2025年8月16日土曜日

管理組合と自治会はどう違うの?


 2025年8月も下旬に入ります。お盆休みはあっという間に過ぎ去ってしまいました。早くも心なしか日が短くなった気がします。夏休みが終わると秋から年末まで一気にやってきます。まだまだ猛暑日が続きますが、積み残し案件がないよう管理組合の活動を本格化させましょう。今回は管理組合と自治会の違いについて説明いたします。(似て非なるものです。)




区分所有者からお預かりしているマンション管理費の中から、自治会費を支出しているマンションもあると思います。管理組合が自治会費を代理徴収しているに過ぎないのであれば良いのですが、管理組合の経費として自治会費を支出している場合は、問題があるので注意が必要です。

管理組合と自治会は、「対象者」、「目的」、「加入義務の有無」が異なります。

管理組合の対象者が、「区分所有者」であるのに対し、自治会の対象者は「居住者」になります。

管理組合の目的が「資産価値維持向上」であるのに対し、自治会の目的は「地域コミュニティ形成」です。

管理組合は加入が「義務」であるのに対し、自治会の加入は「任意」とされています。

国土交通省は、標準管理規約第27条のコメントで、マンション管理費と自治会費を区分経理(明確に区別)することを求めています。区分所有者からお預かりしているマンション管理費の中から自治会費を支出すると、結果として自治会に加入したくない人からも強制的に自治会費を徴収することになるため、十分な配慮が必要です。

また、賃貸の場合、結果として非居住の区分所有者(賃貸人)に自治会費を負担させることがないよう配慮が必要です。自治会は居住者(賃借人)に加入の意思が確認できた場合にのみ徴収ができるため、管理組合が代理徴収している場合は、その点十分な配慮が必要です。

標準管理規約は、管理組合と自治会のお財布を別にすることと、自治会費を強制徴収しないことを求めているのであって、管理組合と自治会の活動を分断することを求めているのではありません。管理組合としては、自治会とどんな関係を築いていけば良いのでしょうか?

其々の目的(マンション資産価値の維持向上・地域コミュニティの形成)が重なる部分で協力していくのがベストです。マンションは地域の中に存在するのですから、地域コミュニティと関係が悪ければ、資産価値を維持することは難しくなります。一方、自治会は地域内に存在するマンションの居住者の多くが未加入の場合、地域コミュニティの形成は難しくなります。双方の目的を達成するために、お互いができる範囲で協力していきましょう。

管理組合としては、自治会費をマンションの会計とは完全に分けた上で、代理徴収には協力するというのも一つの方法です。

自治会との関係を理解し、相互に協力し合うことで、マンションの資産価値を守っていきましょう!

2025年8月9日土曜日

契約不適合責任について

2025年8月も中旬に入っていきます。お盆が来ると夏休みの終わりも見えてきます。あっという間でしたね。本当に楽しいのは7月の下旬から8月の上旬くらいまでで、残りは宿題に追われる日々になる人も多いと思います。実際に宿題は無くても気持ちにゆとりは無くなってきますね。

今回は契約不適合(瑕疵)を発見した場合の対応方法について説明いたします。




マンションの竣工から10数年後に予定されている第1回目の大規模修繕工事までの間には、どのマンションでも大なり小なり契約不適合(瑕疵)は必ず生じます。その時、管理組合がどのように対応するかによって区分所有者が負担するコストに大きな違いが生じるので注意が必要です。

売主に対して責任を追及する根拠は、アフターサービス契約や、住宅の品質確保の促進に関する法律(品確法)が挙げられます。躯体10年、水回り5年、その他2年が一般的な保証期間です。しかし、この期間内に発見できるとは限りません。売主には期間を1日でも過ぎれば責任を回避します。売主としての責任が無いわけではありません。売主に対し、責任を追及する必要があります。保証期間が過ぎている場合、満額の請求は難しかもしれませんが、その場合でも売主に補修費用の一部は負担させるべきです。管理組合と売主(デベロッパー)の交渉事になります。

交渉を進めていく上で、管理会社のサポートは欠かせません。但し、管理会社の属性によってサポートの仕方が全く異なりますのでその点留意して下さい。

・デベロッパー系管理会社(売主との資本関係あり)
・独立系管理会社(売主との資本関係なし)

デベロッパー系管理会社は、売主の子会社やグループ会社になります。顧客である管理組合より、親会社である売主の意向を優先します。管理組合が売主に責任を追及する場合、表向きは顧客の立場で売主と対峙しますが、実際は本気で売主を相手に交渉することはありません。従って、管理組合としては、売主と対峙するのでははく、売主グループとして管理会社に対し責任を追及するのが得策です。共用部を管理しているのは管理会社であるため、管理会社は管理組合に対し、保証期間内に契約不適合(瑕疵)を報告する義務があります。それを怠ったことが保証期間を過ぎた原因であれば、その責任は管理会社にあります。管理委託契約の善管注意(善良なる管理者の払うべき注意)義務(民法644条)違反を根拠に、管理会社に責任を追及し、売主グループ内で解決させるのが有効です。

独立系管理会社は、売主と資本関係はありませんので、売主に何ら遠慮する必要はありません。顧客である管理組合をサポートし、一緒に売主に対し責任を追及することが可能です。しかし売主の懐に入って交渉することは難しく、管理組合とともに試行錯誤で交渉していくことになります。独立系の管理会社と管理委託契約を締結する際は、契約不適合(瑕疵)への対応姿勢を予め確認し、管理組合の立場で一緒に闘ってくれるか?確認する必要があります。「保証期間が過ぎているから難しいです。」という姿勢であれば、デベロッパー系管理会社と変わらないので意味がありません。顧客(管理組合)のために、顧問弁護士とともに売主に対峙する姿勢が求められます。

契約不適合(瑕疵)には、管理会社の属性を理解した上で、売主に責任を追及することで、マンションの資産価値を守っていきましょう!

2025年8月2日土曜日

機械式駐車場の稼働率について

2025年も8月に入りました。夏真っ盛りです。夏休みも残りあと半分ほどですが、お子さんの宿題は順調に進んでおりますでしょうか?これからはますます雷を伴う局地的な豪雨に注意が必要になります。今回は機械式駐車場の稼働率について説明いたします。


械式駐車場とは、限られたスペースに多くの車を駐車できるようにするための構造物です。可動式の構造物であるため、エレベーターと同様に「使用するにあたり、常にメンテナンスが必要である」という特徴があります。点検や部品の交換、本体の更新に多額のコストが必要です。これらのコストは主に駐車場利用者から徴収する駐車場使用料で賄われています。

1990年代は車を保有する家庭が多く、自治体が付置義務(駐車場数の下限)を定めていたこともあり、分譲マンションには積極的に設置されておりました。2000年代に入ると、高齢化や若者の車離れが進み、車を保有しない家庭が増え、駐車場の契約者数が減ってきました。

クルマの保有台数が減ったことにより、機械式駐車場に空きが増え、駐車場収入は減少する傾向にあります。一方で機械式駐車場のメンテナンスコストは空き区画も含め断続的に発生します。機械式駐車場メーカーやメンテナンス業者が淘汰されていることから、メンテナンスコストは増加の傾向が見られます。また、業者の統廃合により、今までと同じサービスが受けられないという問題も出てきています。

駐車場収入の減少と、メンテナンスコストの増加で、管理組合の収支が圧迫されている状況が見られるようになりました。空き区画とメンテナンスコストの問題を考えると、今後は、機械式駐車場の一部又は、全部を解体し、平置き駐車場への変更も視野に入れる必要があります。

管理組合としては、駐車場の稼働率に注目して、駐車場収入とメンテナンスコストのバランスを確認する必要があります。駐車場収入が赤字になると一般会計から補填することになり、マンションの資産価値を押し下げてしまいます。メンテナンスコストを確保するためには、最低何台の契約が必要なのかを計算し、契約数がそれを下回った段階で、機械式駐車場の減築を検討しましょう。

稼働率に応じて機械式駐車場を減築することで、マンションの資産価値を守っていきましょう!

管理組合と自治会はどう違うの?

 2025年8月も下旬に入ります。お盆休みはあっという間に過ぎ去ってしまいました。早くも心なしか日が短くなった気がします。夏休みが終わると秋から年末まで一気にやってきます。まだまだ猛暑日が続きますが、積み残し案件がないよう管理組合の活動を本格化させましょう。今回は管理組合と自治会...