2021年3月27日土曜日

自治会との関係を理解し互いに協力していく

2021年3月も最終週になりました。新規感染者数が下げ止まり、第4波の入り口と言われています。管理組合としても感染拡大防止策を徹底していきましょう。今日は管理組合と自治会の関係について説明します。

区分所有者の皆さまからお預かりしているマンション管理費から自治会費を支出しているマンションもあると思います。管理組合が自治会費を代理徴収しているに過ぎないのであれば、良いのですが、管理組合の経費として支出している場合は問題があるので注意が必要です。

管理組合と自治会は、対象者、目的、加入義務の有無が異なります。

管理組合の対象者が「区分所有者」であるのに対し、自治会の対象者は「居住者」になります。

管理組合の目的が「資産価値維持向上」であるのに対し、自治会の目的は「地域コミュニティ形成」です。

管理組合は加入が「義務」であるのに対し、自治会の加入は「任意」とされています。

国土交通省は標準管理規約27条のコメントで、マンション管理費と自治会費を区分経理(明確に区別)することを求めています。区分所有者からお預かりしているマンション管理費の中から自治会費を支出すると、結果として自治会に加入したくない人からも強制的に自治会費を徴収することになるため、十分な配慮が必要です。

また、賃貸の場合、結果として非居住の区分所有者(賃貸人)に自治会費を負担させることが無いよう配慮が必要です。自治会は居住者(賃借人)に加入の意思を確認の上、自治会費を徴収する必要があるので、管理組合が代理徴収する場合はその点十分な配慮が必要です。

標準管規約は、管理費と自治会費のお財布を別にすることと、自治会費を強制徴収しないことを求めているのであって、管理組合と自治会の活動を分断することを求めているのではありません。管理組合としては、自治会とどのような関係を築いていけば良いのでしょうか?

其々の目的(マンション資産価値の維持向上・地域コミュニティ形成)が重なる部分で協力していくのがベストです。マンションは地域の中に存在するわけですから、地域コミュニティと関係が悪ければ、資産価値を維持することは難しくなります。一方、自治会は地域内に存在するマンションの居住者の多くが未加入の場合地域コミュニティの形成は難しくなります。双方の目的を達成するためにお互が出来る範囲で協力していきましょう。

管理組合としては、自治会費をマンションの会計とは完全に分けた上で、代理徴収には協力するというのも一つの方法です。

自治会との関係を理解し、相互に協力しあうことでマンションの資産価値を守って行きましょう!

2021年3月20日土曜日

契約不適合(瑕疵)には管理会社の属性を理解して対応

 

2021年3月も下旬に入ってきました。緊急事態宣言が解除されようとしていますが、新規感染者数は下げ止まっております。第4派にならないよう感染拡大防止に努めていきましょう。今回は実践編として、契約不適合(瑕疵)を発見した場合の対応方法について説明致します。

マンション竣工から10数年後に予定される第1回目の大規模修繕工事までの間には、どのマンションでも大なり小なり契約不適合(瑕疵)は必ず生じます。その時、管理組合がどのように対応するかによって区分所有者が負担するコストに大きな違いが生じるので注意が必要です。

売主に対して責任を追及する根拠は、アフターサービス契約や住宅の品質確保の促進に関する法律(品確法)が挙げられます。躯体10年、水回り5年、その他2年が一般的な保証期間です。しかし、この期間内に発見できるとは限りません。売主は期間を1日でも過ぎれは責任を回避しますが、売主としての責任が無いわけではありません。売主には完成品を売る義務が有るにもかかわらずそれを果たせていない以上、管理組合は売主に対し責任を追及する必要があります。保証期間が過ぎている場合、満額の請求は難しいかもしれませんが、その場合でも売主に補修費用の一部は負担させるべきです。管理組合と売主(デベロッパー)の交渉事になります。

交渉を進めて行く上で、管理会社のサポートは欠かせません。但し、管理会社の属性によってサポートの仕方が全く異なりますので留意が必要です。

・デベロッパー系管理会社(売主と資本関係あり)

・独立系管理会社(売主と関係なし)

デベロッパー系管理会社は、売主の子会社やグループ会社になりますので、顧客である管理組合より親会社の意向を優先させます。管理組合が売主に責任追及する場合、表向きは顧客の立場で売主に対峙しますが、実際は本気で売主を相手に交渉することはありません。従って、管理組合としては、売主と対峙するのではなく、売主グループとして管理会社に対し責任追及するのが有効です。共用部を管理しているのは管理会社であるため、管理会社は管理組合に対し保証期間内で契約不適合(瑕疵)を報告する義務があります。それを怠ったことが保証期間を過ぎた原因であれば、その責任は管理会社にあります。管理委託契約の善管注意義務違反を根拠に管理会社に責任を追及し、グループ内で解決させるのが有効です。

独立系管理会社は、売主と資本関係ありませんので、売主に何ら遠慮する必要はありません。顧客である管理組合とともに売主に責任を追及することは可能です。しかし売主の懐に入って交渉することは難しく、管理組合とともに試行錯誤で交渉していくことになります。独立系の管理会社と契約をする際は、契約不具合(瑕疵)への対応姿勢を予め確認し、管理組合の立場に立って一緒に闘ってくれるか確認する必要があります。「保証期間が過ぎているからダメですという」姿勢であればデベロッパー系管理会社と変わりませんので意味がありません。顧客(管理組合)の為に顧問弁護士と伴に売主に対峙する姿勢が求められます。

契約不適合(瑕疵)には、管理会社の属性を理解した上で、売主に責任を追及することで、マンションの資産価値を守って行きましょう!

2021年3月13日土曜日

機械式駐車場の稼働率を注視する

2021年3月も中旬に入ります。新型コロナウイルス第3波が下げ止まっている状況ですが、第4波を起こさないよう感染拡大防止策を徹底していきましょう。前回は時事問題としてWEB会議システムについてお伝えしました。今回は各地で色々な問題が起きている機械式駐車場について説明します。

機械式駐車場とは、限られたスペースに多くの車を駐車できるようにするための構造物です。可動式の構造物であるため、エレベーター同様、使用するにあたっては、常にメンテナンスが必要であるという特徴があります。点検や部品の交換、本体の更新に多額のコストが必要です。これらのコストは、主に駐車場利用者から徴収する駐車場使用料で賄っております。

1990年代は車を保有する家庭が多く、自治体が附置義務(駐車場数の下限)を定めていたこともあり、分譲マンションには積極的に設置されておりました。2000年代に入ると、高齢化や若者の車離れが進み、車を保有しない家庭が増え、駐車場の契約数が減ってきました。

車の保有台数が減ったことにより、機械式駐車場に空きが増え、駐車場収入の減少する傾向にあります。一方で機械式駐車場のメンテナンスコストは空区画の分も含めて継続して掛かります。機械式駐車場メーカーやメンテナンス業者が淘汰されていることから、メンテナンスコストは増加の傾向が見られます。(また、業者の統廃合により今までと同じサービスが受けられないという問題も出てきております。)

駐車場収入の減少とメンテナンスコストの増加で、管理組合の収支が圧迫されている状況が見られるようになりました。空区画とメンテナンスコストの問題を考えると、今後は、機械式駐車場の一部又は全部を解体し、平置きの駐車場に変更も視野に入れる必要があります。

管理組合としては、駐車場の稼働率に注視し、駐車場収入とメンテナンスコストのバランスを確認する必要があります。駐車場収支が赤字になると一般会計から補填することになり、マンションの資産価値を押し下げてしまいます。メンテナンスコストを確保するためには、最低何台の契約が必要なのかを計算し、契約数がそれを下回った段階で、機械式駐車場の減築を検討しましょう。

稼働率に応じて機械式駐車場を減築することで、マンションの資産価値を守って行きましょう!

2021年3月6日土曜日

WEB会議システムの有効活用する

2021年早くも3月に入りました。新型コロナウイルスの新規感染者は大分落ち着いて参りました。管理組合として引き続き感染拡大防止策を実施していきましょう。今回は時事問題について説明致します。2021年1月29日に国土交通省で開催された検討会標準管理規約の改正案が議論されました。コロナ禍の総会や理事会の開催方法をを整理する狙いがあります。

昨年の4月から5月にかけて緊急事態宣言が発出されましたが、3月決算の管理組合では総会の開催時期に重なりました。3密を防ぐことが求められる中、標準管理規約42条3項に従って必ず5月中に総会を開催しなければならないのか?が議論になりました。止むを得ず人を集め例年通りのスタイルで総会を開催した管理組合も多かったのではないでしょうか?

標準管理規約を冷静に読んでみると、リアルの会議室で開催することを義務付ける記述はなく、WEB会議システムを用いた会議を禁止する記述もありません。現状の管理規約を変えることなく、WEB会議システムを用いて3密を防止する形で総会を開催することは可能です。

それでも、パソコンや通信回線を所有しておらず、WEB会議システムを使用することができない方(IT弱者)がいる場合は、リアル会議をを併用するなど、IT弱者への配慮も必要になります。一方、リアル会議を併用する場合は、リアル会議散会者数によっては3密を防ぐことが困難であったり、管理組合として新たにIT機器(ビデオ会議システムなど)を準備する必要があるなどの問題が生じます。

そこで、緊急事態宣言下でも総会を延期することができないか?が論点になりました。この点、総会提出議案は理事会で決議するとする標準管理規約54条四号を根拠に、理事会で通常総会の延期議案のみ決議すれば事実上延期することができると解釈することで、状況が落ち着くまで延期した管理組合もあったと思います。但し、総会の延期ができることを示す明確な記述はなく、曖昧さが残る不安定な状況でありました。

今回、国土交通省の検討会で示された標準管理規約改定案では、理事会及び総会は、WEB会議会議システムを用いた会議を含むことを明文化するとともに、感染症拡大防止のために総会を延期できることも明文化しております。いずれも当然のことを敢えて明文化したに過ぎませんが、理事が安心して当然の判断を下せる点でとても優れた案だと考えております。

管理組合としてはこれに留めるのではなく、非居住の区分所有者も容易に参加できる「WEB会議システムを用いた会議」を、理事のなり手不足解決の手段として積極的に活用しましょう。ヤル気のある非居住の区分所有者を理事会取り込むことで、マンションの資産価値を守っていきましょう!

理事会の運営方法を工夫しよう!

2024年11月も最終週に入ります。今年も残り僅かですね。管理組合では常に様々な問題が発生しております。今年のうちに解決すべき積み残し案件については、速やかに進めて参りましょう。今回は理事会の運営方法について説明いたします。 理事会は1~2ヵ月に1回の頻度で役員(理事・監事)が一...