2021年10月30日土曜日

管理委託契約書の内容を理解する

2021年10月も終わります。今年もあと2ヵ月になりました。新型コロナウイルスのリバウンドに気を付けながら、マンション管理でも少しずつ日常を取り戻しましょう。今回は管理委託契約について説明致します。




私たち管理組合は管理会社と「管理委託契約」を締結しています。多くの場合、管理委託契約書は、国土交通省が公表している標準管理委託契約書に基づいて作成されます。管理委託契約書の写しを入手し、自分たちのマンションがどのような管理会社とどのような条件で管理委託契約を締結しているのか確認しましょう。標準管理委託契約書と異なる内容がある場合は、管理組合として不利な内容になっていないか確認が必要です。管理組合にとって不利な内容があれば、管理会社に改定を求めましょう。

管理委託契約は通常、事務管理業務、管理員業務、清掃業務、建物・設備管理業務の4つの内容に分かれております。これらの具体的な内容を確認し、管理会社がきちんと契約内容を履行しているか確認する必要があります。万一、できていない内容があればその分管理委託費を減額頂くよう、管理会社に申し入れましょう。標準管理委託契約のうち重要な論点を抜粋します。

緊急時の業務(第8条)⇒緊急時は管理組合の指示を待たず管理会社の判断で実施できる。

有害行為の中止要求(第11条)⇒迷惑行為に対しては管理組合に代わり中止を要求できる。

管理規約の情報提供等(第14条)⇒宅建業者の求めに応じ管理規約等の情報を提供できる。

管理業務を適時適切に行う目的で管理会社には一定の権限が認められております。管理会社が認められている権限を正しく行使しているか管理組合として確認する必要がございます。

管理委託契約の内容を把握し、管理会社に適切に権限を行使してもらうことで、マンションの資産価値を守っていきましょう!

2021年10月23日土曜日

管理書類の電子化を進める

 2021年10月も終わります。早いもので、今年も残すところあと2ヵ月です。新型コロナウイルスのリバウンドも心配される中、感染拡大防止策を続けていきましょう。今回はマンション管理組合で管理する書類の電子化について説明致します。

                          
マンションには多くの書類が存在します。竣工後十数年経つとかなりの量になります。集会室や管理員室の書棚、管理会社内、理事長宅に山積みになっているのではないでしょうか?マンション内には保管する場所が無いうえ、必要な時に必要な書類を探し出すことが難しくなります。

管理組合で必要になった時、関係者(区分所有者、理事、監事、管理会社)が必要な時に必要な資料を直ぐに利用できる環境を整えることが必要です。

※主な管理書類

・議事録類(総会議事録、理事会議事録、委員会議事録)

・周知文(注意喚起、案内など)

・管理規約、使用細則(最新のもの)

・長期修繕計画書、図面など

・契約書類(管理委託契約書、重要事項説明書など)


先ずは、紙で保管されている資料の電子データ(PDF)化を管理会社に依頼することから始めましょう。電子データ(PDF)をクラウド上に保管し、関係者にアクセス権限を付与することで、必要な人が、必要な時に、必要な資料を、閲覧することができます。

書庫機能が付いた電子掲示板を安価無料で使えるサービスもあります。ログインにはパスワードが必要であり、セキュリティ対策も十分にされております。これらを積極的に利用しては如何でしょうか?管理組合の活動が効率的かつ効果的なものになります。

マンションの管理に必要な資料を必要な時に利用できる環境を整えることで、マンションの資産価値を守っていきましょう!

2021年10月16日土曜日

騒音苦情を解決して快適な住環境を整える

2021年10月も下旬に入っていきます。新型コロナウイルスの新規感染者は殆ど見られなくなりましたね。再拡大に気を付けながら、少しずつ通常の活動を再開させましょう!今回は騒音苦情への対応について説明します。

騒音は、ペットのマナーやタバコの煙と並んで、マンションの3大苦情の1つとされます。集合住宅には、「騒音の発生元を特定するのが難しい」という特徴があり、管理組合でも取り扱いが難しいテーマになります。


マンションで発生する音は「空気伝搬音」と「個体伝搬音」に分かれます。
・空気伝搬音⇒ペットの鳴き声、話し声、管弦楽器、室外からの騒音、スピーカーからの音
・個体伝搬音⇒歩行音、ドアを閉める音、換気扇の音、打楽器・スピーカーからの重低音

空気伝搬音は「音」、個体伝搬音は「振動」のイメージです。空気伝搬音は上下両隣など隣室から聞こえる程度ですが、固定伝搬音は建物の構造(床・天井・壁・梁、配管など)を伝って想像以上に遠くまで音が伝わります。配管が糸電話の役割を担い、遠くの住戸から音が伝わることがあります。上下両隣が損音の原因と思い込むことで、トラブルになることもあります。

先ずは、「マンションの構造による音の伝わり方」を居住者の皆さまに理解頂く必要があります。苦情が管理組合に持ち込まれた場合、いきなり騒音元と思われる住戸に注意をするのではなく、区分所有者、居住者全員に対し、音の伝わり方を周知するところから始めましょう。

管理組合が、マンション内での音の伝わり方をクローズアップし、居住者の皆さまに関心を持って頂くことで、「お互い気を付けよう!」という機運ができ、この段階で解決することも考えられます。

これで解決しない場合は、居住者全員に対し注意喚起を行いましょう。音の伝わり方に関心がある状況で、注意喚起を受けることで、ようやく気付くというケースもあると思います。

これでも解決できなければ、止むを得ず、対象住戸の周辺に絞って注意を促す形にしましょう。この段階ではマンション全体で音に対する意識が高まっているので、自覚がある方にはプレッシャーになるはずです。何度か注意を促すうちに、自発的に収まる可能性が高いです。

ここまで手順を踏んでも改善が見られない場合にはじめて、「共同の利益に反する行為」標準管理規約66条として厳格に対応する必要があります。

多少時間は掛かりますが、効果的かつ効率的に解決させるためには、手順を踏んで進めていくことが大事です。

騒音等の苦情に対し適切に対応し、快適な住環境を整えることで、マンションの資産価値を守っていきましょう!

2021年10月9日土曜日

専門委員会で議論を深め合意形成を進める

 2021年10月も中旬に入っていきます。緊急事態宣言が解除され、規制も段階的に解除されていく中、新型コロナウイルス第6派が心配されております。手指消毒やマスク着用など基本的な対策は怠りなく継続しましょう。今回は修繕委員かについて説明します。

専門委員会とは、「大規模修繕委員会」「管理規約改定委員会」など、高額なお金が動くテーマや、区分所有者・居住者間の利害に絡むテーマについて、其々のテーマに関心・専門知識・利害がある区分所有者を「委員」とし、理事会の諮問機関として活動する組織です。

理事会には任期(通常1~2年)があるのに対し、専門委員会は任期がありませんので、テーマが完結するまで同じメンバーで協議できる点が優れています。大規模修繕や、管理規約など金額的・質的に重要なテーマについては、このように多くの区分所有者が関与できる機会を設けることで安心感が生まれます。但し、理事会の諮問機関である、専門委員会が、理事会と対立したり、認識に相違が出ると意味が無いので、理事も専門委員会のメンバーに名を連ねるなど、理事会と歩調を合わせて進めていくことが重要です。

毎年、総会で鋭い質問をする区分所有者が数名いると思います。その結果、総会がスムーズに進行できないこともあります。これは、一般の区分所有者が管理組合の意思決定に関与できるのが、総会に限られているからです。このように問題意識の高い区分所有者に専門委員会に参加頂くことが重要になります。忙しくて毎回出席できないかもしれませんが、会議録をを配布することで情報共有はできます。これが上手く機能すれば、総会で鋭い質問をしていた方を、回答する側に持っていくことも可能になります。

このように専門委員会は、単に重要なテーマを話し合う場にとどまらず、マンション内の「合意形成」の有効な手段になります。その点を意識して、区分所有者・居住者への「周知」にも力をいれていきましょう。

専門委員会を有効に機能させ、スムーズに合意形成を図ることで、マンションの資産価値を守っていきましょう!

2021年10月2日土曜日

管理費滞納は早期に発見し解決する

2021年も10月に入りました。新型コロナウイルス第5派は終息し、第4回目の緊急事態宣言は解除されましたが、第6派が起きないよう引き続き感染拡大防止策を徹底しましょう。今回は管理費の滞納に対する対処法について説明致します。


私たち区分所有者は、毎月の管理費及び修繕積立金を口座引落によって、管理組合に収めています。管理費の滞納は何らかの事情によって引落がかからなかったことを契機に始まることが多いです。引落口座への振替忘れなど、些細なことから始まるのですが、管理費は月額数万円と比較的高額なことから、2ヵ月分、3ヵ月分と溜めてしまうと、支払が難しくなることも珍しくありません。管理組合による月内の早期発見が何より重要です。当月中に発見し督促すれば大事に至る可能性は低くなります。

管理会社との管理委託契約で、通常は管理会社が督促を行う取り決めになっております。(標準管理委託契約別表第1)口座振替日に引落ができなかった区分所有者がいた場合は、口座振替日の翌日には管理組合に報告してもらうよう、予め管理会社の担当者に伝えておくことが重要です。管理委託契約では、「管理会社は支払期日から6か月間督促をする」と定められており、それ以降は管理組合の役員が自ら督促を行う必要があります。管理会社に契約で定められた期間をフルに督促してもらうためには早期発見、早期報告が必須になります。また、管理費債権は5年で時効により消滅するため、管理組合としてはその点についても細心の注意が必要です。

管理会社が督促をしてくれる期間である6か月で必ず解決するためには、管理組合としては、その半分である3ヵ月以内での解決を目標に定めるのが有効です。「滞納開始⇒管理組合へ報告⇒電話による督促⇒訪問による督促⇒書面による督促⇒内容証明郵便による督促」これを3ヵ月以内に実施するのがポイントです。内容証明郵便が届くことで、滞納者の多くは焦って自ら積極的に解決に向け動き出します。3ヵ月以内に内容証明郵便による督促まで持っていくことを予めマニュアル化しておくのが良いです。

多くの場合、このマニュアル通りに督促を進めれば解決できますが、それでも解決できない場合は、背後に大きな問題があることが想定されるため、長期化が懸念されます。管理会社が対応してくれる6ヵ月が過ぎるまで残り3ヵ月。ここで何とか解決の目途を付けることが大大事になります。滞納者に滞納額の1部を支払ってもらうか、支払計画書を提出してもらうことで、支払意思があることを明確にし(承認)、時効が進まないようにします(民法152条1項)。粘り強く丁寧に督促を続け、6ヵ月以内での解決を目指しましょう。

毎月区分所有者から預かっている管理費や修繕積立金は、区分所有者共有の財産です。管理費滞納行為は、共有財産を棄損する(マンションの資産価値を下げる)行為なので、これを放置したり黙認してはいけません。毎月管理費をきちんと納めている区分所有者から、管理組合が責任を問われることになります。

滞納が発生したら、早期に発見、早期対応、早期解決が鉄則です。6ヵ月以内に解決することで、マンションの資産価値を守っていきましょう!

理事会の運営方法を工夫しよう!

2024年11月も最終週に入ります。今年も残り僅かですね。管理組合では常に様々な問題が発生しております。今年のうちに解決すべき積み残し案件については、速やかに進めて参りましょう。今回は理事会の運営方法について説明いたします。 理事会は1~2ヵ月に1回の頻度で役員(理事・監事)が一...