2020年9月26日土曜日

管理書類の電子化

 

2020年9月も最終週に入りました。雨や曇りの日も多く気温は大分下がって来ました。コロナ禍少しずつ通常の活動を再開されている管理組合もあると思います。感染拡大防止策は万全に行って下さい。今回は管理書類の電子化について説明致します。

マンションには多くの管理書類が存在します。マンション内に正式な書類保管倉庫があることは珍しく多くの場合は、集会室や管理員室の戸棚、管理会社内、理事長宅に保管されているのではないでしょうか?このような必要な時に必要な書類を直ぐに探し出すことは難しいと思われます。特に竣工から10年以上経っているマンションでは相当な量になっていると思います。

管理組合関係者(区分所有者、監事、理事、管理会社など)が其々必要な資料を必要なときに直ぐに閲覧できる体制を整えておく必要があります。

※主な管理書類

・議事録類(総会議事録、理事会議事録、委員会議事録)

・周知文(注意喚起、案内など)

・管理規約、使用細則(最新のもの)

・長期修繕計画書、図面など

・契約書類(管理委託契約書、重要事項説明書など)

今後、署名押印の電子化が一般に普及すれば、原本そのものを電子化することも可能ですが、現段階では紙原本をPDF化したものを「事実上の原本」とし整理保管するのが現実的です。電子化(PDF化)することでWEB上に保管することが可能になり、区分所有者、監事、理事、管理会社が其々の立場で必要な書類を必要な時に使用することができるようになります。

セキュリティや権限設定をどのようにするかが問題になりますが、電子掲示板を安価(場合によっては無料)で提供するサービスも出てきておりますので、先ずはこれらのサービスを理事会のメンバーで試用しては如何でしょうか。管理会社に電子化(PDF化)した書類をWEB上にアップして貰い、理事各位が実際に利用することで、セキュリティや権限設定の問題点を洗い出し、特に問題が無い状態で一般の区分所有者に開放する方法で進めるのが良いと思います。

マンションの資産価値を維持するためには、管理に必要な書類を必要な時に閲覧できる体制を整える必要があります。

2020年9月19日土曜日

騒音苦情対策

 

2020年9月も中旬に入りました。少しずつ気温も下がって来ましたので避難訓練などを企画しては如何でしょうか?動画も併用するなど、新型コロナ感染拡大にも配慮しながら通常の生活を取り戻していきましょう。今回はマンションの騒音苦情対策について説明致します。理事会に持ち込まれる苦情のうち、騒音(子供・ペット・楽器・スピーカーなど。)に対するものは多くありますが、音の発信源が特定できないことも多く、どのように対応すればよいか理事会でも対応に苦慮することが多いと思います。

マンションで発生する音は、大きく分けると空気伝搬音と固体伝搬音に分かれます。

・空気伝搬音⇒ペットの鳴き声、話し声、管弦楽器・室外からの騒音・スピーカーからの音

・固体伝搬音⇒歩行音・ドアを閉める音・換気扇の音・打楽器・スピーカーからの重低音

空気伝搬音は「音」、固体伝搬音は「振動」というイメージです。空気伝搬音は隣室に届く程度ですが、固体伝搬音は建物の構造(床・天井・壁・梁・配管など)を伝わり、隣室を超えた先まで届くという特徴があります。音の発信源が特定できない理由はここにあります。隣室からの騒音と思っていたところ、実際は想像を超えるほど遠くから伝わっていたということもあります。(配管が糸電話の糸の役割を果たし遠くから音が伝わる)

隣室からの音だとの思い込みが無用な誤解を生み、トラブルに発展する可能性がありますので、先ずは、区分所有者の皆さんに「マンションの構造による音の伝わり方」を理解して頂く必要があります。理事会に苦情が持ち込まれた場合、直ぐに隣室に注意を促すのではなく、区分所有者全員に対し、音の伝わり方を周知するところから始めましょう。これにより被害者・加害者とも新たな気づきがあり、この段階で解決することも十分考えられます。

これで解決しない場合、区分所有者全員に対する注意喚起に移行してください。それでも解決しない場合初めて、対象を近隣住戸に絞って注意を促す形にします。この段階ではマンション全体で騒音に対する意識た高まっているので、自覚がある方はプレッシャーを感じ自発的に止める可能性が高いです。多少時間は掛かりますが、手順を踏んで対策をすることが重要です。

マンションの資産価値を維持するためには、騒音等の苦情に対し適切に対応し、快適な住環境を整えることが必要になります。

2020年9月12日土曜日

専門委員会

 

2020年9月も中旬に入ろうとしています。新型コロナウイルス第2派はようやく落ち着いてきましたが、今後インフルエンザの流行と第3派が同時に来ることが予想されます。マンション内クラスターを防ぐため、引き続きWithコロナの対策を行って下さい。今回は専門委員会について説明致します。専門委員会は理事会の諮問機関と位置付けられており、マンション管理の業務執行を行う理事会をサポートする役回りとされております。(マンション標準管理規約55条)

理事の任期は1~2年であるため、3~5年の長期に渡るプロジェクトの場合、途中で理事会のメンバーが入れ替わってしまうという不都合が生じます。また、輪番で就任する理事には其々のテーマに対する専門知識が十分ではないため、意思決定を行う上で支障が出ます。

これらの問題を解決するために、「大規模修繕工事」「管理規約改定」「駐車場の存廃」といった高額なお金が動くテーマや、区分所有者間に大きな利害が絡むテーマについては、其々のテーマに関心・専門知識・利害がある区分所有者を「委員」とした、「専門委員会」を立ち上げることがあります。(大規模修繕委員会・管理規約改定委員会・駐車場検討委員会など)

日常管理は、理事会で意思決定すれば足りますが、このような「金額的又は質的に重要性の高い」テーマについては、日頃からできる限り多くの区分所有者に関与頂くことが望ましいので、理事会という閉鎖的な場で決めるよりも、委員会というより開かれた場で議論を重ねる方が良いです。但し、委員会と理事会が対立するようなことがあっては意味がありませんので、委員会のメンバーには理事も名を連ね、一緒に進めていくことが重要です。

どこのマンションでも毎年総会の場で鋭い質問をする区分所有者が数名いると思います。これら問題意識が高い方に委員会へ参加頂くと総会対策としても有効に機能します。

区分所有者の立場からすると、金額的又は質的に重要性の高い案件が突然総会の議案に上程され賛否を迫られると戸惑います。専門委員会を立ち上げることは、区分所有者に対する周知という意味でも有効に機能します。(総会に専門委員会の立ち上げを上程し、以降、専門委員会での活動を区分所有者に周知する形で進めてく)

マンションの資産価値を維持するためには、マンション内の金額的又は質的に重要な案件を、区分所有者に開かれた場(専門委員会など)で議論し周知することが必要となります。

2020年9月5日土曜日

管理費滞納

 

2020年9月に入りました。Withコロナの取り組みが功を奏しているようで、感染者の拡大は抑えられているように思います。マンションクラスターを発生させないよう油断せず取り組んでいきましょう。今回は管理費滞納について説明致します。管理費は修繕積立金と一緒に口座引落で管理組合に納めるのが一般的です。残高不足などの理由で口座引落ができないことが、管理費滞納のスタートになります。長期滞留にならないよう適切に対応しましょう。

一般的なマンションでは、管理組合は管理会社との間に管理委託契約を結んでおり、そのうちの事務管理業務には「管理費等滞納者に対する督促」が含まれますので、管理会社が督促を行います。しかし、管理会社が未来永劫督促を引き受け、必ず回収してくれる訳ではありません。管理委託契約では督促期間を6カ月程度に定めていることが多く、期間を過ぎたものは管理組合(理事)が直接行う必要があります。また、管理費債権は5年で時効により消滅しますので、管理組合としてきちんとした対策が必要になります。

2018年のマンション総合調査(国土交通省)によると、3ヵ月以上の滞納者がいる管理組合の割合は24.8%、6カ月以上の滞納者がいる割合が15.2%、1年以上の滞納者がいる割合が16.4%となっております。6か月以上経過すると回収が難しくなること分かります。管理組合としては、早期に発見し、3ヵ月以内での解決を目指すことが重要になります。

管理会社が督促をするのが6か月なので、期間の半分である3ヵ月以内に解決できるよう、管理組合(理事会)で督促業務の具体的内容を決めマニュアル化し、管理会社にはマニュアルに沿って督促業務を実施頂くよう指示するのが効果的です。先ずは、早期発見が大事なので、引落が掛からなかった区分所有者が出た場合、直ちに理事会に報告すること。続いて、電話及び訪問により督促を行いその結果を週1回理事会に報告すること。それでも解決しない場合は、書面や内容証明郵便による督促を行った上、電話及び訪問による督促を行いその結果を週1回理事会に報告すること。3ヵ月間このマニュアルを徹底すれば概ね解決します。

このマニュアル通りに督促をしても解決できない場合は、背景に大きな問題があり、長期化する懸念がありますので、管理会社が対応してくれる期間(一般的に6カ月)内に時効対策も視野に、全力で取り組む必要があります。滞納者に支払計画書を提出させるか、滞納額の1部(極端に言えば1円)でも支払わせれば時効は中断します。どうしても支払えないのであれば、毎月支払計画書を提出させるか、一部支払いをさせ、時効が進まないようにした上で、管理会社に督促及び理事会への報告を徹底させ、6か月以内の解決を目指しましょう。

マンションの資産価値を維持するためには、管理費滞納に対し「早期発見・早期対応」で臨み、6か月以上の長期滞留者を出さないことが必要になります。

理事会の運営方法を工夫しよう!

2024年11月も最終週に入ります。今年も残り僅かですね。管理組合では常に様々な問題が発生しております。今年のうちに解決すべき積み残し案件については、速やかに進めて参りましょう。今回は理事会の運営方法について説明いたします。 理事会は1~2ヵ月に1回の頻度で役員(理事・監事)が一...