2025年1月26日日曜日

専門委員会を組織して問題を解決する


2025年1月も最終週に入ります。今年も良いスタートを切ることができましたでしょうか?これから今年最初の理事会を迎える管理組合も多くあると思います。課題が多くある中、一つづつ前に進めていきましょう。今回は専門委員会について説明いたします。

専門委員会とは、「大規模修繕委員会」「管理規約改定委員会」など、高額なお金が動くテーマや、区分所有者・居住者の利害に絡むテーマについて、それぞれ関心・専門知識・利害がある区分所有者を「委員」とし、理事会の諮問機関として活動する組織です。



理事会には任期(通常1~2年)があるのに対し、専門委員会は任期がありませんので、テーマが完結するまで同じメンバーで協議できる点が優れています。大規模修繕や管理規約など金額的・質的に重要なテーマについては、このように多くの区分所有者が関与できる機会を設けることで安心感が生まれます。

但し、理事会の諮問機関である、専門委員会が、理事会と対立したり、認識に相違が出ると意味が無いので、理事も専門委員会のメンバーに名を連ねるなど、理事会と歩調を合わせて進めて行くことが重要です。

毎年、総会で鋭い質問をする区分所有者が数名いると思います。その結果、総会がスムーズに進行できないこともあります。これは、一般の区分所有者が、管理組合の意思決定に関与できるのが、総会に限られているからです。

このように問題意識の高い区分所有者に専門委員会に参加頂くことが重要になります。忙しくて毎回出席できないかもしれませんが、会議録を配布することで、情報共有はできます。これが上手く機能すれば、総会で鋭い質問をしていた方を、回答する側に持っていくことも可能になります。(昨日の敵が今日の味方)

このように専門委員会は、単に重要なテーマを話し合うに留まらず、マンション内の「合意形成」の有効な手段になります。その点を意識して、区分所有者・居住者への「周知」にも力を入れていきましょう。

専門委員会を有効に機能させ、スムーズに合意形成を図ることで、マンションの資産価値を守っていきましょう!

2025年1月18日土曜日

管理費の滞納は早期解決を目指そう


2025年1月も早くもに入ります。今年は太平洋側は穏やかな天候が続く一方、日本海側は大雪のスタートとなりました。地球温暖化の影響で異常気象が続いております。今年も局地的な降水・降雪には十分注意しましょう。今回は管理費滞納への対処方法について説明いたします。




私たち区分所有者は、毎月の管理費及び、修繕積立金を口座引落によって、管理組合に収めています。管理費の滞納は何らかの事情によって、引落がかからなかったことを契機に始まることが多いです。

引落口座への振替忘れなど、些細なことから始まるのですが、管理費は月額数万円と比較的高額なことから、2ヵ月分、3ヵ月分と溜めてしまうと、支払いが難しくなることも珍しくありません。管理組合による月内の早期発見が何より重要です。当月中に発見し督促すれば、大事に至る可能性は低くなります。

管理会社との管理委託契約で、通常は管理会社が督促を行う取り決めになっております。(標準管理委託契約別表第1事務管理業務、1基幹事務、(2)出納、➁管理費等滞納者に対する督促)口座振替日に引落ができなかった区分所有者がいた場合は、口座振替日の翌日に管理組合に報告してもらうよう、予め管理会社の担当者に伝えておくことが重要です。

管理委託契約では、「管理会社は支払期日から6ヵ月間督促をする」と定められており、それ以降は管理組合の役員が自ら督促を行う必要があります。管理会社に契約で定められた期間をフルに督促してもらうためには、早期発見、早期報告が必須になります。

また、管理費債権は5年で時効により消滅するため、管理組合としてはその点についても細心の注意が必要です。

管理会社が督促をしてくれる期間である6ヵ月で必ず解決するためには、管理組合としては、その半分である3ヵ月以内での解決を目標に定めるのが有効です。「滞納開始⇒管理組合への報告⇒電話による督促⇒訪問による督促⇒書面による督促⇒内容証明郵便による督促」これを3ヵ月以内に実施するのがポイントです。

内容証明郵便が届くことで、滞納者の多くは焦って、自ら解決に動き出します。3ヵ月以内に内容証明郵便による督促まで持っていくことを予めマニュアル化しおくのが望ましいです。

多くの場合、このマニュアル通りに督促を進めれば解決できますが、それでも解決できない場合は、背後に大きな問題があることが想定されるため、長期化が懸念されます。管理会社が対応してくれる6ヵ月が過ぎるまで、残り3ヵ月。ここで何とか解決の目途をつけることが大事になります。

滞納者に滞納額の一部を支払ってもらうか、支払計画書を提出してもらうことで、支払意思があることを明確にし(承認)、時効が進まないようにします(民法152条1項)。粘り強く丁寧に督促を続け、6ヵ月以内での解決を目指しましょう。

毎月、区分所有者からお預かりしている管理費や修繕積立金は、区分所有者共有の財産です。管理費滞納行為は、共有財産を毀損する(マンションンの資産価値を下げる)行為なので、これを放置したり、黙認したりしてはいけません。

毎月管理費をきちんと収めている区分所有者から、管理組合が責任を問われることになります。

滞納が発生したら、「早期発見、早期対応、早期解決」が鉄則です。6ヵ月以内に解決することで、マンションの資産価値を守っていきましょう!

2025年1月11日土曜日

機械式駐車場の収支の見える化

2025年も第2週に入ります。今年最初の理事会を開催するマンションも多いと思います。管理組合もいよいよ本格稼働していきます。幸先よくスタートが切れるよう取り組んで参りましょう。今回は機械式駐車場の収支にすいて説明いたします。

マンションは車を駐車する十分な敷地を確保するのが難しいため、機械式駐車場が採用されるケースが多くみられます。特に都市部では殆どが機械式駐車場です。機械式駐車場は、「多段方式・二段方式」と、「垂直循環方式・エレベータ方式」に大別され、前者は屋外、後者は屋内(タワーパーキング)に設置されます。



機械式駐車場は、メンテナンスにお金がかかります。竣工後間もないマンションでは定期点検の費用しか掛からないので、問題点に気付きにくいです。

しかし、竣工後10年を目安に故障が頻発するようになります。機械式駐車場は、細かな部品や精密機器を組み合わせて作られているため、個々の部品や機器が耐用年数を迎えると、その都度不具合が生じます。

不具合が生じると、部品の修理や機器の交換が必要になります。長期修繕計画で予定されているものであれば、特に大きな問題は無いのですが、計画に無い(予期せぬ)修理や交換が続くと、管理費を圧迫することになります。この状況で、駐車場の稼働率(契約率)が下がると管理費が枯渇してしまいます。

多くのマンションでは、駐車場収入は一般会計で管理し、駐車場支出は積立金会計で管理しているため、機械式駐車場の収支を把握することが難しくなっています。利益を出しているのであれば、問題ないのですが、損失を出してる場合は、機械式駐車場の廃止を含め検討が必要になります。

適切な判断を行うためには、機械式駐車場の収支表を作成し、区分所有者に共有することが求められます。収支表が無い場合は直ちに管理会社に作成を依頼して下さい。(駐車場収支の見える化が必要です。)また、決算資料の「一般会計」「積立金会計」から「駐車場会計」を正式に独立させることも検討しましょう。

竣工後30年の収支は下記のようになります。(60台のタワーパーキングの例)

収入)約3億円<18,000円×12ヵ月×30年×80%(稼働率)×60台>

支出)約3億円<定期メンテナンス及び修理代1億円+本体更新費用2億円>

稼働率の低下や、予期せぬ修理代の増加があり、収支バランスが崩れている場合は、機械式駐車場の廃止を検討する必要があります。本体の更新時に慌てることが無いよう、駐車場収支の状況については、毎年の総会で区分所有者に報告し、共有しておくことが望ましいです。

機械式駐車場の収支を正しく把握することで、マンションの資産価値を守っていきましょう!

2025年1月4日土曜日

2025年の管理組合について

あけましておめでとうございます。2025年がスタートしました。管理組合としても是非、このタイミングで一年間の目標を立てていきましょう。マンションの共用部を運営していると、実に様々な問題にぶち当たります。具体的な対応については、区分所有者の代表で構成される理事会で担うことになります。昨年からの積み残し案件がある場合は、1月中に解決に向けた目途を立てて、次に進めていきましょう。



マンション管理で昨今キーワードになっているのが、「第三者管理方式」や、「管理評価制度」といった「管理」に関するものです。これは、マンションを管理するにあたり、誰がどの程度のコストを負担し、誰が主体的に管理を行うのか?つまり、費用対効果の問題になります。巨額のコストをかければ、良質な管理を受けられるのは容易ですが、巨額のコストについて、総会で合意形成を得ることは極めて困難です。いかにコストを抑え、質の高い管理を行うか?が問われます。つまり、管理組合としては、効果的かつ効率的な管理がポイントになります。

昨今話題になっている「大規模修繕工事の長周期化」も同様です。一般的に、長期修繕計画では大規模修繕工事を12年~15年周期で設定されておりますが、近年では外壁防水などで使用される資材に耐久性他高い製品が出てきている関係で、17年~20年周期に延ばすことができるようになっております。大規模修繕工事の費用は大部分が足場を組むことに充てられていますので、足場が必要な工事を延ばすとができれば、修繕コストを大幅に下げることができます。

一方、大規模修繕工事は足場を必要とする工事なので、足場を必要としない日常修繕工事については、劣化や不具合が発生した都度、こまめに対応しましょう。こまめな対応は建物を適切な状態に保つ上大事なことです。「大規模修繕工事の際まとめて行う」という発想は捨て去る必要があります。

要は、バランスが大事ということになります。巨額のコストがかかる足場を必要とする工事は可能な限り延期する一方、足場を必要としない工事はできるかぎり小まめに実施するのが良いと考えられております。

2025年も共用部の管理を、費用対効果を考え、効果的かつ効率的に行うことで、マンションの資産価値を守っていきましょう。

施工業者の選定に競争原理を働かせる

2025年3月も中旬に入ります。気候も安定しそろそろ桜の季節になります。皆さま如何お過ごしでしょうか?管理組合はどこも懸案事項が山積しております。豪雨の季節が来る前に少しでも諸案件を前に進めましょう。今回は大規模修繕工事の業者選定について説明いたします。 マンション管理費や修繕積...