マンション竣工から10数年後に予定される第1回目の大規模修繕工事までの間には、どのマンションでも大なり小なり契約不適合(瑕疵)は必ず生じます。その時、管理組合がどのように対応するかによって区分所有者が負担するコストに大きな違いが生じるので注意が必要です。
売主に対して責任を追及する根拠は、アフターサービス契約や住宅の品質確保の促進に関する法律(品確法)が挙げられます。躯体10年、水回り5年、その他2年が一般的な保証期間です。しかし、この期間内に発見できるとは限りません。売主は期間を1日でも過ぎれは責任を回避しますが、売主としての責任が無いわけではありません。売主には完成品を売る義務が有るにもかかわらずそれを果たせていない以上、管理組合は売主に対し責任を追及する必要があります。保証期間が過ぎている場合、満額の請求は難しいかもしれませんが、その場合でも売主に補修費用の一部は負担させるべきです。管理組合と売主(デベロッパー)の交渉事になります。
交渉を進めて行く上で、管理会社のサポートは欠かせません。但し、管理会社の属性によってサポートの仕方が全く異なりますので留意が必要です。
・デベロッパー系管理会社(売主と資本関係あり)
・独立系管理会社(売主と関係なし)
デベロッパー系管理会社は、売主の子会社やグループ会社になりますので、顧客である管理組合より親会社の意向を優先させます。管理組合が売主に責任追及する場合、表向きは顧客の立場で売主に対峙しますが、実際は本気で売主を相手に交渉することはありません。従って、管理組合としては、売主と対峙するのではなく、売主グループとして管理会社に対し責任追及するのが有効です。共用部を管理しているのは管理会社であるため、管理会社は管理組合に対し保証期間内で契約不適合(瑕疵)を報告する義務があります。それを怠ったことが保証期間を過ぎた原因であれば、その責任は管理会社にあります。管理委託契約の善管注意義務違反を根拠に管理会社に責任を追及し、グループ内で解決させるのが有効です。
独立系管理会社は、売主と資本関係ありませんので、売主に何ら遠慮する必要はありません。顧客である管理組合とともに売主に責任を追及することは可能です。しかし売主の懐に入って交渉することは難しく、管理組合とともに試行錯誤で交渉していくことになります。独立系の管理会社と契約をする際は、契約不具合(瑕疵)への対応姿勢を予め確認し、管理組合の立場に立って一緒に闘ってくれるか確認する必要があります。「保証期間が過ぎているからダメですという」姿勢であればデベロッパー系管理会社と変わりませんので意味がありません。顧客(管理組合)の為に顧問弁護士と伴に売主に対峙する姿勢が求められます。
契約不適合(瑕疵)には、管理会社の属性を理解した上で、売主に責任を追及することで、マンションの資産価値を守って行きましょう!
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