2022年10月29日土曜日

管理費の滞納は早期に発見し解決しよう!


2022年10月も終わります。今年もあと2ヵ月。やり残したことはありませんか?新型コロナウイルス第7波は勢いが衰えましたが、第8波とインフルエンザのダブル感染が懸念されております。オミクロン株対応ワクチンとインフルエンザワクチンが行き渡るまでは、基本的な感染症対策を続けていきましょう。今回は管理費の滞納への対処法について説明します。

私たち区分所有者は、毎月の管理費及び、修繕積立金を口座引落によって、管理組合に収めています。管理費の滞納は何らかの事情によって、引落がかからなかったことを契機に始まることが多いです。引落口座への振替忘れなど、些細なことから始まるのですが、管理費は月額数万円と比較的高額なことから、2ヵ月分、3ヵ月分と溜めてしまうと、支払いが難しくなることも珍しくありません。管理組合による月内の早期発見が何より重要です。当月中に発見し督促すれば、大事に至る可能性は低くなります。

管理会社との管理委託契約で、通常は管理会社が督促を行う取り決めになっております。(標準管理委託契約別表第1事務管理業務、1基幹事務、(2)出納、➁管理費等滞納者に対する督促)口座振替日に引落ができなかった区分所有者がいた場合は、口座振替日の翌日に管理組合に報告してもらうよう、予め管理会社の担当者に伝えておくことが重要です。管理委託契約では、「管理会社は支払期日から6ヵ月間督促をする」と定められており、それ以降は管理組合の役員が自ら督促を行う必要があります。管理会社に契約で定められた期間をフルに督促してもらうためには、早期発見、早期報告が必須になります。また、管理費債権は5年で時効により消滅するため、管理組合としてはその点についても細心の注意が必要です。

管理会社が督促をしてくれる期間である6ヵ月で必ず解決するためには、管理組合としては、その半分である3ヵ月以内での解決を目標に定めるのが有効です。「滞納開始⇒管理組合への報告⇒電話による督促⇒訪問による督促⇒書面による督促⇒内容証明郵便による督促」これを3ヵ月以内に実施するのがポイントです。内容証明郵便が届くことで、滞納者の多くは焦って、自ら解決に動き出します。3ヵ月以内に内容証明郵便による督促まで持っていくことを予めマニュアル化しておく
ことが良いです。

多くの場合、このマニュアル通りに督促を進めれば解決できますが、それでも解決できない場合は、背後に大きな問題があることが想定されるため、長期化が懸念されます。管理会社が対応してくれる6ヵ月が過ぎるまで、残り3ヵ月。ここで何とか解決の目途をつけることが大事になります。滞納者に滞納額の一部を支払ってもらうか、支払計画書を提出してもらうことで、支払意思があることを明確にし(承認)、時効が進まないようにします(民法152条1項)。粘り強く丁寧に督促を続け、6ヵ月以内での解決を目指しましょう。

毎月、区分所有者からお預かりしている管理費や修繕積立金は、区分所有者共有の財産です。管理費滞納行為は、共有財産を毀損する(マンションンの資産価値を下げる)行為なので、これを放置したり、黙認したりしてはいけません。毎月管理費をきちんと収めている区分所有者から、管理組合が責任を問われることになります。

対応が発生したら、「早期発見、早期対応、早期解決」が鉄則です。6ヵ月以内に解決することで、マンションの資産価値を守っていきましょう!

2022年10月22日土曜日

機械式駐車場の収支を把握しよう!

2022年10月も下旬に入ります。今年も残すところあと2ヵ月余りです。管理組合の業務で積み残しはありませんか?管理組合の活動もちょうど1年の折り返し地点にあります。懸案事項については、解決に向け、積極的に進めていきましょう。新型コロナウイルスはオミクロン株BA5による第7波が終息しましたが、インフルエンザとのW流行が懸念されています。オミクロン株対応ワクチンと、インフルエンザワクチンの同時接種が行き渡るまでは、感染拡大防止策を続けていきましょう。

今回は機械式駐車場について説明します。

マンションは車を駐車する十分な敷地を確保するのが難しいため、機械式駐車場が採用されるケースが多くみられます。特に都市部では殆どが機械式駐車場です。機械式駐車場は、「多段方式・二段方式」と、「垂直循環方式・エレベータ方式」に大別され、前者は屋外、後者は屋内(タワーパーキング)に設置されます。




機械式駐車場は、メンテナンスにお金がかかります。竣工後間もないマンションでは定期点検の費用しか掛からないので、問題点に気付きにくいです。しかし、竣工後10年を目安に故障が頻発するようになります。機械式駐車場は、細かな部品や精密機器を組み合わせて作られているため、個々の部品や機器が耐用年数を迎えると、その都度不具合が生じます。

不具合が生じると、部品の修理や機器の交換が必要になります。長期修繕計画で予定されているものであれば、特に大きな問題は無いのですが、計画に無い(予期せぬ)修理や交換が続くと、管理費を圧迫することになります。この状況で、駐車場の稼働率(契約率)が下がると管理費が管理費が枯渇してしまいます。

多くのマンションでは、駐車場収入は一般会計で管理し、駐車場支出は積立金会計で管理しているため、機械式駐車場の収支を把握することが難しくなっています。利益を出しているのであれば、問題ないのですが、損失を出してる場合は、機械式駐車場の廃止を含め検討が必要になります。適切な判断を行うためには、機械式駐車場の収支表を作成し、区分所有者に共有することが求められます。収支表が無い場合は直ちに管理会社に作成を依頼して下さい。(駐車場収支の見える化が必要です。)

竣工後30年の収支は下記のようになります。(60台のタワーパーキングの例)

収入)約3億円<18,000円×12ヵ月×30年×80%(稼働率)×60台>

支出)約3億円<定期メンテナンス及び修理代1億円+本体更新費用2億円>

稼働率の低下や、予期せぬ修理代の増加があり、収支バランスが崩れている場合は、機械式駐車場の廃止を検討する必要があります。本体の更新時に慌てることが無いよう、駐車場収支の状況については、毎年の総会で区分所有者に報告し、共有しておくことが望ましいです。

機械式駐車場の収支を正しく把握することで、マンションの資産価値を守っていきましょう!

2022年10月15日土曜日

消防設備点検の実施率を上げよう!


2022年10月も後半に入ります。早いもので、今年も残すところあと2ヵ月余りとなりました。オミクロン株BA.5による新型コロナウイルス第7波はようやく収束の兆しが見えてきました。
一方、インフルエンザとのW流行の可能性も指摘されております。管理組合としては引き続き感染症対策を徹底していきましょう。今回は消防設備点検について説明致します。

消防設備点検は通常年2回程度実施され、排水管清掃同様、業者が住戸を回りますので、点検日には在宅が必要になります。点検の対象は火災報知器、ガス感知器、避難はしご、スプリンクラーなどで、所要時間は1住戸あたり5分程度です。

いろいろと予定が入っている居住者も多く、実施率を100%にすることは難しいですが、実施率を上げること及び、前回実施できなかった住戸には、必ず実施してもらうことが重要です。

連続して実施していない住戸に対しては、管理会社を通じて実施を促すようにしましょう。

ガス感知器の交換は消防設備点検の際に行うことが多いですが、点検を一も度受けたことが無く、ガス感知器も竣工時のままになっている住戸も稀にあります。ガス感知器のメーカー推奨交換時期は5年とされております。5年経ったら直ちに交換が必要というわけではありませんが、経年劣化してくると誤作動(ガス漏れがないのに警報がなる)が起こります。

少なくともメーカーが推奨する交換時期の倍である10年以内には、全戸交換できるようにしましょう。



火災報知器は点検を怠ると、誤発報が生じることがあります。特に空き住戸は要注意です。消防設備点検を怠った結果、深夜に誤発報が発生し、消防車が駆けつけて安否確認をしたところ、居室内に誰もいなかったという事例もあります。火災でなくて良かったですが、消防署や近隣住戸には大変な迷惑がかかります。

スプリンクラーが誤作動すると、水浸しは漏水の危険があありますし、避難はしごが壊れていると、上層階の住民は安心できません。区分所有者共同の利益のために、消防設備点検の日には必ず在宅し、点検を受けるようにしましょう。

消防設備点検を正当な理由なく拒否し、消防設備の不具合が原因で事故が起きた場合、拒否した区分所有者は損害を賠償する責任を負います。(標準管理規約第23条)また、管理組合としても連続で点検を受けない悪質な区分所有者に対しては、区分所有者の共同の利益に反する行為(同66条)として厳しく対応する義務があります。


消防設備点検の実施率を上げることで、区分所有者共同乗っ利益を確保し、マンションの資産価値を守っていきましょう!

2022年10月8日土曜日

排水管清掃の実施率を上げよう!


2022年10月も中旬に入っていきます。新型コロナウイルス第7波は大分収まってきました。オミクロン株対応のワクチン接種が始まりましたので、もう少しの辛抱です。基本的な感染症対策を実施して、管理組合の活動を活性化させましょう!今回は排水管清掃について説明します。
マンションンの排水管清掃は1年に1回、又は2年に2回程度の頻度で行われております。管理会社が予め実施日を決め、高圧洗浄ポンプ設置の特殊車両を手配して実施します。清掃業者が、マンション各戸(専有部分)に立ち入り、台所、風呂場、洗面所、洗濯機パンの4カ所の排水管を清掃する方法で実施します。所要時間は1戸あたり10分程度です。


排水管は定期的に清掃する必要があり、これを怠ると、詰まり、悪臭、雑菌増殖の原因となります。排水管の寿命が短くなり、大規模修繕工事の前倒しを要することもあります。決められた日に在宅し、必ず清掃を受けられるよう調整する必要があります。

最近では、大型ドラム式の洗濯機が普及したため、洗濯機パンと洗濯機の間に隙間がなく、排水管清掃が実施できないという問題が生じております。ドラム式洗濯機を設置している住戸では、排水管清掃の前に、洗濯機パンのかさ上げ工事が必要になります。かさ上げ台を購入して、洗濯機パンの上に設置するだけですが、重要のあるドラム式洗濯機を2回も移動する必要があるため、自力で行うのは難しいです。管理会社に相談し、設置業者を紹介してもらうのが現実的です。

排水管清掃は法廷点検ではありませんので、強制力はありません。実施率を高めるためには、事前の根回しが必要です。排水管清掃実施の半年前には、かさ上げ工事の必要性と工事を促す案内を行い、数か月前には実施日を確定させ、当日は在宅してもらえるよう周知する必要があります。

事前の周知を徹底することで、マンションの資産価値を守っていきましょう!

2022年10月1日土曜日

大規模修繕工事を先送りを検討しよう!


2022年も10月に入りました。早いもので今年も残すところ3ヵ月です。管理組合の活動は順調に進んでますか?新型コロナウイルスは第7波が収束に向かっています。オミクロン株対応ワクチンの接種も始まりました。Afterコロナまでもう少しです。管理組合として引き続き、基本的な感染症対策を実施していきましょう。今回はマンションの財政と大規模修繕工事の周期について説明致します。


マンションンの大規模修繕工事は、長期修繕計画に基づいて10-15年に1回行うのが一般的です。みなさんのマンションは如何でしょうか?先ず、長期修繕計画の有無を確認して下さい。長期修繕計画は竣工後5年以内を目途に作成する必要があります。もし、無ければ速やかに作成する必要があります。

長期修繕計画上、竣工後15年目に大規模修繕工事を行うことになっているマンションでは、竣工後12年目くらいに、大規模修繕委員会(理事会の諮問機関)を立上げ、大規模修繕工事の準備を開始します。

設計監理会社(コンサルタント)を決め、事前調査を行います。この事前調査の結果によって大規模修繕工事の内容を具体的に決めていきます。(劣化状況に応じて工事を実施)

ここで重要なのは、事前調査後は長期修繕計画ではなく、事前調査の結果に基づいて工事内容を決めることにあります。調査の結果、大きな劣化が見られない場合は、長期修繕計画に従って無理に工事を進める必要はありません。

長期修繕計画上で、竣工後15年目に大規模修繕工事を行うことになっている場合でも、竣工後13年目くらいに実施した事前調査の結果、外壁タイルや屋上防水の状態が良ければ、大規模修繕工事を3~5年程度延長することは可能です。

100戸のマンションが大規模修繕工事を行うと、1回につき1億円程度かかると言われます。1戸あたりおよそ100万円です。15年周期の場合、60年の間に4回の大規模修繕工事が必要ですが、20年周期にすれば、60年の間に3回の大規模修繕工事で済みます。

設計監理会社(コンサルタント)選びは非常に重要です。事前調査の内容が仮に良くても正直に報告せず、長期修繕計画通りに不要不急の工事を促す業者も沢山あるので、設計監理会社選定にあたっては、工事周期について管理組合の考え方を予め伝え、正しく認識頂く必要があります。(不要不急の工事を避け、大規模修繕工事の周期を可能な限り先延ばす)

不要不急の工事を避け、マンションの財産を保全することで、マンションの資産価値を守っていきましょう!

理事会の運営方法を工夫しよう!

2024年11月も最終週に入ります。今年も残り僅かですね。管理組合では常に様々な問題が発生しております。今年のうちに解決すべき積み残し案件については、速やかに進めて参りましょう。今回は理事会の運営方法について説明いたします。 理事会は1~2ヵ月に1回の頻度で役員(理事・監事)が一...