2022年12月31日土曜日

専有部と共用部の境界を理解しよう!

2022年もついに大晦日です。明日から新しい年が始まります。本年も私ども「管理組合」のブログをご覧頂き誠にありがとうございました。2023年も皆さまのお力になれるよう全力を尽くして参ります。引き続きご愛顧の程よろしくお願い致します。今回は専有部と共用部の境界について説明致します。



専有部と共用部の境界は、管理や修繕における責任の所在や、費用負担の観点で非常に重要になります。各マンションによって考え方は異なりますが、概ね、国土交通省が公表しているマンション標準管理規約に準拠して決めていることが多いです。先ずは、管理規約でどのように決められているか確認しましょう。

マンション標準管理規約第7条(専有部分の範囲)
2前項の専有部分を他から区別する構造物の帰属については、次のとおりとする。
一 天井、床及び壁は、躯体部分の除く部分を専有部分とする。
二 玄関扉は、錠及び内部塗装部分を専有部分とする。
三 窓枠及び窓ガラスは、専有部分に含まれないものとする。
※マンション専有・共用区分図の例(国土交通省「マンション標準指針」69ページ)


バルコニー、窓ガラス、玄関扉は共用部に帰属することになります。従って、管理や修繕における費用負担は、管理組合となるのが一般的です。バルコニーの防水工事や、玄関扉の交換工事は、通常、長期修繕計画に含まれており、管理組合の積立金で行います。

一方、これらは管理規約で専用使用権が付いているため、窓ガラスや網戸の破損については、日常管理の位置づけで、専用使用権を有する区分所有者の責任と費用で行うことになります。

専有部と共用部の境目及び、許容部に付された専用使用権を正しく理解し、管理組合と区分所有者が其々の責任と負担で、適切に管理を行うことで、マンションの資産価値を守っていきましょう!

2022年12月24日土曜日

複合型における管理費の負担割合を理解しよう

2022年12月もあと1週間になりました。今年も残すところあと僅かです。管理組合の活動でやり残したことはありませんでしょうか?年が明けると、総会まであっという間です。今年中に業務の棚卸をして、1月からスムーズに残務に着手できるよう準備を進めて行きましょう。今回は複合型マンションにおける、全体共用部の管理費負担割合について説明致します。


全体共用部の管理費・修繕積立金の負担割合は、専有部分の床面積の割合(区分所有法第14条1項)をベースに管理規約で定められています。マンションと商業施設の負担割合は普段あまり意識されないかもしれませんが、大きなお金が動く大規模修繕工事のタイミングで、問題が浮き彫りになることがあります。
大規模修繕工事の見積書を取得したところ、見積額が積立額を大きく超過しており、その原因が、商業施設の通路(全体共用部)にアーケードのような形で設置されている庇(ひさし)であることが判明しました。商業施設の顧客を雨から守るための庇ですが、全体共用部に設置されている以上、規約で特段の定めがない限り、専有面積の割合でマンション区分所有者も負担することになります。

マンション区分所有者の立場からすると、商業施設のための設備であるにも関わらず、マンション管理費(又は、修繕積立金)から修繕費を支出することには抵抗があります。一方、商業施設区分所有者の立場からすると、集客のために重要な設備であるにも関わらず、修繕を行うためには、マンション区分所有者の同意が必要なことに疑問を感じます。

費用の負担割合は、原則専有部分の床面積の割合(同法14条1項)になりますが、形状、面積、位置関係、使用目的及び、利用状況並びに、区分所有者が支払った対価その他の事情を総合的に考慮して、区分所有者の利害の衡平が図られるよう(同30条3項)、管理規約で定める(同30条1項)ことができます。

この問題は、庇が商業施設の顧客のための設備であるにも関わらず、管理規約に区分所有者の衡平が図られるような規定を設けていない点で、管理規約の不備が原因と考えられます。

マンションと商業施設は目的が異なるため、区分所有者間の利害は基本的に一致しません。

区分所有者の利害の衡平が図られるような規約を設けることで、マンションの資産価値を守っていきましょう!

2022年12月17日土曜日

施工業者の選定に競争原理を働かせよう


2022年12月も後半に入ります。年の瀬ですね。年末年始は人流が増加しますので、新型コロナウイルス第8波とインフルエンザの感染に十分注意しましょう。重症化リスクは低いと言われておりますので、社会経済活動を優先しつつ、基本的な感染症対策を抜かりなく続けていきましょう。今回は大規模修繕工事の施工業者選定について説明致します。



マンション管理費や修繕積立金から修繕費用を支出する場合は、相見積もりを取って施工業者を決めるのが原則です。大規模修繕工事は億単位のお金が動くため、施工業者を選定するにあたっては、適性にコンペを行い、最もコストパフォーマンスの良い業者に依頼することが求められます。

大規模修繕工事では巨額のお金が動くため、関係する業者(管理会社・設計監理会社・施工業者)の間で「談合」が行われ、「リベート」が支払われることが多いと言われております。施工業者の選定に影響力を持つ設計監理会社が、リベートを受け取ったり、設計監理会社の選定に影響力を持つ管理会社がリベートを受け取ることが考えられます。

「リベート」といっても、区分所有者にはあまり馴染みがない言葉かもしれません。しかし、「リベート」の原資は、修繕積立金であり、それを負担しているのは、区分所有者であることは言うまでもありません。自らが「リベート」を拠出しているかもしれないことを強く意識し、対策を施す必要があります。「リベート」を防げば、その分修繕積立金の拠出額は減ります。

業者選定を管理会社や設計監理会社に任せてはいけません。管理会社や設計監理会社は自らに都合の良い「見積参加条件」を設け、自らが首謀する「談合」に参加しない業者を巧みに排除している可能性があります。

「談合」に参加しない業者を1社でもコンペに参加させることができれば、「談合」は成立しません。仮に、管理会社や設計監理会社に業者選定の大枠を任せる場合でも、決して丸投げはせず、彼らが設けた「見積参加条件」を満たさない業者の中から数社をコンペに参加させることが必要です。また、管理会社や設計監理会社に「リベートを一切受け取らない旨、万一リベートを受け取ったことが発覚した場合は、違約金を支払う旨」宣言させることも有効です。

大規模修繕工事の業者選定にあたり、競争原理を有効に働かせることで、マンションの資産価値を守っていきましょう!

2022年12月10日土曜日

ペット飼育のルールを理解しよう!

2022年12月もいよいよ中旬に入っていきます。今年も残りわずかとなりました。理事会での取り組みを一度洗い直して、やり残しや未着手の案件が無いか点検しましょう。新型コロナウイルスは第8波の真っただ中ですが、重症化リスクが低いこともあり、危機感は薄らいできました。基本的な感染症対策を行った上で、管理組合の活動を活性化させていきましょう!今回はペットの飼育ルールについて説明します。


近年、室内でペットを飼育する方が増えてきたこともあり、マンションにおけるペット飼育のルールも少しずつ変わってきています。2018年国土交通省のマンション総合調査(163ページ参照)によると、ペットの飼育を容認するマンションが49.3%あるのに対し、ペットの飼育を禁止するマンションが40.3%となっております。2000年を境にペットの飼育を容認する方が多くなりました。

このような社会情勢の変化を受け、現在では使用細則で飼育のルールを明確に定めた上で、ペットの飼育を容認するのが、マンションの資産価値にも良い影響があると考えられています。

使用細則で定めるルールの例
・飼育条件⇒犬・猫・観賞用の小鳥・魚類など、種類と1戸あたりの飼育数上限を定める。
・遵守事項⇒飼育場所は専有部分のみとし、専有部分を出るときは専用の容器に入れる。
・届出義務⇒「ペット飼育承認申請書」を管理組合に提出し、理事会の承認を得る。
・罰則規定⇒他の居住者に迷惑をかける場合は、警告・指示・勧告・承認取消を行う。

このようにルールを明確に定めることで、ペットを飼いたい人と、動物が苦手な方が、其々安心して居住することが可能になります。

ペットが苦手な方にも配慮した飼育ルールを使用細則に定め、飼育者に適切に順守頂くことで、マンションの資産価値を守っていきましょう!

2022年12月3日土曜日

インターネット掲示板を活用しよう!


2022年も12月に入りました。早くも師走です。管理組合としてやり残しはありませんでしょうか?今年も残すところあと僅か。ラストスーパートで取り組みましょう。年末年始は人との接触機会が増えますので、新型コロナウイルスや、インフルエンザの感染には十分注意しましょう。今回は、インターネット掲示板について説明します。




マンションには多くの周知や告知の文書があります。これらは紙に印刷され、エレベーター内や、エントランスに掲示されたり、各戸に投函されたりします。掲示は細かな部分まで把握することが難しい一方、各戸投函はその都度コストと労力がかかります。これを補完するコミュニケーションツールが、インターネット掲示板です。紙による掲示や投函を廃止することは難しいですが、紙と併用することで、効果的かつ効率的な周知や報告をすることができます。

インターネット掲示板の主な機能
掲示板⇒区分所有者や居住者が適時に詳細を確認でき、紙と印刷コストを削減できる。
意見箱⇒区分所有者や居住者から管理組合や管理会社へ質問しやすくなる。(意見収集機能)
書庫⇒管理規約、議事録、長期修繕計画書などを紙で保管する必要がなくなる。
スケジュール⇒年間行事や大規模修繕工事の流れをいつでも確認することができる。

「必要な時に、必要な情報を確認することができる」点がインターネット掲示板のメリットです。また、WEBサイト上でのやり取りになるので、利用者(区分所有者・居住者)が電話番号やメールアドレスなどの個人情報を開示する必要が無い点で、プライバシーやセキュリティ保護の観点からもメリットがあります。

インターネット掲示板は、マンション管理適正化推進センター(国土交通大臣指定)が運営する「マンションみらいネット」(年間使用料2万円)や、ニュースビット社が運営する「マンボー」(使用料無料)などがあります。

プライバシーやセキュリティに配慮しつつ、効果的かつ効率的な情報伝達手段を確保することで、マンションの資産価値を守っていきましょう!

理事会の運営方法を工夫しよう!

2024年11月も最終週に入ります。今年も残り僅かですね。管理組合では常に様々な問題が発生しております。今年のうちに解決すべき積み残し案件については、速やかに進めて参りましょう。今回は理事会の運営方法について説明いたします。 理事会は1~2ヵ月に1回の頻度で役員(理事・監事)が一...