2023年7月29日土曜日

理事会を有効に機能させましょう!

2023年7月も残すところあと3日です。いよいよ8月に入りますね。楽しい夏休みですが、台風による暴風雨が予想されます。今年も全国各地で局地的な集中豪雨による浸水被害が発生しております。管理組合としても万全な対策を取っていきましょう。今回は役員(理事・監事)の選任について説明致します。

マンションの役員は理事と監事で構成されており、任期は各マンションの管理規約によって定められております。1年又は2年ということが多く、報酬を定めているケースもありますが、基本的には無報酬としているマンションがほとんどです。



毎年3月頃、次期役員をどうするか理事会で話し合われます。まず、立候補者を募り、足りない場合は、輪番表から順番にお声がけしていく方法が一般的です。4月頃に理事会で役員選任案を決定し、5月頃に開催される総会に上程します。総会で承認を受けて正式に選任となります。

総会での承認を受けて、6月頃新メンバーによる最初の理事会が開催されます。第1回目は顔合わせと年間スケジュールを確認する程度で終わってしまうので、実質的な活動は夏以降になります。夏から冬にかけて何回か理事会を経た段階で、次期役員選任の話になります。

任期が1年の場合は、ようやく慣れてきたところで交代ということになります。やり残したことも多く、名残惜しい思いがある一方、夜間や休日に時間を取られることの煩わしさから、留任せず、1年で退任するケースがほとんどだと思います。

理事の多くが新任の場合、管理組合の状況を把握するのに時間がかかり、「管理会社に適切な指示を出す」という本来の役割を果たすことが難しくなります。管理会社に適切な指示を出すことができないと、管理組合の活動が停滞してしまうので、その点注意が必要です。

任期が2年で、毎年半数を改選する方式にすると、管理組合の事情に通じた2年目の理事が1年目の理事に引継ぎをしながら、管理会社に適切に指示を出すことができます。管理組合の運営という観点からは理想的ですが、任期が長いことで就任頂けない可能性が出てきます。

多くの方に役員をを受けてもらえるよう任期は1年としつつ、留任を推奨する方法も一つです。理事会が活性化すると、良い雰囲気で運営できるようになり、留任に応じる役員も増えてきます。理事会活動を充実させることで、好循環を作っていけるよう心掛けていきましょう。

理事会を有効に機能させることによって、マンションの資産価値を守っていきましょう!

2023年7月22日土曜日

マンションの会計とは?

2023年7月は早くも最終週に入っていきます。梅雨も明けて台風シーズンに突入します。いつ何時ゲリラ豪雨が来るかもしれません。マンション管理組合として浸水対策を万全に整えましょう。今回はマンションの会計について説明します。




理事会や総会の資料には、「貸借対照表」や「収支報告書」という書類が必ず付いています。管理組合が活動を数字の面から示す重要な書類であるため、理事会や総会では、管理会社が時間をかけて説明しますが、勘定科目や会計用語が良く分からないことがあると思います。難しく考えず、ポイントをおさえることで、理解を深めて頂ければと思います。

区分は、「一般会計」と「積立金会計」の2つに分かれていることが多いです。一般会計は、管理会社(管理委託費)や、業者(日常修繕費)への支払を管理する区分で、積立金会計は、長期修繕計画に基づき、大規模修繕工事等の支払いを管理する区分になります。

会計期間は、一般的に4月1日から3月31日であることが多いです。

貸借対照表は、3月31日時点のマンションの財産の状態を示しています。

収支報告書は、1年間のお金の流れ(収入と支出)が記載されています。

貸借対照表のポイントは「現金預金」と「未収入金」になります。「現金預金」は不正が起こりやすい科目になりますので、銀行の預金残高と一致していることを確認して下さい。「未収入金」には区分所有者が管理費を滞納している場合、その金額が表示されます。3月31日時点で未収入金がある場合、その内容と現在の状態を確認して下さい。

総会前最後の理事会時点(4月中旬から下旬)で回収できていなければ、遅くとも総会(5月中旬から下旬)までには回収し、総会出席者に「期末時点での未収入金は既に回収済みです。」と報告できるようにしましょう。

収支報告書のポイントは区分所有者からの管理費収入、駐車場収入、管理会社への管理委託費支払になります。これら金額の大きい項目が前期と比較して数値に大きな差が無いか確認し、差があればその内容を管理会社に確認するようにして下さい。

貸借対照用と収支報告書は管理会社が作成し、監事が監査した後、総会前最後の理事会に提出されます。理事会で承認後、総会に上程され、最後は総会で区分所有者が承認します。

会計資料(貸借対照表・収支報告書)のポイントをおさえることで、マンションの資産価値を守っていきましょう!

2023年7月15日土曜日

修繕積立金を適切に積立てよう!

2023年も後半に入ります。昨今の集中豪雨は侮れません。内水氾濫は、マンションにとって大きな脅威です。お住まいの自治体から発行されているハザードマップを確認の上、内水氾濫の恐れがある地域では治水対策を万全しましょう。今回は修繕積立金の設定について説明致します。



修繕積立金の積立㎡あたりの単価/月】
平均積立額 181円/㎡(東日本不動産流機構調べ)
必要積立額 202円/㎡(国土交通省調べ)

単純計算で月額21円/㎡(202円-181円)の不足、70㎡の部屋に換算すると、1,470円/月不足するので、平均的な大規模修繕工事の周期を15年として試算すると、約26万円/戸(1,470円×12か月×15年)不足する計算です。不足したままの状態で放置すると、大規模修繕工事実施時の区分所有者が一時金として不足額を負担するか、管理組合で借入を行い、将来の積立額を値上げして賄うことになります。

一時金の徴収や借入金の実施が総会で否決されると、十分な修繕工事ができなくなり、マンションの資産価値を押し下げる原因になります。

毎月の積立額が平均より低い場合は、積立不足の可能性が高いです。大規模修繕工事までの長期修繕計画を策定(又は更新)し、工事に必要な金額と、工事までの年月から必要な月々の積立額を試算してください。実際に不足している場合は、毎月徴収する積立額を改定する必要があります。

それでは何故、積立額が大規模修繕工事に必要な金額より低く設定されているのでしょうか?マンション竣工後、最初の積立金を設定するのは、売主(デベロッパー)です。

買主が月々負担する積立額を高く設定すると販売が難しくなるため、売主はマンションの販売を最優先し、積立額を低く設定します。従って、竣工時に設定された積立額では実際に工事で必要となる金額に満たないケースが多くなります。

理事会はできるだけ早い段階で、次回以降の大規模修繕工事で必要となる額を確保できるよう、月々の積立額改定案を総会へ上程することが求められます。区分所有者は総会でそれを速やかに承認可決し、修繕積立金が不足する状況を解消しましょう。これで一時金徴収や、借入を免れることができます。

修繕積立金が不足していると、買い手が付きにくくなり、マンションの資産価値下落の原因となります。

2023年7月8日土曜日

マンションの資産価値を維持させよう!

2023年7月も中旬に入って行きます。マンション共用部の電気代が高騰する中、電力不足が懸念されております。政府の節電要請に応じる形で、積極的に節電に協力することで、電気代を抑えて行きましょう。今回は、本ブログの原点である、「マンションの資産価値」について改めて考えます。



資産価値で一番分かり易い指標が、中古販売価格です。築年数や駅からの距離が中古販売価格に影響を与えますが、これらは新築時の分譲価格に織り込まれています。「マンションの資産価値を維持する」とは、築年数が経っても分譲価格を維持することを意味しています。(中古で購入された方は、購入価格の維持が目標になります。)

Q)分譲価格をいじするにはどうすればよいでしょうか?

A)管理を適切に行うことで、分譲価格は維持されます。

具体的な項目としては、以下の5つが挙げられます。

・管理組合(理事・監事)が適切に機能している(区分所有者の意識が高い)

・管理会社から対価(管理委託費)に見合ったサービスの提供を受けている

近隣のマンションンと比較して、㎡あたりの管理費や修繕積立金が高くない

・大規模修繕工事が適切に実施されている(設計監理会社の力量が適切)

・長期修繕計画が定期的に見直されている(管理会社の力量が適切)


区分所有者が管理組合の意義を正しく理解し、積極的に活動に参加することが最も大事です。自分の試算を自分で守る。極めて単純なことですが、自分の資産に関心が薄かったり、他人任せにしている人が多いのが現実です。分譲マンションは自らの生活を支える大事な資産であることを再認識し、中古販売価格を下落させることがないよう、活動に積極的に参加しましょう。

「管理組合の役員になって、活動に積極的に参加する」ことを、面倒を考える方もいますが、実際に面倒なことを実施するのは、マンション管理会社、設計監理会社(大規模修繕工事のコンサルタント)及び、それらの関連会社になります。区分所有者は毎月管理費を支払って、彼らに業務を委託しているのですから、自ら面倒なことをする必要はありません。自らは、役員会で決めたことを彼らに任せ、適切に実施されているかチエックするだけです。

分譲価格(購入価格)の維持を目標に活動することで、マンションの資産価値を守っていきましょう!

2023年7月1日土曜日

大規模修繕工事の周期の延長を検討しよう

2023年も7月に入りました。梅雨の終わりが見えてきましたが、台風の季節が到来しますので、線状降水帯による内水氾濫には十分注意をして下さい。近年の気象状況は竣工時の想定とは異なることも多いと思います。大規模修繕工事の際は治水対策にも力を入れる必要があります。今回は大規模修繕工事の周期について説明致します。

大規模修繕工事とは、マンションの外側に足場を組む必要がある大掛かりな工事で、長期修繕計画では一般的に10年から15年周期で組まれています。国土交通省の調査では、1回あたり100万円/戸程度かかると言われており、第1回目を実施するタイミングは、第2回目以降の工事スケジュールにも影響を及ぼすため、慎重に検討する必要があります。

第1回目の工事は外壁(タイル)の補修や防水工事が中心になります。タイルの浮きや、水漏れがある場合は、長期修繕計画を前倒し、竣工後10年未満でも行う必要がある一方、タイルや防水の状態が良い場合は、竣工後20年程度まで引き延ばすことができます。前者の場合は10年周期、後者の場合は20年周期となり、工事総額は2倍近くの差がでます。

タイルの浮きや、水漏れがあり、長期修繕計画の前倒しを余儀なくされる場合は、その原因は竣工時(引渡し前)の施工不良にあると考えられます。設計監理会社(大規模修繕工事のコンサルタント会社)の協力を得て、売主に責任を追及しましょう。このような場合、区分所有者の皆さんからお預かりしている修繕積立金で工事費用を賄うと、将来の財政が枯渇してしまいますので注意が必要です。

一方、外壁タイルや屋上防水の状態が良い場合は、長期修繕計画通りに工事を進める必要はありません。設計監理会社の協力を得て、工事周期の延期を検討しましょう。近年の技術革新で、工事素材の質は飛躍的に向上しており、素材の耐用年数は想像以上に伸びています。長期修繕計画策定時に15年周期と想定していても、実際には20年周期に延ばすことが可能な場合が多くあります。細かな不具合を日常修繕で積極艇に補修することで、大規模修繕工事を先に延ばし、工事総額を大幅に削減することができます。

そのためには、管理会社や設計監理会社に対し、「不要不急の工事を行わず、修繕積立金を充実させる。」という管理組合の基本方針を、日頃から伝えておくことが重要です。

可能な限り大規模修繕工事の周期を長くし、財政を充実させることで、マンションの資産価値を守っていきましょう!

理事会の運営方法を工夫しよう!

2024年11月も最終週に入ります。今年も残り僅かですね。管理組合では常に様々な問題が発生しております。今年のうちに解決すべき積み残し案件については、速やかに進めて参りましょう。今回は理事会の運営方法について説明いたします。 理事会は1~2ヵ月に1回の頻度で役員(理事・監事)が一...