2021年11月27日土曜日

管理費の負担割合を理解する(複合型)

2021年11月終わり、いよいよ今年もあと1ヵ月です。新型コロナウイルスは新規感染者が抑えられていますが、年末年始は人流が増加しますので第6派に備え基本的対策を心掛けましょう。今回は複合型(マンションと商業施設)全体共用部の管理費負担割合について説明致します。

全体共用部の管理費・修繕積立金の負担割合は、専有部分の床面積の割合(区分所有法第14条1項)をベースに管理規約で定められています。マンションと商業施設の費用負担割合は普段あまり意識されないかもしれませんが、大きなお金が動く大規模修繕のタイミングで問題が浮き彫りになることがあります。

大規模修繕工事の見積書を取得したところ、見積額が積立額を大きく超過しており、その原因が、商業施設前の通路(全体共用部)にアーケードのような形で設置されている庇(ひさし)であることが判明しました。商業施設の顧客を雨から守るための庇ですが、全体共用部に設置されている以上、規約に特段の定めが無い限り、専有面積の割合で負担することになります。

マンション区分所有者の立場からすると、商業施設のための設備であるにも関わらず、マンション管理費から修繕費を支出することには抵抗があります。一方、商業施設区分所有者の立場からすると集客のために重要な設備であるにも関わらず、修繕を行うためには、マンションの区分所有者の同意が必要なことに疑問を感じます。

費用の負担割合は原則専有部分の床面積の割合(同法14条1項)になりますが、形状、面積、位置関係、使用目的及び、利用状況並びに、区分所有者が支払った対価その他の事情を総合的に考慮して、区分所有者の利害の衡平が図られるよう(同法30条3項)、管理規約で定める(同30条1項)ことができます。

この問題は、庇が商業施設の顧客のための設備であるにも関わらず、管理規約に区分所有者の衡平が図られるような規定を設けていない点で、管理規約の不備が原因と考えられます。

マンションと商業施設は目的が異なるため、区分所有者間の利害は基本的に一致しません。

区分所有者の利害の衡平が図られるような規約を設けることで、マンションの資産価値を守っていきましょう!

2021年11月20日土曜日

施工業者の選定に競争原理を働かせる

2021年11月も下旬に入っていきます。今年ものころ僅かです。新型コロナウイルスの新規感染者が低水準に留まる中、第6波に備えた対策を強化していきましょう!今回は大規模修繕工事の施工業者選定について説明致します。

マンション管理費から修繕費用を支出する場合は、相見積を取って施工業者を決めるのが原則です。大規模修繕工事は億単位のお金が動くため、施工業者を選定するにあたっては、適正にコンペを行い、最もコストパフォーマンスの良い業者に工事を依頼することが求められます。

大規模修繕工事では巨額のお金が動くため、関係する業者(管理会社・設計監理会社・施工業者)の間で「談合」が行われ、「リベート」が支払われることが多いと言われております。施工業者の選定に影響力を持つ設計監理会社がリベートを受け取ったり、設計監理会社の選定に影響力を持つ管理会社がリベートを受け取ることが考えられます。

「リベート」といっても、区分所有者にはあまり馴染がない言葉かもしれません。しかし、「リベート」の原資は、修繕積立金であり、それを負担しているのは、区分所有者であることは言うまでもありません。自らが「リベート」を拠出しているかもしれないことを強く意識し対策を施す必要があります。「リベート」を防げば、その分修繕積立金の拠出額は減ります。

業者選定を管理会社や設計監理会社に任せてはいけません。管理会社や設計監理会社は自らに都合の良い「見積参加条件」を設け、自らが首謀する「談合」に参加しない業者を巧みに排除している可能性があります。

「談合」に参加しない業者を1社でもコンペに参加させることができれば、「談合」は成立しません。管理会社や設計監理会社に業者選定の大枠を任せる場合でも、決して丸投げはせず、彼らが設けた「見積参加条件」を満たさない業者の中から数社をコンペに参加させることが必要です。また、管理会社や設計監理会社に「リベートを一切受け取らない旨、万一リベートを受け取ったことが発覚した場合は違約金を支払う旨」宣言させることも有効です。

大規模修繕工事の業者選定にあたり、競争原理を有効に働かせることで、マンションの資産価値を守って行きましょう!

2021年11月13日土曜日

ペット飼育のルールを理解する

2021年11月も中旬に入ります。新型コロナウイルスの新規感染者は大分減りましたが、第6波に備え、感染拡大防止策を続けていきましょう。今回はペット飼育のルールについて説明します。

近年、室内でペットを飼育する方が増えてきたこともあり、マンションにおけるペット飼育のルールも少しずつ変わってきています。2018年国土交通省のマンション総合調査(163ページ参照)によると、ペットの飼育を容認するマンションが49.3%であるのに対し、ペットの飼育を禁止するマンションが40.3%となっております。2000年を境にペットの飼育を容認するマンションの方が多くなりました。

このような社会情勢の変化を受け、現在では使用細則で飼育のルールを明確に定めた上で、ペットの飼育を容認するのが、マンションの資産価値にも良い影響があると考えられています。

使用細則で定めるルールの例
・飼育条件⇒犬・猫・観賞用の小鳥・魚類など、種類と1戸あたりの飼育数上限を定める。
・遵守事項⇒飼育場所は専有部分のみとし、専有部分を出るときは専用の容器に入れる。
・届出義務⇒「ペット飼育承認申請書」を管理組合に提出し、理事会の承認を得る。
・罰則規定⇒他の居住者に迷惑をかける場合は、警告・指示・勧告・承認取消を行う。

このようにルールを明確に定めることで、ペットを飼いたい人と、動物が苦手な方が其々安心して居住することが可能になります。

ペットが苦手は方にも配慮した飼育ルールを使用細則で定め、飼育者に適切に遵守頂くことで、マンションの資産価値を守っていきましょう!

2021年11月6日土曜日

インターネット掲示板を活用する

2021年も11月に入りました。新型コロナウイルス第5派が終息し日常の生活が少しずつ戻ってきました。基本的な感染拡大防止策をとった上で、日常の活動を再開していきましょう。今回はインターネット掲示板について説明致します。

マンションには多くの周知や報告の文書があります。これらは紙に印刷され、エレベータ内やエントランスに掲示されたり、各戸に投函されたりします。掲示は細かな部分まで把握することが難しい一方、各戸投函はその都度コストと労力がかかります。これを補完するコミュニケーションツールがインターネット掲示板です。紙による掲示や投函を廃止することは難しいですが、紙と併用することで、効果的かつ効率的に周知や報告をすることができます。

インターネット掲示板の主な機能

掲示版→区分所有者や居住者が適時に詳細を確認でき、紙と印刷コストを削減できる。

意見箱→区分所有者や居住者から管理組合へ質問しやすくなる。(意見収集機能)

書庫→管理規約や議事録などを紙で保管する必要がなくなる。

スケジュール→年間行事や大規模修繕工事の流れをいつでも確認することができる。


「必要な時に必要な情報を確認することができる」点がインターネット掲示板のメリットです。また、WEBサイト上でのやり取りになるので、利用者(区分所有者・居住者)が電話番号やメールアドレスなどの個人情報を開示する必要が無い点でプライバシーやセキュリティ保護の観点からもメリットがあります。

インターネット掲示板は、マンション管理適正化推進センター(国土交通大臣指定)が運営する「マンションみらいネット」(年間使用料2万円)の他、ニュースビット社が運営する「マンボー」(使用料無料)が挙げられます。

プライバシーやセキュリティーに配慮しつつ、効果的かつ効率的な情報伝達手段を確保することで、マンションの資産価値を守っていきましょう!

理事会の運営方法を工夫しよう!

2024年11月も最終週に入ります。今年も残り僅かですね。管理組合では常に様々な問題が発生しております。今年のうちに解決すべき積み残し案件については、速やかに進めて参りましょう。今回は理事会の運営方法について説明いたします。 理事会は1~2ヵ月に1回の頻度で役員(理事・監事)が一...