国土交通省が2008年に公表した長期修繕計画作成ガイドラインによると、計画期間は30年以上とし、5年毎の見直しを推奨しております。しかし、管理組合の実情からすると、竣工時にデベロッパーが作成した長期修繕計画に基づいて毎月積立金を拠出し、竣工後15年程度に設定されている最初の大規模修繕工事に向けた調査・診断でマンションの状態を知り、大規模修繕工事の後に長期修繕計画を見直すというのが一般的な流れになっていると思います。
見直しをするためには、専門家による調査・診断が必要になり、毎回それなりの費用がかかります。長期修繕計画にそれらの費用が織り込まれていないことが殆どであるため、実際には5年毎の見直しは難しいと思われ、大規模修繕工事毎の見直しが現実的と考えます。
5年毎の見直しは、資材代や工賃の上昇を懸念し、時々の相場に応じて見直すという趣旨ですが、近年の技術革新によって防水資材等の耐用年数が計画時の想定より伸びているという現実もあります。資材代や工賃の上昇分は大規模修繕工事の時期を当初計画より後ろ倒すことで十分吸収できます。国土交通省が2011年に公表した修繕積立金ガイドラインによると、修繕積立金の目安は㎡あたり202円/月(70㎡の場合約1万4千円/月)になります。これより著しく低い場合は積立不足の懸念がありますが、これくらい積み立てていれば大きく不足することはありません。また、最初の大規模修繕工事に向けた調査の結果、外壁タイルの浮きが膨大に検出されるなどの不具合が検出された場合は、施工時の瑕疵の可能性が高いので、売主であるデベロッパーに補償を求めることで区分所有者の負担を抑える必要があります。
大事なことは、「長期修繕計画で決まっているから」や「管理会社が言うから」という理由で安易に工事をしないことです。最初の大規模修繕工事に向けた調査・診断の結果が良ければ、躊躇なく大規模修繕工事を延期し、無駄な費用をかけないようにしましょう。
マンションの資産価値を維持するためには、不要不急の修繕工事を控え、柔軟に対応することが求められます。
0 件のコメント:
コメントを投稿