2023年5月27日土曜日

管理会社の契約不適合(瑕疵)への対応について


2023年5月も最終週に入っていきます。コロナ前の社会様式に戻りつつある中、管理組合の活動も正常化しています。積極的に活動を進めていきましょう。今回は契約不適合(瑕疵)を発見した場合の対応方法について説明致します。


マンションの竣工から10数年後に予定されている第1回目の大規模修繕工事までの間には、どのマンションでも大なり小なり契約不適合(瑕疵)は必ず生じます。その時、管理組合がどのように対応するかによって区分所有者が負担するコストに大きな違いが生じるので注意が必要です。

売主に対して責任を追及する根拠は、アフターサービス契約や、住宅の品質確保の促進に関する法律(品確法)が挙げられます。躯体10年、水回り5年、その他2年が一般的な保証期間です。しかし、この期間内に発見できるとは限りません。売主には期間を1日でも過ぎれば責任を回避します。売主としての責任が無いわけではありません。売主に対し、責任を追及する必要があります。保証期間が過ぎている場合、満額の請求は難しかもしれませんが、その場合でも売主に補修費用の一部は負担させるべきです。管理組合と売主(デベロッパー)の交渉事になります。

交渉を進めていく上で、管理会社のサポートは欠かせません。但し、管理会社の属性によってサポートの仕方が全く異なりますのでその点留意して下さい。

・デベロッパー系管理会社(売主との資本関係あり)
・独立系管理会社(売主との資本関係なし)

デベロッパー系管理会社は、売主の子会社やグループ会社になります。顧客である管理組合より、親会社である売主の意向を優先します。管理組合が売主に責任を追及する場合、表向きは顧客の立場で売主と対峙しますが、実際は本気で売主を相手に交渉することはありません。従って、管理組合としては、売主と対峙するのでははく、売主グループとして管理会社に対し責任を追及するのが得策です。共用部を管理しているのは管理会社であるため、管理会社は管理組合に対し、保証期間内に契約不適合(瑕疵)を報告する義務があります。それを怠ったことが保証期間を過ぎた原因であれば、その責任は管理会社にあります。管理委託契約の善管注意(善良なる管理者の払うべき注意)義務(民法644条)違反を根拠に、管理会社に責任を追及し、売主グループ内で解決さえるのが有効です。

独立系管理会社は、売主と資本関係はありませんので、売主に何ら遠慮する必要はありません。顧客である管理組合をサポートし、一緒に売主に対し責任を追及することが可能です。しかし売主の懐に入って交渉することは難しく、管理組合とともに試行錯誤で交渉していくことになります。独立系の管理会社と管理委託契約を締結する際は、契約不適合(瑕疵)への対応姿勢を予め確認し、管理組合の立場で一緒に闘ってくれるか?確認する必要があります。「保証期間が過ぎているから難しいです。」という姿勢であれば、デベロッパー系管理会社と変わらないので意味がありません。顧客(管理組合)のために、顧問弁護士とともに売主に対峙する姿勢が求められます。

契約不適合(瑕疵)には、管理会社の属性を理解した上で、売主に責任を追及することで、マンションの資産価値を守っていきましょう!

2023年5月20日土曜日

機械式駐車場の稼働率に注目しよう!

2023年5月も下旬に入っていきます。Afterコロナで少しずつ通常の社会生活が戻ってきました。管理組合を活性化させていきましょう。今回は機械式駐車場について説明します。



機械式駐車場とは、限られたスペースに多くの車を駐車できるようにするための構造物です。可動式の構造物であるため、エレベーターと同様に「使用するにあたり、常にメンテナンスが必要である」という特徴があります。点検や部品の交換、本体の更新に多額のコストが必要です。これらのコストは主に駐車場利用者から徴収する駐車場使用料で賄われています。

1990年代は車を保有する家庭が多く、自治体が付置義務(駐車場数の下限)を定めていたこともあり、分譲マンションには積極的に設置されておりました。2000年代に入ると、高齢化や若者の車離れが進み、車を保有しない家庭が増え、駐車場の契約者数が減ってきました。

クルマの保有台数が減ったことにより、機械式駐車場に空きが増え、駐車場収入は減少する傾向にあります。一方で機械式駐車場のメンテナンスコストは空き区画も含め断続的に発生します。機械式駐車場メーカーやメンテナンス業者が淘汰されていることから、メンテナンスコストは増加の傾向が見られます。また、業者の統廃合により、今までと同じサービスが受けられないという問題も出てきています。

駐車場収入の減少と、メンテナンスコストの増加で、管理組合の収支が圧迫されている状況が見られるようになりました。空き区画とメンテナンスコストの問題を考えると、今後は、機械式駐車場の一部又は、全部を解体し、平置き駐車場への変更も視野に入れる必要があります。

管理組合としては、駐車場の稼働率に注目して、駐車場収入とメンテナンスコストのバランスを確認する必要があります。駐車場収入が赤字になると一般会計から補填することになり、マンションの資産価値を押し下げてしまいます。メンテナンスコストを確保するためには、最低何台の契約が必要なのかを計算し、契約数がそれを下回った段階で、機械式駐車場の減築を検討しましょう。

稼働率に応じて機械式駐車場を減築することで、マンションの資産価値を守っていきましょう!

2023年5月13日土曜日

オンライン会議を有効に活用しよう


2023年5月も中旬にはいります。新型コロナウイルスは5月8日以降、感染法上の取り扱いがインフルエンザと同じになり、名実ともに通常の風邪と同じ扱いになりました。通常の社会情勢に戻りましたので、積極的に管理組合の活動に取り組んでいきましょう。今回はAfterコロナの理事会・総会のありかたについて説明致します。


直近3年はコロナ禍での総会になりました。3密を防ぐことが求められた中、標準管理規約42条3項に従って必ず5月中に総会を開催しなければならないのか?が論点になりました。コロナ禍やむを得ず人を集めて、従前通りのスタイルで総会を実施した管理組合が多かったのではないでしょうか。

標準管理規約を良く読んでみると、リアルの会議室で開催することを義務付ける記述はなく、オンラインでの会議を禁止する記述もありません。現状の管理規約を変更することなく、WEB会議システム等を用い、オンラインで総会を開催することは可能です。

それでも、標準管理規約にオンライン会議の有効性が明文化されていないことで、不安定な状況にありました。

そのような状況下、国土交通省は標準管規約を改正し、「理事会及び、総会は、WEB会議システムを用いた会議を含む」ことを明文化致しました。当然のことを敢えて明文化したに過ぎませんが、有事の際、理事が安心して当然の判断を下せる点で優れていると考えます。

管理組合としては、これに留めるのではなく、Afterコロナの施策として、非居住の区分所有者も容易に参加できるよう、WEB会議システム等を用いたオンラインの理事会を、理事のなり手不足解消の手段として積極的に活用しましょう。また、管理規約が古いままの場合は、標準管理規約の内容に合わせる形で管理規約を変更しておきましょう。

ヤル気のある非居住の区分所有者を、管理組合に取り込むことで、マンションの資産価値を守っていきましょう!

2023年5月6日土曜日

防災設備の特徴を把握して管理しよう!

2023年も5月に入りました。ゴールデンウイーク明けは、いよいよ新型コロナウイルスの感染法上の取り扱いがインフルエンザ並みの第5類に格下となることが、厚生労働省から正式に発表されました。基本的な感染症対策を実施しつつ、管理組合の活動を活性化させていきましょう。今回は防災設備について説明致します。




マンションの主な防災設備

・消防設備(スプリンクラー・ガス検知器・煙感知器)

・避難はしご

・非常用発電機

・免振装置(免振ゴム・オイルダンパー)

消防設備点検は通常年2回行われます。管理会社に委託された検査員が各住戸を巡回して、ガス検知器や煙探知機が正常に機能するかテストします。点検には各住戸に立ち入る必要があるため、在宅している必要があります。Afterコロナで在宅率は高いものの、検査員を入れることに不安を覚える方もいらっしゃると思います。マスク着用やこまめなアルコール消毒など、感染への懸念を払しょくするなど、点検を受けやすい環境を整えましょう。

有事に消防設備が正常に稼働しないと、周囲の住戸に多大な迷惑がかかります。点検を受けなかったことが原因で被害が拡大した場合、損害賠償責任を追及される可能性があります。都合によりどうしても受けられない方は、次回は必ず受けてもらえるよう調整しましょう。

避難はしごはバルコニーに設置されており、高層階から地上まで安全に避難する設備です。有事に備え、避難はしごが設置されている場所と、使用方法を確認しておく必要があります。避難はしごが設置されている場所を周知し、使用方法を説明する機会を作って下さい。避難訓練の際、実際に体験してもらうのも一案です。Afterコロナの施策として、使用方法の動画を配信するのも有効です。

非常用発電機は、オイルを燃料に動力を作る装置です。年1回はオイルの劣化具合を確認の上、実際に発電できるか稼働させてみる必要があります。メーカー推奨の耐用年数を超えても直ちに交換する必要はありませんが、定期的に点検を受けることは必須です。

免振装置は高層マンションに設置されております。耐用年数は建物に準じますので、竣工時に適切に設置されていれば、劣化などの心配はありません。但し、東洋ゴム製の免振ゴムや、カヤバ製のオイルダンバーは、メーカーの検査データ偽装が社会問題になりましたので、東洋ゴムやカヤバの製品が使われている場合は注意が必要です。交換を要求しましょう。

主な防災設備の特徴を正しく把握し、適切に維持管理することで、マンションの資産価値を守っていきましょう!

理事会の運営方法を工夫しよう!

2024年11月も最終週に入ります。今年も残り僅かですね。管理組合では常に様々な問題が発生しております。今年のうちに解決すべき積み残し案件については、速やかに進めて参りましょう。今回は理事会の運営方法について説明いたします。 理事会は1~2ヵ月に1回の頻度で役員(理事・監事)が一...