一般的なマンションでは、管理組合は管理会社との間に管理委託契約を結んでおり、そのうちの事務管理業務には「管理費等滞納者に対する督促」が含まれますので、管理会社が督促を行います。しかし、管理会社が未来永劫督促を引き受け、必ず回収してくれる訳ではありません。管理委託契約では督促期間を6カ月程度に定めていることが多く、期間を過ぎたものは管理組合(理事)が直接行う必要があります。また、管理費債権は5年で時効により消滅しますので、管理組合としてきちんとした対策が必要になります。
2018年のマンション総合調査(国土交通省)によると、3ヵ月以上の滞納者がいる管理組合の割合は24.8%、6カ月以上の滞納者がいる割合が15.2%、1年以上の滞納者がいる割合が16.4%となっております。6か月以上経過すると回収が難しくなること分かります。管理組合としては、早期に発見し、3ヵ月以内での解決を目指すことが重要になります。
管理会社が督促をするのが6か月なので、期間の半分である3ヵ月以内に解決できるよう、管理組合(理事会)で督促業務の具体的内容を決めマニュアル化し、管理会社にはマニュアルに沿って督促業務を実施頂くよう指示するのが効果的です。先ずは、早期発見が大事なので、引落が掛からなかった区分所有者が出た場合、直ちに理事会に報告すること。続いて、電話及び訪問により督促を行いその結果を週1回理事会に報告すること。それでも解決しない場合は、書面や内容証明郵便による督促を行った上、電話及び訪問による督促を行いその結果を週1回理事会に報告すること。3ヵ月間このマニュアルを徹底すれば概ね解決します。
このマニュアル通りに督促をしても解決できない場合は、背景に大きな問題があり、長期化する懸念がありますので、管理会社が対応してくれる期間(一般的に6カ月)内に時効対策も視野に、全力で取り組む必要があります。滞納者に支払計画書を提出させるか、滞納額の1部(極端に言えば1円)でも支払わせれば時効は中断します。どうしても支払えないのであれば、毎月支払計画書を提出させるか、一部支払いをさせ、時効が進まないようにした上で、管理会社に督促及び理事会への報告を徹底させ、6か月以内の解決を目指しましょう。
マンションの資産価値を維持するためには、管理費滞納に対し「早期発見・早期対応」で臨み、6か月以上の長期滞留者を出さないことが必要になります。
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