2020年7月25日土曜日

管理規約



2020年7月も最終週に入りました。新型コロナウイルスの第2波が来ていることはほぼ確実視されておりますので、理事の皆様も感染拡大防止策を取った上で管理組合の活動を実施頂ければと思います。今回は管理規約について説明致します。

管理規約はマンションのルールブックのようなものです。管理組合を運営するにあたり判断基準になるものです。最初はデベロッパーが管理規約を作り、それを前提にマンションを販売します。しかしデベロッパーがすべての文言を自分で考えて作成している訳ではありません。国土交通省が公表している「標準管理規約」に基づいて作成しております。

管理規約は社会情勢の変化や、マンション固有の事情により適宜改定を行う必要があります。先ずは、国土交通省が公表している最新の「標準管理規約」に照らし、実情に合っていない部分が無いか確認するところから始めましょう。管理会社に比較表の作成を依頼するのが良いと思います。

例えば、「ペットの飼育」については区分所有者の間でも意見が分かれるところなので、デベロッパーが最初の管理規約でペット飼育の可否を管理規約で定め、それに合意できる方がマンションを購入する形を採っています。ペット飼育を可能とする場合は、別途使用細則を作成し細かなルールを決めていきます。また、「民泊・シェアハウス」については住宅なのか、営業なのか解釈が分かれます。管理規約で用途を「住宅」に限ると定めている場合でもそれを根拠に民泊やシェアハウスの営業を禁止できるかは解釈が分かれますので、仮に禁止する場合は管理規約で明確に「民泊・シェアハウス」を禁止する必要があります。更に、「自治会との関係」については、会計の部分を管理規約で明確に区別する必要があります。自治会は任意加入であるのに対し、管理組合は強制加入です。自治会費をマンション管理費から捻出する運用にしている場合、事実上自治会への加入を強制されることになりますので、管理規約で管理費と自治会費を明確に区別する必要があります。

管理規約の改定には議決権の3/4(特別決議)が必要になります。それを踏まえ、理事会で1年間改定の要否を議論し、必要であれば改定案を総会に上程する手順で進めて下さい。

マンションの資産価値を維持するためには、管理規約を社会情勢やマンションの実情に応じて適切に改定することが求められます。

2020年7月19日日曜日

理事会の運営

2020年7月も後半に入ります。ここ数日新型コロナウイルスの新規感染者数が過去最大を更新しており、第2波が来ているとも言われております。管理組合の皆様にも十分対策を取って頂きマンション内の感染拡大防止に努めて頂くようお願い致します。今回は理事会の運営について説明致します。

理事会は様々事情を抱えた方が1年間、役員として月1回又は隔月の頻度で集会室等に集まる形で開催されます。輪番表で順番が回ってきた方、土日に仕事がある方、介護をされている方、小さい子供がいる方、又、最近では高齢の方が占める割合も多いかと思います。これらの方が一堂に会し議案を審議し合意形成をするためには、開催日時・場所・方法について工夫が必要です。前期から引き継がれた方法をそのまま踏襲する必要はありません。今期の役員が最も効率的い合意形成できる方法に変えていくのが良いと思います。

通常土日の午前中に開催されているマンションでは、平日の夜間に開催することで、土日に仕事を持つ方にも参加頂くことができるようになります。現在のコロナ禍においては、狭い集会室ではなくエントランスや屋外又は外部の広い会議室での実施も検討が必要です。また参集する方式ではなくZoom等を利用してオンラインで開催する方法もあります。

毎回全員参加の下開催するのは難しいかもしれませんが、できる限り多くの方が参加し効率的に合意形成できるような工夫が必要になります。そのためには管理会社の協力が欠かせません。理事会の一週間前を目途に会議資料を提出してもらい、理事が会議資料を事前に目を通した状態で参加できれば、会議時間を大幅に短縮することができます。更に管理会社の協力の下、事前の根回しや説明まで済ませておけば、今まで2時間程掛かっていたものを、30分程度に納めることも可能です。現在のコロナ禍は、新たな様式を試み、採り入れる良い機会なので、理事の皆さん、管理会社と検討しより良い方法を模索して下さい。

マンションの資産価値を維持するためには、効率的かつ効果的に合意形成ができるよう理事会を運営していくことが求められます。

2020年7月11日土曜日

合意形成(総会)

2020年7月の上旬、一旦収束に向かった新型コロナウイルスの新規感染者数が過去最大になり、第2波の到来が懸念されております。前期の総会が延期になっており、これから総会を行う方もいらっしゃると思います。一方、総会を済ませ新たな理事会で管理組合の活動をスタートさせた方もいらっしゃるでしょう。総会決議は理事の皆さんが1年間理事会で積み上げて来た内容を区分所有者に諮るものです。快く承認頂けるようにしたいものです。

利害が複雑に絡み合う案件もありますので、全ての議案を全会一致で承認を得ることは難しいと思われます。そのような中、「物言う反対派」への対策が重要となります。「物言う反対派」は殆どの場合少数派(1割以下)ですが、大きな声で延々と自説を主張し議事進行の妨げることがあります。しかし、理事会が多数の区分所有者の意に反する議案を無理に上程しているのではありません。多数の「静かな賛成派」が支持しています。「静かな賛成派」は管理組合の活動に無関心の人もを多く、積極的に賛成しているわけではありませんが、「理事会の判断に委ねる」という立場で消極的に支持しています。総会は多数決である以上、理事会は、多数の「静かな賛成派」の助力を得て、少数の「物言う反対派」の妨害を阻止し、円滑な議事運営(合意形成)に努める必要があります。

多数の「静かな賛成派」の助力を得て円滑に合意形成するためには、「日頃から広報活動を怠らない」「アンケートにより区分所有者の意向を把握」「委任状・議決権行使書の回収を怠らない」などの施策が考えられます。理事会での活動内容をオープンにし、必要に応じて意向を伺うことで、多くの区分所有者が安心して理事会に委ねられる環境を整えることが重要になります。その上で総会前に「静かな賛成派」から可決に足る委任状と議決権行使書を回収することで、円滑な議事運営(合意形成)が実現できます。

マンションの資産価値を維持するためには、「静かな賛成派」の支持を背景に円滑な議事運営に努める必要があります。適切に手続きを踏んだ上で、自信を持って運営しましょう。

2020年7月4日土曜日

理事の権限

2020年も7月に入りました。管理組合理事会に参加すると、管理会社からいくつもの議案が出され、理事が決断を迫られることが多くあります。例えば「共用部の壁が破損しています。日常修繕として対応したいのですが、よろしいでしょうか?どこの業者に発注しましょうか?」と管理会社から問われた場合どう対応すればよいでしょうか。共用部の日常修繕は区分所有者の皆様から集めたお金を元手に行いますので、他の区分所有者の意向を気にして判断を躊躇することがあると思います。

理事は総会で区分所有者から選任されています。総会は理事に向こう1年間の業務執行を委ねているのですから、選任された事実を根拠に自信を持って業務執行(管理会社への指示)を行って頂いて構いません。むしろ、区分所有者の個別的意見を気にして判断を避けたり、遅らせる行為は、全区分所有者の利益に反し好ましくありません。

しかし、総会から選任されたからといって、無制限に権限を付与された訳ではありません。総会で承認された予算の範囲内で適切に業務執行をしなければなりません。一番注意しなければならないのは、「利益相反取引の疑いがある行為を慎むこと」です。理事は自身が経営する工務店に全体共用部の日常修繕工事を発注する行為がそれにあたります。金額の大小や技術の如何に関わらず、「管理組合から理事へお金が流れる構図」は他の区分所有者から疑いをもたれる余地があるため極力避けねばなりません。

理事の権限は区分所有者からの信用や信頼に支えられています。区分所有者から疑念を持たれる行為を避けつつ、理事の行為(理事会での決議内容)を区分所有者へ報告することが大事です。この2つを順守した上で、自身を持って判断を下して頂ければと思います。

マンションの資産価値を維持するためには、理事が区分所有者からの信用をベースに、自信を持って権限を行使する必要があります。

理事会の運営方法を工夫しよう!

2024年11月も最終週に入ります。今年も残り僅かですね。管理組合では常に様々な問題が発生しております。今年のうちに解決すべき積み残し案件については、速やかに進めて参りましょう。今回は理事会の運営方法について説明いたします。 理事会は1~2ヵ月に1回の頻度で役員(理事・監事)が一...