2024年12月28日土曜日

消防設備点検の実施率を上げる

2024年も残り3日となりました。晦日、大晦日、元旦。あっという間の1年でしたね。積み残し案件のある管理組合は、年明け早々理事会を開催し、早期可決を目指しましょう。今回は消防設備点検について説明いたします。

消防設備点検は通常年2回程度実施され、排水管清掃同様、業者が住戸を回りますので、点検日には在宅が必要になります。点検の対象は火災報知器、ガス感知器、避難はしご、スプリンクラーなどで、所要時間は1住戸あたり5分程度です。

いろいろと予定が入っている居住者も多く、実施率を100%にすることは難しいですが、実施率を上げること及び、前回実施できなかった住戸には、必ず実施してもらうことが重要です。

連続して実施していない住戸に対しては、管理会社を通じて実施を促すようにしましょう。

ガス感知器の交換は消防設備点検の際に行うことが多いですが、点検を一も度受けたことが無く、ガス感知器も竣工時のままになっている住戸も稀にあります。ガス感知器のメーカー推奨交換時期は5年とされております。5年経ったら直ちに交換が必要というわけではありませんが、経年劣化してくると誤作動(ガス漏れがないのに警報がなる)が起こります。

少なくともメーカーが推奨する交換時期の倍である10年以内には、全戸交換できるようにしましょう。


火災報知器は点検を怠ると、誤発報が生じることがあります。特に空き住戸は要注意です。消防設備点検を怠った結果、深夜に誤発報が発生し、消防車が駆けつけて安否確認をしたところ、居室内に誰もいなかったという事例もあります。火災でなくて良かったですが、消防署や近隣住戸には大変な迷惑がかかります。

スプリンクラーが誤作動すると、水浸しは漏水の危険があありますし、避難はしごが壊れていると、上層階の住民は安心できません。区分所有者共同の利益のために、消防設備点検の日には必ず在宅し、点検を受けるようにしましょう。

消防設備点検を正当な理由なく拒否し、消防設備の不具合が原因で事故が起きた場合、拒否した区分所有者は損害を賠償する責任を負います。(標準管理規約第23条)また、管理組合としても連続で点検を受けない悪質な区分所有者に対しては、区分所有者の共同の利益に反する行為(同66条)として厳しく対応する義務があります。


消防設備点検の実施率を上げることで、区分所有者共同の利益を確保し、マンションの資産価値を守っていきましょう!

2024年12月21日土曜日

排水管清掃の実施率を上げる


2024年も12月も後半に入ります。今年も残り僅かですね。元旦の能登地震から始まり、猛暑や台風、ゲリラ豪雨など自然災害に見舞われた一年でした。管理組合としての積み残し案件は可能な限り今年中に目途をつけましょう。今回は排水管清掃について説明いたします。

マンションンの排水管清掃は1年に1回、又は2年に2回程度の頻度で行われております。管理会社が予め実施日を決め、高圧洗浄ポンプ設置の特殊車両を手配して実施します。清掃業者が、マンション各戸(専有部分)に立ち入り、台所、風呂場、洗面所、洗濯機パンの4カ所の排水管を清掃する方法で実施します。所要時間は1戸あたり10分程度です。





排水管は定期的に清掃する必要があり、これを怠ると、詰まり、悪臭、雑菌増殖の原因となります。排水管の寿命が短くなり、大規模修繕工事の前倒しを要することもあります。決められた日に在宅し、必ず清掃を受けられるよう調整する必要があります。

最近では、大型ドラム式の洗濯機が普及したため、洗濯機パンと洗濯機の間に隙間がなく、排水管清掃が実施できないという問題が生じております。ドラム式洗濯機を設置している住戸では、排水管清掃の前に、洗濯機パンのかさ上げ工事が必要になります。かさ上げ台を購入して、洗濯機パンの上に設置するだけですが、重要のあるドラム式洗濯機を2回も移動する必要があるため、自力で行うのは難しいです。管理会社に相談し、設置業者を紹介してもらうのが現実的です。

排水管清掃は法廷点検ではありませんので、強制力はありません。実施率を高めるためには、事前の根回しが必要です。排水管清掃実施の半年前には、かさ上げ工事の必要性と工事を促す案内を行い、数か月前には実施日を確定させ、当日は在宅してもらえるよう周知する必要があります。

事前の周知を徹底することで、マンションの資産価値を守っていきましょう!

2024年12月14日土曜日

大規模修繕工事の長周期化


2024年12月も後半に入ります。今年も残すところあと10数日になりました。皆さま如何お過ごしでしょうか?管理組合の積み残し案件が山積しているマンションではできる限り今年の内に目途をつけていきましょう。今回はマンションの財政と大規模修繕工事の周期について説明いたします。



マンションンの大規模修繕工事は、長期修繕計画に基づいて10-15年に1回行うのが一般的です。みなさんのマンションは如何でしょうか?

先ず、長期修繕計画の有無を確認して下さい。長期修繕計画は竣工後5年以内を目途に作成する必要があります。もし、無ければ速やかに作成する必要があります。

長期修繕計画上、竣工後15年目に大規模修繕工事を行うことになっているマンションでは、竣工後12年目くらいに、大規模修繕委員会(理事会の諮問機関)を立上げ、大規模修繕工事の準備を開始します。

設計監理会社(コンサルタント)を決め、事前調査を行います。この事前調査の結果によって大規模修繕工事の内容を具体的に決めていきます。(劣化状況に応じて工事を実施)

ここで重要なのは、事前調査後は長期修繕計画ではなく、事前調査の結果に基づいて工事内容を決めることにあります。調査の結果、大きな劣化が見られない場合は、長期修繕計画に従って無理に工事を進める必要はありません。

長期修繕計画上で、竣工後15年目に大規模修繕工事を行うことになっている場合でも、竣工後13年目くらいに実施した事前調査の結果、外壁タイルや屋上防水の状態が良ければ、大規模修繕工事を3~5年程度延長することは可能です。(長周期化)

100戸のマンションが大規模修繕工事を行うと、1回につき1億円程度かかると言われます。1戸あたりおよそ100万円です。

15年周期の場合、60年の間に4回の大規模修繕工事が必要ですが、20年周期にすれば、60年の間に3回の大規模修繕工事で済みます。

大規模修繕工事を適切に実施する上で、設計監理会社(コンサルタント)選びは非常に重要です。

事前調査の内容が仮に良くても正直に報告せず、長期修繕計画通りに不要不急の工事を促す業者も沢山あるので、設計監理会社選定にあたっては、工事周期について管理組合の考え方を予め伝え、正しく認識頂く必要があります。(不要不急の工事を避け、大規模修繕工事の周期を可能な限り先延ばす)

不要不急の工事を避け、マンションの財産を保全することで、マンションの資産価値を守っていきましょう!

2024年12月7日土曜日

共用部の管理責任

2024年も12月に入りました。今年も残すところ僅かです。皆様いかがお過ごしでしょうか?積み残し案件がある管理組合も多いと思いますが、できる限り今年のうちに解決させましょう。今回は共用部の管理責任について説明いたします。


区分所有者とは「区分所有権を有するもの」(区分所有法第2条)と定義されており、マンション内の区画(住戸や店舗)を所有する者を意味します。

所有しているのは自分の専有部(住戸区画)の他、エントランス、エレベータ、廊下、バルコニー、集会室、管理員室、非常階段、宅配ボックスなどの共用部も含まれます。(共用部の持分比率は、専有部の面積比率)

一般的に「マンションを買った」というと、専有部のみをイメージしがちですが、実際は共用部を含んでいることを忘れてはいけません。

専有部の維持管理にかかる費用はもっぱらその区分を所有する者が担いますが、共用部の維持管理(清掃・点検・修繕)にも相応のお金がかかっています。

私たち区分所有者は、毎月管理組合に数万円もの管理費を納めています。

共用部の維持管理にかかるお金は、管理組合が毎月区分所有者から預かっている管理費の中から支払われています。

区分所有者は、共用部の管理のために毎月管理組合に管理費を納めているのです。

区分所有者から預かった管理費の使い道は、大枠を管理組合総会で決定した上で、管理組合理事会が具体的に決めて、管理運営を行っています。

区分所有者は専有部には関心が強い反面、共用部にはほとんど関心がありません。管理も他人(理事)に任せきりで、ほとんど関与していないのが現実です。

しかし、先述の通り、共用部の維持管理費用は区分所有者が負担しております。

区分所有者には、共用部を維持管理する責任があります。「共用部も含め所有している」という意識を持って、何にどの程度の金額が使われているのか、関心を持つようにしましょう。

無駄を排し、効果的かつ効率的に管理を行うことが重要です。清掃、点検、修繕などは、必ず相見積もりを取得し、最もコストパフォーマンスが良い業者に発注することが鉄則です。

「共用部も含めて所有している」という意識を持って、主体的に管理に関与することで、マンションの資産価値を守っていきましょう!

2024年12月6日金曜日

管理規約や使用細則の位置づけ

2024年も12月に入りました。早いもので今年も師走です。元旦の能登地震から始まり、地球温暖化に伴う猛暑やゲリラ豪雨など自然災害に見舞われた一年となりました。みなさんのマンションでも必ず未解決の案件が残っていると思います。今年の内に目途を立てることができるよう理事会として全力を尽くして参りましょう。今回はマンション管理のルールブックである管理規約及び、使用細則について説明いたします。

マンションには年齢や職業が異なる様々な背景を持った区分所有者がいます。彼らの利害を調整する根拠となるのが、管理規約(使用細則)になります。何か問題が起きた時はまず、管理規約(使用細則)を確認して、それに沿った形で対処することになります。いわば、マンションのルールブックといえます。


マナー(ペット・騒音・タバコの煙)や、管理費滞納などの問題が生じたときはもとより、緊急時も管理規約に基づいて対応することになります。管理規約の冊子は分かりやすい場所に保管し、常に確認できる状態にしておきましょう。


一般的にマンション竣工にあたり、デベロッパーが管理規約を定めたうえでマンションを販売します。管理規約の冊子は、部屋が売主であるデベロッパーから、買主である区分所有者に引き渡されたときに配布されることが多いと思います。

しかし、内容についてはデベロッパーが全て勝手に決めているわけではありません。ペットの飼育可否など、販売に直結する部分についは、地域の事情を踏まえ、販売しやすい形にしますが、その他ほとんどの部分は、国土交通省が公表している「標準管理規約」がベースに作成しています。

また、私たち区分所有者はデベロッパーが定めた原始規約に未来永劫拘束されるわけではありません。社会情勢の変化によって、人々の生活様式や価値観は変わってきます。管理規約(使用細則)も時代とともに変えていく必要があります。

例えば、ペット飼育可能として販売したマンションであっても、飼育する人のマナーが悪すぎれば、総会決議によって飼育不可に変更となる可能性はあります。逆に、ペット飼育不可のマンションでも社会情勢の変化に応じて、ルール詳細を使用細則に定めた上、飼育可能とすることもできます。

管理規約は全区分所有者の議決権の3/4以上の賛成で、使用細則は過半数の賛成でそれぞれ変更することができます。

区分所有者の社会様式や価値観の変化に応じて管理規約を柔軟に変更することで、マンションの資産価値を守っていきましょう!

施工業者の選定に競争原理を働かせる

2025年3月も中旬に入ります。気候も安定しそろそろ桜の季節になります。皆さま如何お過ごしでしょうか?管理組合はどこも懸案事項が山積しております。豪雨の季節が来る前に少しでも諸案件を前に進めましょう。今回は大規模修繕工事の業者選定について説明いたします。 マンション管理費や修繕積...