総会資料には必ず「監査報告書」という文書が入っています。監事が総会の場で、「貸借対照表・収支決算報告書は適正と認めます。理事の業務執行について不正行為や規約に違反する事実はありません。」と毎年同じ文言を読み上げ、半ば儀式のようになっておりますが、これにはマンション管理にとって重要な意味を持っています。(国土交通省指定マンション管理業協会が公表している監査報告書雛型参照)
監事は管理会社や理事と同様、区分所有者の最高意思決定機関である総会で選任されます。管理組合の役員であることは理事と変わりませんが、業務の内容は大きく異なります。マンション管理は管理会社が理事の指示の下行っています。監事は理事の指示が適切かどうかチェックする役割を担っています。
例えば日常修繕を行うにあたり、理事が自分の親戚が経営する工務店に発注するよう管理会社に指示した場合、管理組合のお金が理事の関係者に流れることになり、受注額によっては管理組合の財産を毀損することになります。このような場合、監事は当該理事の行為は利益相反の疑いがあることを理事会に報告し、同取引が適切であるか、受注額が適切であるかを検証する義務を負っています。結果として、取引が適切と判断した場合、監事は総会で区分所有者に対し「理事の業務執行について不正行為や規約に違反する事実はありません。」と報告することになります。
マンションの資産価値を維持するためには、区分所有者が監事の役割を正しく理解し、監事の業務を有効に機能させることが必要になります。
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