2024年1月27日土曜日

工事施工業者の選定に競争原理を働かせる

2024年1月も残りわずかです。今年は年頭からいろいろなことがありました。災害の被害に遭われた皆さまに対し、改めてお見舞い申し上げます。一日も早く平穏な日常が戻るようお祈り申し上げます。今回は大規模修繕工事の施工業者選定について説明致します。



マンション管理費や修繕積立金から修繕費用を支出する場合は、相見積もりを取って施工業者を決めるのが原則です。大規模修繕工事は億単位のお金が動くため、施工業者を選定するにあたっては、適性にコンペを行い、最もコストパフォーマンスの良い業者に依頼することが求められます。


大規模修繕工事では巨額のお金が動くため、関係する業者(管理会社・設計監理会社・施工業者)の間で「談合」が行われ、「リベート」が支払われることが多いと言われております。施工業者の選定に影響力を持つ設計監理会社が、リベートを受け取ったり、設計監理会社の選定に影響力を持つ管理会社がリベートを受け取ることが考えられます。

「リベート」といっても、区分所有者にはあまり馴染みがない言葉かもしれません。しかし、「リベート」の原資は、修繕積立金であり、それを負担しているのは、区分所有者であることは言うまでもありません。自らが「リベート」を拠出しているかもしれないことを強く意識し、対策を施す必要があります。「リベート」を防げば、その分修繕積立金の拠出額は減ります。

業者選定を管理会社や設計監理会社に丸投げしてはいけません。管理会社や設計監理会社は自らに都合の良い「見積参加条件」を設け、自らが首謀する「談合」に参加しない業者を巧みに排除している可能性があります。

「談合」に参加しない業者を1社でもコンペに参加させることができれば、「談合」は成立しません。仮に、管理会社や設計監理会社に業者選定の大枠を任せる場合でも、決して丸投げはせず、彼らが設けた「見積参加条件」を満たさない業者の中から数社をコンペに参加させることが必要です。

また、管理会社や設計監理会社に「リベートを一切受け取らない旨、万一リベートを受け取ったことが発覚した場合は、違約金を支払う旨」宣言させることも有効です。

大規模修繕工事の業者選定にあたり、競争原理を有効に働かせることで、マンションの資産価値を守っていきましょう!

2024年1月20日土曜日

ペットの飼育ルールを理解する

2024年1月も下旬に入っていきます。1年が経過するのはとても早いです。マンションの資産価値を維持向上するために必要なことは、積極的に進めていきましょう。今回はペットの飼育ルールについて説明いたします。


近年、室内でペットを飼育する方が増えてきたこともあり、マンションにおけるペット飼育のルールも少しずつ変わってきています。2018年国土交通省のマンション総合調査(163ページ参照)によると、ペットの飼育を容認するマンションが49.3%あるのに対し、ペットの飼育を禁止するマンションが40.3%となっております。2000年を境にペットの飼育を容認する方が多くなりました。

このような社会情勢の変化を受け、現在では使用細則で飼育のルールを明確に定めた上で、ペットの飼育を容認するのが、マンションの資産価値にも良い影響があると考えられています。

使用細則で定めるルールの例
・飼育条件⇒犬・猫・観賞用の小鳥・魚類など、種類と1戸あたりの飼育数上限を定める。
・遵守事項⇒飼育場所は専有部分のみとし、専有部分を出るときは専用の容器に入れる。
・届出義務⇒「ペット飼育承認申請書」を管理組合に提出し、理事会の承認を得る。
・罰則規定⇒他の居住者に迷惑をかける場合は、警告・指示・勧告・承認取消を行う。

このようにルールを明確に定めることで、ペットを飼いたい人と、動物が苦手な方が、其々安心して居住することが可能になります。

ペットが苦手な方にも配慮した飼育ルールを使用細則に定め、飼育者に適切に順守頂くことで、マンションの資産価値を守っていきましょう!

2024年1月13日土曜日

インターネット掲示板を有効活用しよう!

2024年1月も第2週目に入ります。幸先の良い活動がスタートできましたでしょうか?所有するマンションの資産価値維持向上のため、今年も全力で取り組んで参りましょう。今回はインターネット掲示板について説明いたします。


マンションには多くの周知や告知の文書があります。これらは紙に印刷され、エレベーター内や、エントランスに掲示されたり、各戸に投函されたりします。掲示は細かな部分まで把握することが難しい一方、各戸投函はその都度コストと労力がかかります。これを補完するコミュニケーションツールが、インターネット掲示板です。紙による掲示や投函を廃止することは難しいですが、紙と併用することで、効果的かつ効率的な周知や報告をすることができます。

インターネット掲示板の主な機能
掲示板⇒区分所有者や居住者が適時に詳細を確認でき、紙と印刷コストを削減できる。
意見箱⇒区分所有者や居住者から管理組合や管理会社へ質問しやすくなる。(意見収集機能)
書庫⇒管理規約、議事録、長期修繕計画書などを紙で保管する必要がなくなる。
スケジュール⇒年間行事や大規模修繕工事の流れをいつでも確認することができる。

「必要な時に、必要な情報を確認することができる」点がインターネット掲示板のメリットです。また、WEBサイト上でのやり取りになるので、利用者(区分所有者・居住者)が電話番号やメールアドレスなどの個人情報を開示する必要が無い点で、プライバシーやセキュリティ保護の観点からもメリットがあります。

インターネット掲示板は、マンション管理適正化推進センター(国土交通大臣指定)が運営する「マンションみらいネット」(年間使用料2万円)や、ニュースビット社が運営する「マンボー」(使用料無料)などがあります。

プライバシーやセキュリティに配慮しつつ、効果的かつ効率的な情報伝達手段を確保することで、マンションの資産価値を守っていきましょう!

2024年1月6日土曜日

2024年の課題


2024年1月に入りました。新年あけましておめでとうございます。今年もマンションの資産価値を維持するための動画を全力で作成して参ります。管理組合チャンネルをよろしくお願い致します。今回は2024年の展望について説明致します。



昨今のキーワードとして、マンション管理適正評価制度第三者管理方式の2つが挙げられます。

マンション管理適正評価制度とは、マンション管理業協会が2022年4月からスタートした評価制度です。開始直後は多くのマンション管理組合が様子見の状態でしたが、1年半余りが経過し、少しずつ登録申請するマンションが増えてきました。マンションの管理状態や、管理組合の運営の状態を星5つから星0までの6段階で評価するものですが、星2つ以下は事実上ありませんので、実態としては星5つから星3つの3段階評価と言えます。評価は、管理体制、建築・設備、管理組合収支、耐震診断関係、生活関連の5項目です。これらの殆どは、管理組合が管理会社に対し委託している業務であり、評価には管理会社名も明記されます。管理組合が評価を受けるという建前になっていますが、実際は、管理会社のランキングという側面が強いのです。管理を受託しているマンションの星5つ獲得数や獲得率は、管理会社として重要な指標になります。管理会社は、「管理組合が申請するのであれば協力しますよ」というスタンスですが、評価が低ければ管理会社の評価が問われますので、本制度を主導している一部の大手管理会社を除き、殆どの管理会社は戦々恐々としているのが実情です。「申請するからには、星5つを取りたい」と思うのは、私たち管理組合だけでなく、むしろ管理会社の方がその動機が強いです。マンションの資産価値の維持向上は管理組合と管理会社が同じ方向を向き、協力して初めて実現します。管理組合と管理会社が目標を明確にし、管理会社を本気にさせる上で、本評価制度はとても有効だと考えます。管理組合としては、管理会社に本気で業務に取り組んでもらうための動機付けとし、マンションの資産価値を維持・向上させるために、積極的に登録すべきと考えます。登録料も微々たるものであり、登録を躊躇する理由は見当たりません。

第三者管理方式とは、管理組合の運営を専門家(管理会社やマンション管理士など)に委ねることです。現在多くのマンションでは区分所有者が輪番で理事を担い、自ら管理組合を運営する「理事会方式」を採用していますが、昨今、区分所有者の高齢化や投資用マンションの増加し、理事のなり手不足という問題が健在化したことで、「第三者管理方式」が選択肢として挙がるようになってきました。2023年から一部の管理会社が、新築マンションや管理不全が深刻なマンションに対し「第三者管理方式」での管理を積極的に売り出しています。リゾートマンションや投資用マンションでは既に普及していますが、一般のファミリー向けのマンションへの早期普及は難しいと考えています。その理由は、管理コストが高いことにあります。第三者管理方式は専門家に対価を支払って管理を委ねるため、区分所有者が理事となり自ら管理する場合に比べコストが掛かります。更に、区分所有者は修繕を行うにあたって、相見積もりを取得したり、コンペを実施して、最も経済的合理性が高い業者に発注しますが、第三者は提携業者に発注するため、経済的合理性は大幅に損なわれます。効果的かつ効率的に管理組合を運営するためには、「理事会方式」であることが必須と考えております。また、第三者方式を採用した場合でも、区分所有者の責任が免れるわけではありません。高コストによる不利益は全て、管理費及び修繕積立金の値上げという形で、区分所有者が被ることになります。マンションの資産価値を維持・向上させるためには、従前通り、「理事会方式」を採用すべきであると考えます。

又、2024年問題として、運送トライバーの勤務時間制限がスタートします。管理組合としても再配達を防ぐ施策が必要になります。一定の条件を満たすと、国土交通省が宅配ボックス設置に補助金を支給する予定です。宅配ボックスが無いマンションは是非、ご検討下さい。

「理事会方式」を採用しつつ、「マンション管理適正評価制度」を有効に活用し、管理会社と目標を一にすることで、マンションの資産価値を守って行きましょう!

理事会の運営方法を工夫しよう!

2024年11月も最終週に入ります。今年も残り僅かですね。管理組合では常に様々な問題が発生しております。今年のうちに解決すべき積み残し案件については、速やかに進めて参りましょう。今回は理事会の運営方法について説明いたします。 理事会は1~2ヵ月に1回の頻度で役員(理事・監事)が一...