昨年の4月から5月にかけて緊急事態宣言が発出されましたが、3月決算の管理組合では総会の開催時期に重なりました。3密を防ぐことが求められる中、標準管理規約42条3項に従って必ず5月中に総会を開催しなければならないのか?が議論になりました。止むを得ず人を集め例年通りのスタイルで総会を開催した管理組合も多かったのではないでしょうか?
標準管理規約を冷静に読んでみると、リアルの会議室で開催することを義務付ける記述はなく、WEB会議システムを用いた会議を禁止する記述もありません。現状の管理規約を変えることなく、WEB会議システムを用いて3密を防止する形で総会を開催することは可能です。
それでも、パソコンや通信回線を所有しておらず、WEB会議システムを使用することができない方(IT弱者)がいる場合は、リアル会議をを併用するなど、IT弱者への配慮も必要になります。一方、リアル会議を併用する場合は、リアル会議散会者数によっては3密を防ぐことが困難であったり、管理組合として新たにIT機器(ビデオ会議システムなど)を準備する必要があるなどの問題が生じます。
そこで、緊急事態宣言下でも総会を延期することができないか?が論点になりました。この点、総会提出議案は理事会で決議するとする標準管理規約54条四号を根拠に、理事会で通常総会の延期議案のみ決議すれば事実上延期することができると解釈することで、状況が落ち着くまで延期した管理組合もあったと思います。但し、総会の延期ができることを示す明確な記述はなく、曖昧さが残る不安定な状況でありました。
今回、国土交通省の検討会で示された標準管理規約改定案では、理事会及び総会は、WEB会議会議システムを用いた会議を含むことを明文化するとともに、感染症拡大防止のために総会を延期できることも明文化しております。いずれも当然のことを敢えて明文化したに過ぎませんが、理事が安心して当然の判断を下せる点でとても優れた案だと考えております。
管理組合としてはこれに留めるのではなく、非居住の区分所有者も容易に参加できる「WEB会議システムを用いた会議」を、理事のなり手不足解決の手段として積極的に活用しましょう。ヤル気のある非居住の区分所有者を理事会取り込むことで、マンションの資産価値を守っていきましょう!
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