2020年2月23日日曜日

自治会との関係

管理組合と自治会はともに毎年を決め、会員からお金(管理費・自治会費)を徴収して運営する点が類似しておりますが、両者は目的及び構成員の対象や加入義務が異なるため、お金の徴収方法でトラブルになるケースがありました。そこで、国土交通省は2016年にマンション標準管理規約「管理費と、自治会費を明確に区分」する形に改正(同コメント27条関係②参照)しました。


管理組合はマンションの資産価値を維持を目的とし、区分所有者全員で構成(強制加入)されるのに対し、自治会は地域コミュニティを主目的とし、居住者で構成される(任意加入)点が大きく異なります。自治会費をマンション管理費に含めて徴収しているマンションも多々ありますが、自治会費は住戸毎に必ず発生するものではないため、(居住者が自治会に加入していない住戸や、空き家の住戸には自治会費は発生しない)住戸毎に一律で徴収するとトラブルが生じる可能性があります。(判例もあります。)

しかし、自治会の役員がマンション内を一軒一軒回って自治会費を回収するのは不効率であり実務上も困難であるため、標準管理規約では管理組合が自治会費を代理徴収することについて否定はしておりません(改正概要参照)。管理組合が自治会費を代理徴収する場合は、住戸一律の徴収ではなく、実際に自治会員が居住している住戸のみの徴収に留めることが必要となります。(代理徴収を行う場合は管理費と自治会費を明確に区分する。)

マンションの資産価値を維持していくためには、自治会(地域コミュニティ)と協力関係を保ち、良好な関係を築いていく一方、財布は別々に管理することが求められます。

2020年2月16日日曜日

マンションの資産価値とは?

「マンションの資産価値」を一番分かりやすく表現しているのは、「中古での販売価格」になります。直ぐに現金化する必要で無い方でも、ご自身のお部屋がどのくらいの金額で売れるのか、不動産屋や、WEBサイトで調べたことがある方も多いのではないでしょうか?販売価格は最寄り駅からの距離や、商業施設や学校からの距離など、立地で決まると思われる方も多いですが、これらの要素は当然分譲時の価格に織り込まれております。従って売却額に大きな変化がある場合は、近隣マンションとの比較に原因があることも考えられます。

毎月区分所有者が負担している「管理費+修繕積立金」の平均は下記の通りです。

ご自身のマンションの月額負担額が平均に比べて割高になっている場合、販売価格は低くなる(購入者は毎月割高な金額を将来に渡り負担することになるため)関係にあります。従って適正な中古販売価格を維持するためには、毎月の負担額を適正な水準に設定する必要があります。

大規模修繕工事は昨今の人手不足で工賃が上がっており、第1回の大規模修繕工事後に長期修繕計画を見直すと、修繕積立金の値上げが必要になることが多いと言われております。そのような状況の中で月額負担額を維持していくためには、管理費の見直し(管理会社変更を含む)や、大規模修繕工事周期の見直しが必要になります。

管理費については、サービスの内容を細かくチェックし不要なサービスや過剰なサービスを削減した上で、管理会社に適切な金額で委託することが必要です。管理会社の抵抗にあってうまく進まない場合は、複数の管理会社から見積を取得しコンペを行うこと(管理会社の変更)も視野に入れてください。

大規模修繕工事周期については、事前の建物診断で急ぎを要する問題が発見されなかった場合、工事の実施時期を一旦先送りし、数年後に再度建物診断を行い実施時期を判断していく必要があります。(尚、最初の診断で外壁タイルに浮きが見つかるなど竣工時の工事に問題があることが発覚した場合は、売主に工事費用を請求する等の対応が求められます。)このような考え方に理解のある設計管理会社(コンサルタント)を選定することも重要です。

マンションの資産価値を維持するためには、毎月の負担額(管理費+修繕積立金)が適正な水準に保たれているかチェックし、必要に応じて是正していくことが必要になります。

2020年2月9日日曜日

大規模修繕工事の周期

大規模修繕工事は、マンション竣工時に設定された長期修繕計画によって10年から15年周期で計画されていることが多く、国土交通省の調査では、1戸あたり100万円/回程度(100戸のマンションの場合1億円/回程度)が必要とされています。昨今の人手不足で工賃が上がっている状況にありますので、当初計画通り大規模修繕工事を行った場合、工事代金が不足する事態が想定されます。

一方、昨今の技術革新により大規模修繕工事に使用する材料の質が上がっていることから、計画当初の想定より各種材料の耐用年数が長くなっていると言われます。マンション建設時の瑕疵等による不具合が無い場合は、長期修繕工事の周期を伸ばすことができる可能性が高い状況にあります。1回あたりの工事代が増加する分、工事周期を伸ばす(工事回数が減る)ことで全体の工事代金を当初の計画通りで収まるよう調整すれば、修繕積立金の増額を防ぐことが可能になります。

第1回目の大規模修繕工事は外壁(タイル等)・防水及びそれらに伴う仮設(足場等)が費用の中心になります。長期修繕計画で1回目の大規模修繕工事が予定されているタイミングに行う事前調査で、タイルの浮きや水漏れ等の問題が認められず大規模修繕工事が不要不急の場合は、足場の設置を伴う大掛かりな工事を2~3年延ばし、当面は足場が不要な予防修繕(鉄部塗装等)のみに絞る方法もあります。2回目の大規模修繕工事では、給水設備、3回目の大規模修繕工事では建具・金物にも費用が掛かりますので、1回目の大規模修繕工事のタイミングでの周期の見極めは非常に重要です。

また、第1回目の大規模大規模修繕工事の事前調査で外壁(特にタイル)や防水に大きな問題があった場合は、建設時の工事に問題があった可能性が高いので、設計管理会社(コンサルタント)にサポートをお願いし、売主に負担を求めることも視野に入れる必要があります。

マンションの資産価値を維持するためには、修繕が必要なタイミング(周期)で大規模修繕工事を実施し費用に見合った成果を出すことが重要になります。

2020年2月1日土曜日

管理会社の変更




マンション管理会社は、分譲時に分譲業者が決めた決定したマンション管理業者とそのまま継続して契約しているケースが多いですが、国土交通省が公表しているマンション総合調査(平成20年平成25年平成30年)によると、ここ10年の間に管理会社を変更したマンションが徐々に増えており、現在では5件に1件の割合で管理会社を変更している(以下参照)にあります。


これは、変更の受け皿となる独立系の管理会社が増えてきたことも要因と思われますが、一方で、分譲時に分譲業者が決めた管理会社から「管理委託費に見合うサービスを受けられていない」と感じるマンションが相当数あることを示しているとも言えます。しかし管理会社を変更すれば必ずしも問題が解決するわけではありません。特に管理委託費を下げることを目的に管理会社を変更する場合、今までのサービス水準を維持できなくなり、逆に資産価値を下げてしまう可能性があるので注意が必要です。一番重要なことは、区分所有者が望むサービスの内容・水準を明確にし、それに見合った金額で受託できる管理会社を選ぶことです。

「管理委託費に見合うサービスを受けられていないのでは?」と感じたら先ず、毎月の支払額(管理費+修繕積立金)を近隣マンションの平均値と比べてみましょう。割高であれば管理委託費が割高な可能性があるので値下交渉を、割安であればサービスの質・量を上げる交渉をします。交渉を続けると同時に、現在管理会社に委託しているサービスの内容を「自分たちのマンションにとって必要か否か」という観点で精査し、不要なものをカット、不十分なものは追加する形で見直し、来期からの委託契約を自分たちのマンションに合う内容に変更するという方法もあります。

どうしても現在の管理会社と折り合いがつかない場合は、自分たちのマンションが必要をするサービスの内容(項目・質・量)を明示して、数社から見積書を取得する方法で管理会社の変更に舵を切るもの一案です。


マンションの資産価値を効率的に維持するためには、管理会社から継続的に「管理委託費に見合ったサービスの提供を受けること」が必要となります。






















理事会の運営方法を工夫しよう!

2024年11月も最終週に入ります。今年も残り僅かですね。管理組合では常に様々な問題が発生しております。今年のうちに解決すべき積み残し案件については、速やかに進めて参りましょう。今回は理事会の運営方法について説明いたします。 理事会は1~2ヵ月に1回の頻度で役員(理事・監事)が一...