2022年9月24日土曜日

共用部の管理責任は誰にあるのか?

2022年9月も下旬に入ります。新型コロナウイルスオミクロン株BA.5による第7波は収束に向かっておりますが、今後、インフルエンザとの同時流行も懸念されております。引き続き感染拡大防止に努めていきましょう。今回は共用部の管理責任について説明致します。



区分所有者とは「区分所有権を有するもの」(区分所有法第2条)と定義されており、マンション内の区画(住戸や店舗)を所有する者を意味します。所有しているのは自分の専有部(住戸区画)の他、エントランス、エレベータ、廊下、バルコニー、集会室、管理員室、非常階段、宅配ボックスなどの共用部も含まれます。(共用部の持分比率は、専有部の面積比率)

一般的に「マンションを買った」というと、専有部のみをイメージしがちですが、実際は共用部を含んでいることを忘れてはいけません。専有部の維持管理にかかる費用はもっぱらその区分を所有する者が担いますが、共用部の維持管理(清掃・点検など)にも相応のお金がかかっています。

私たち区分所有者は、毎月管理組合に数万円もの管理費を納めています。共用部の維持管理にかかるお金は、管理組合が毎月区分所有者から預かっている管理費の中から支払われています。区分所有者は、共用部の管理のために毎月管理組合に管理費を納めているのです。

区分所有者から預かった管理費の使い道は、大枠を管理組合総会で決定した上で、管理組合理事が具体的に決めて管理運営を行っています。

区分所有者は専有部には関心が強い反面、共用部にはほとんど関心がありません。管理も他人(理事)に任せきりで、ほとんど関与していないのが現実です。しかし、先述の通り、共用部の維持管理費用は区分所有者が負担しております。

区分所有者には、共用部を維持管理する責任があります。「共用部も含め所有している」という意識を持って、何にどの程度の金額が使われているのか、関心を持つようにしましょう。

「共用部も含めて所有している」という意識を持って、主体的に管理に関与することで、マンションの資産価値を守っていきましょう!

2022年9月17日土曜日

マンション管理規約の位置づけを考える


2022年9月も後半に入りました。早いもので今年もあと3ヵ月余りです。新型コロナウイルスはオミクロン株BA.5による第7波が落ち着いてきました。新たな変異株に備え引き続き感染症対策を怠りなく続けていきましょう。今回は管理規約について説明します。
マンションには年齢や職業が異なる様々な背景を持った区分所有者がいます。彼らの利害を調整する根拠となるのが、管理規約(使用細則)になります。何か問題が起きた時はまず、管理規約(使用細則)を確認して、それに沿った形で対処することになります。いわば、マンションのルールブックといえます。



マナー(ペット・騒音・タバコの煙)や、管理費滞納などの問題が生じたときはもとより、緊急時も管理規約に基づいて対応することになります。管理規約の冊子は分かりやすい場所に保管し、常に確認できる状態にしておきましょう。

一般的にマンション竣工にあたり、デベロッパーが管理規約を定めたうえでマンションを販売します。管理規約の冊子は、売主であるデベロッパーから、買主である区分所有者に引き渡されたときに配布されることが多いと思います。

しかし、内容についてはデベロッパーが全て勝手に決めているわけではありません。ペットの飼育可否など、販売に直結する部分についは、地域の事情を踏まえ、販売しやすい形にしますが、その他ほとんどの部分は国土交通省が公表している「標準管理規約」がベースになっています。

また、私たち区分所有者はデベロッパーが定めた原始規約に未来永劫拘束されるわけではありません。社会情勢の変化によって、人々の生活様式や価値観は変わってきます。管理規約(使用細則)も時代とともに変えていく必要があります。

例えば、ペット飼育可能として販売したマンションであっても、飼育する人のマナーが悪すぎれば、総会決議によって飼育不可に変更となる可能性はあります。逆に、ペット飼育不可のマンションでも社会情勢の変化に応じて、ルール詳細を使用細則に定めた上、飼育可能とすることもできます。

全区分所有者の議決権の3/4以上の賛成で管理規約は変更できます。

区分所有者の社会様式や価値観の変化に応じて管理規約を柔軟に変更することで、マンションの資産価値を守っていきましょう!

2022年9月10日土曜日

理事会の運営方法を工夫しよう


2022年9月も中旬に入っていきます。新型コロナウイルスはオミクロン株BA.5による第7波が少しずつ収まってきましたが、まだ油断はできません。引き続き感染拡大防止策をとっていきましょう。今回は理事会の運営方法について説明します。

理事会は1~2ヵ月に1回の頻度で役員(理事・監事)が一堂に会して行われます。役員は区分所有者が順番で就任しますので、それぞれの方の年齢や職業が違い、ライフスタイルもバラバラです。役員になったものの、土日が出勤である方や、介護をされている方、小さい子供がいる方など、其々事情を抱えた方が、一堂に会し、長時間議論するのは難しい場合があります。

そのような状況で、理事会で効果的かつ効率的に合意形成を行うためには、工夫が必要です。前期から引き継がれた形式を踏襲する必要はなく、今期の役員が出席しやすいような日時に開催しましょう。土日に理事会を開催するケースも多いと思いますが、場合によっては平日の夜間に設定することも検討してみてください。また、コロナ禍ZoomなどWeb会議システムが普及しておりますので、介護や育児をされていてどうしても手が離せない方にはオンラインで参加頂けるようにするのも良いです。オンラインであれば、出張中の方や、非居住の区分所有者も要因に参加できます。

効果的かつ効率的に合意形成を図るためには、管理会社の協力が不可欠です。会議の場で初めて議案を知るようでは、議案の背景を把握するのが精一杯で、有効な解決策を議論するには至りません。管理会社には少なくとも1週間前までんは参加者に資料を配布してもらうようお願いして下さい。参加者が事前に資料に目を通した上で会議に参加すれば、会議の場ではポイントのみを協議すれば足りますので、短時間で効率的に合意形成を図ることが可能になります。必要に応じて、事前の解説や根回しまで済ませておくとより効果的な議論を導くことができます。この点は管理会社の力量にもよりますが、協力頂けるよう依頼してみて下さい。

例年、欠席者もいる中で2~3時間かけて議論していた内容を、運営方法を工夫することで、全員参加の下、30分程度で合意形成を図ることができるようになります。事前準備が大事です。

理事会で効果的かつ、効率的に合意形成を図ることで、マンションの資産価値を守っていきましょう!

2022年9月3日土曜日

総会における合意形成の築き方

2022年も9月に入りました。今年も残り4ヵ月です。新型コロナウイスオミクロン株BA.5による第7波は少しずつ収まってきましたが、まだまだ油断はできません。基本的な感染症対策を徹底しましょう。今回は総会での合意形成について説明致します。


前回、「理事会の権限は区分所有者からの信頼にある」ことを説明致しました。これを踏まえ、総会で合意形成を図るためにはどうすればよいでしょうか?総会では様々な問題が話し合われます。決算承認・予算承認・役員選任など定例の議案は満場一致で承認さえることも多いですが、区分所有者の利害が絡む議案は、総会が紛糾することも多いので対策が必要です。

例えば、管理規約の変更や、機械式駐車場の更新など、区分所有者の生活様式や積立金の値上げに関わる議案は丁寧に対応する必要があります。総会に出席する区分所有者は「物言う反対派(ノイジー・マイノリティ)」と「静かな賛成派(サイレント・マジョリティ)」に大別されます。前者は多くの場合少数派(全体の1~3割程度)ですが、大きな声で延々と自説を主張し、議事進行を妨げます。後者は多数派(全体の7~9割程度)ですが、総会で自分の意見を述べることはなく、委任状や議決権行使書で静かに権利を行使する人が殆どです。総会に出席する「物言う反対派」の主張に引っ張られ、多くの区分所有者が反対しているかのような誤った感覚に陥ることも珍しくありません。

理事会は、マンションの資産価値を維持するため、長期に渡り議論してきた結果を総会に上程しますので、「静かな賛成派」の協力を得て、「物言う反対派」の妨害を阻止し、議事運営を円滑に進めて行く必要があります。

「静かな賛成派」からの協力を得るためためには、日頃から理事会の活動をオープンにしておくことが必要です。区分所有者には理事会の傍聴を認め、広報活動を通じて理事会で決定したことを小まめに報告することなどが考えられます。

「物言う反対派」の妨害を阻止するためには、日頃から区分所有者に対しアンケートを実施し、区分所有者の意向を把握しておくことが必要です。

「物言う反対派」の主張が少数意見であると分かっていれば、総会の場で大声で発言されたとしても、それに動揺したり惑わされることなく、「静かな賛成派」の意向を背景に自信を持って却下することができます。

日頃から理事会活動をオープンにし、「静かな賛成派」の支持を得ることで、マンションの資産価値を守っていきましょう!

理事会の運営方法を工夫しよう!

2024年11月も最終週に入ります。今年も残り僅かですね。管理組合では常に様々な問題が発生しております。今年のうちに解決すべき積み残し案件については、速やかに進めて参りましょう。今回は理事会の運営方法について説明いたします。 理事会は1~2ヵ月に1回の頻度で役員(理事・監事)が一...