2020年3月21日土曜日

修繕積立金の不足

修繕積立金の不足について、具体的な数値を用いて説明致します。国土交通省が2011年に公表している「修繕積立金に関するガイドライン」では、実在する各マンションの長期修繕計画書から数字を集計し、大規模修繕工事を実施するにあたり必要とされる金額を試算しています。それによると建築延床面積5,000㎡~10,000㎡の15階未満のマンションでは202円/㎡・月が必要(機械式駐車場があるマンションの場合は30%程増)とされています。一方、国土交通省指定の公益財団法人東日本不動産流通機構が2018年に公表している首都圏中古マンションの修繕積立金では、月額実績平均で161円/㎡・月という結果になっています。

必要額202円/㎡と実際額161円/㎡の差である41円/㎡が不足額という計算になります。
70㎡の部屋を所有する場合、月に2,870円(41円×70㎡)、大規模修繕工事の一般的な周期である15年間に渡りこの状態が続くと516,600円(2,870円×12ヵ月×15年)が不足します。

この場合、大規模修繕工事の際、管理組合は各戸に対し一時金として約52万円を徴収することになりますが、負担が難しい区分所有者が多いと、総会で否決されます。否決されても大規模修繕工事は必要なため、管理組合は金融機関から借り入れる(100戸の場合約520万円)ことになります。返済は大規模修繕工事後の修繕積立金に上乗せされる形で区分所有者が負担します。

一時金や借入返済の可能性があるマンションは一般的に買い手が付きにくいため、マンションの資産価値は下がってしまします。

マンションの資産価値を維持するためには、修繕積立金は必要額に応じて適切に設定しなければなりません。

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