの浮きや水漏れ等の問題が認められず大規模修繕工事が不要不急の場合は、足場の設置を伴う大掛かりな工事を2~3年延ばし、当面は足場が不要な予防修繕(鉄部塗装等)のみに絞る方法もあります。2回目の大規模修繕工事では、給水設備、3回目の大規模修繕工事では建具・金物にも費用が掛かりますので、1回目の大規模修繕工事のタイミングでの周期の見極めは非常に重要です。
また、第1回目の大規模大規模修繕工事の事前調査で外壁(特にタイル)や防水に大きな問題があった場合は、建設時の工事に問題があった可能性が高いので、設計管理会社(コンサルタント)にサポートをお願いし、売主に負担を求めることも視野に入れる必要があります。
マンションの
資産価値を維持するためには、修繕が必要なタイミング(周期)で大規模修繕工事を実施し費用に見合った成果を出すことが重要になります。