2021年12月25日土曜日

玄関のカギを紛失したら

2021年もあと1週間になりました。今年は新型コロナウイルスに振り回された1年でしたが、4回目の緊急事態宣言が解除された後は、新規感染者数が抑えられております。オミクロン株による感染拡大を防ぐため、引き続き基本的な感染拡大防止策を続けていきましょう。今回はマンションのカギについて説明いたします。

居住者から玄関扉のスペアキーについて相談を受けたり、賃貸オーナーである区分所有者から賃借人の入れ替わりの際、鍵穴(錠)の交換について相談を受けることがあると思います。玄関扉は共用部に接しているため、扉の本体は共用部ですが、錠と内部塗装は専有部になります。(標準管理規約第7条)鍵穴を交換したり、スペアキーを作る場合は区分所有者の責任と費用を行う必要があります。

賃借人からスペアキーについての相談があった場合は、まず、区分所有者である賃貸人に相談し承諾を貰うようお伝えください。区分所有者である賃貸オーナーから錠の交換について相談があった場合は、管理規約を提示し、錠は専有部であることを説明し、自らの責任と費用で実施頂くようお伝えください。扉本体は共用部であるため、錠を増設するなど扉本体に手を加えることはできませんので注意が必要です。(スマートロックのように扉本体を変更せず扉の内側に張り付ける程度のものであれば、許容範囲と思われます。)

マンションの玄関扉のカギは、エントランスのオートロックのカギを兼ねていることが一般的です。錠は専有部であっても、オートロックは共用部になりますので、管理組合としてはセキュリティにも気を配る必要があります。区分所有者から相談があった場合は、正規メーカー(GOALMIWAClavisなど)の代理店を紹介し、必ず純正品を作成してもらうようにして下さい。正規メーカーはマンションごとに情報を管理し、スペアキーの依頼があった場合は本人確認を厳格に行うなど、セキュリティ対策を万全に行っているので、マンションのセキュリティは保たれます。

マンション玄関扉のカギについては、責任の所在を管理規約で確認の上、セキュリティ対策を十分行うことで、マンションの資産価値を守っていきましょう!

2021年12月18日土曜日

個人情報保護法を理解する

2021年12月も下旬に入っていきます。今年も残り僅かですね。新型コロナウイルスはオミクロン株による第6派が懸念されますので、年末年始も気を油断せず感染拡大防止策を続けて行きましょう。今回は個人情報保護法への対応について説明致します。



2015年に個人情報保護法が改正され、2017年5月30日からマンションも同法の対象になりました。個人情報とは生存する個人を特定できる情報のことを指します。マンションでは居住者名簿や各種議事録などが該当します。

管理組合では通常の管理を行う上で、個人情報を頻繁に取り扱います。災害時の緊急連絡、消防設備点検・排水管清掃での各戸訪問、駐車場の申込、賃貸住戸の管理、管理費滞納時の督促などほぼ全ての業務で個人情報を取り扱います。個人情報なしでは管理組合の業務は成り立ちません。

個人情報保護法18条では、個人情報を取得した場合、その利用目的を本人に通知するか公表することが求められております。しかし、個人情報を頻繁に扱う管理組合において、個人情報を取得する都度本人に通知することは、非常に煩雑で現実的ではありませんので、あらかじめ利用目的を公表しておく必要があります。

公表例

当マンション管理組合は届出により取得した個人情報は以下の目的で利用し、届出者の承諾無しに第三者に開示することはありません。

・理事会議事録の送付、総会招集状・議事録の送付、その他管理組合の連絡

・災害時の緊急連絡

・その他、管理組合が法令・規約に基づいて行う業務

但し、次の場合は除きます。(本人の同意がある場合、警察など官公署からの要請の場合、法律の適用を受ける場合)

このようにルールを定め、あらかじめ公表しておくことによって、ほぼ全ての管理組合の業務を従前通りに行うことができます。同法への抵触リスクを都度考慮するなどの煩わしさは無くなります。

また、管理組合としては、個人情報の保管方法に注意する必要があります。(紙資料は鍵付きの場所に保管、データーはパスワードを付けて保管、不要になった情報は都度廃棄・消去するなど)

管理組合で取り扱う個人情報は「利用目的の開示」「保管方法の注意」を徹底すれば、特に恐れることはありません。

個人情報保護法を正しく理解し、適切に対応することで、マンションの資産価値を守っていきましょう!

2021年12月11日土曜日

エレベーターメンテナンスのコストについて考える

2021年12月も中旬に入ります。今年もあと僅か。新型コロナウイルスはオミクロン株による第6派が心配されますので、基本的な感染拡大防止策を続けていきましょう。今回はエレベーターのメンテナンス費用について説明します。

エレベーターは殆どのマンションに設置されています。事故防止のため、メンテナンスは頻繁に行われています。マンション管理費の中で、エレベーターのメンテナンスコストは相当部分を占めています。管理組合としては、安全の確保を第一にし、コストを抑える施策を検討する必要があります。

我が国のエレベーターは市場は、三菱、日立、東芝で全体の80%を占めており、これにオースチンとフジテックを加えた5社で市場を独占している状況です。これらの「メーカー系」のメンテナンス業者は他のメーカーのメンテナンスを受注することはなく、メンテナンス市場は競争原理が働きにくい状況です。エレベーター1基あたり5万円/月程度で高止まりしています。

競争原理を働かせるためには、エレベーターメンテナンスを専業としている「独立系」業者への発注を視野に入れる必要があります。「独立系」業者の経験と実績は「メーカー系」業者と遜色がなく、「独立系」が「メーカー系」に比べ安全性に問題があるということはありません。

「メーカー系」から「独立系」に変更することで、コストは30%程度削減できると言われています。(独立系のメンテナンス費用は、エレベーター1基あたり3.5万円/月程度です。)

エレベーターメンテナンスの契約形態には、「フルメンテナンス契約」と「POG(パーツ・オイル・グリース)契約」があります。前者は部品交換を伴う修理代を含む契約であるのに対し、後者は保守点検に必要な消耗品代のみ含む契約になります。竣工後間もないマンションでは、エレベーターの故障は殆ど生じないのでPOG契約で十分であると言われています。

「メーカー系」業者と「フルメンテナンス契約」を結ぶ場合と、「独立系」業者と「POG契約」を結ぶ場合では、メンテナンス費用に大きな差が出ます。「メーカー系」業者は競争原理が働かないことが問題です。竣工以来「メーカー系」業者と契約している場合は、一度「独立系業」者から見積を取得し、比較検討することをお勧めします。自分たちのマンションが必要とするサービスを良く見極めることが重要です。

エレベーターメンテナンスについても、コストに見合ったサービスを受けることで、マンションの資産価値を守っていきましょう!

2021年12月4日土曜日

専有部と共用部の境界を理解する

2021年も12月に入りました。今年もあと数週間で終わります。新型コロナウイルスは新規感染者が少なくなっておりますので、年末年始を落ち着いて過ごせるよう、感染予防を徹底していきましょう。今回は専有部と共用部の境界について説明致します。


専有部と共用部の境界は管理や修繕における責任の所在や、費用負担の観点で非常に重要になります。各マンションによって考え方は異なりますが、概ね、国土交通省が公表しているマンション標準管理規約に準拠して決めていることが多いです。先ずは標準管理規約でどのように決められているか確認しましょう。

マンション標準管理規約第7条(専有部分の範囲)

2 前項の専有部分を他から区分する構造物の帰属については、次のとおりとする。

一 天井、床及び壁は躯体部分を除く部分を専有部分とする。

二 玄関扉は、錠及び内部塗装部分を専有部分とする。

三 窓枠及び窓ガラスは、専有部分に含まれないものとする。

※マンション専有・共用区分図の例(国土交通省「マンション管理標準指針」69ページ)

バルコニー、窓ガラス、玄関扉は共用部に帰属することになります。従って、管理や修繕における費用負担は、管理組合となるのが一般的です。バルコニーの防水工事や、玄関扉の交換工事は、長期修繕計画に含まれ、管理組合の積立金で行うことになります。

一方、これらは管理規約で専用使用権が付いているため、日常管理については区分所有者が行うことになります。例えば、窓ガラスや網戸の破損については、日常管理の位置づけで、専用使用権を有する区分所有者の責任と費用で行うことになります。

専有部と共用部の境目及び、共用部に付された専用使用権を正しく理解し、管理組合と区分所有者が、其々の責任と負担で、適切に管理を行うことで、マンションの資産価値を守っていきましょう!

理事会の運営方法を工夫しよう!

2024年11月も最終週に入ります。今年も残り僅かですね。管理組合では常に様々な問題が発生しております。今年のうちに解決すべき積み残し案件については、速やかに進めて参りましょう。今回は理事会の運営方法について説明いたします。 理事会は1~2ヵ月に1回の頻度で役員(理事・監事)が一...