2022年5月28日土曜日

大規模修繕工事周期の延長を検討しよう

2022年5月も終わりですね。新型コロナウイスはワクチン3回目の接種が広く行き渡り、終息が見えてきました。油断せず基本的な感染拡大防止策は続けていきましょう。今回は大規模修繕工事の周期について考えます。
大規模修繕工事とは、マンションの外側に足場を組む必要がある大掛かりな工事で、長期修繕計画では一般的に10年から15年周期で組まれています。国土交通省の調査では、1回あたり100万円/戸程度かかると言われており、第1回目を実施するタイミングは、第2回目以降の工事スケジュールにも影響を及ぼすため、慎重に検討する必要があります。

第1回目の工事は外壁(タイル)の補修や防水工事が中心になります。タイルの浮きや、水漏れがある場合は、長期修繕計画を前倒し、侵攻後10年未満でも行う必要がある一方、タイルや防水の状態が良い場合は、竣工後20年程度まで引き延ばすことができます。前者の場合は10年周期、後者の場合は20年周期となり、工事費総額は2倍近くも差が出ます。

タイルの浮きや、水漏れがあり、長期修繕計画の前倒しを余儀なくされる場合、その原因は竣工時(引き渡し前)の施工不良に原因があると考えられます。設計監理会社(大規模修繕工事のコンサル会社)の協力を得て、売主に責任を追及しましょう。このような場合、区分所有者の皆さんからお預かりしている修繕積立金で工事費用を賄うと、将来の財政が枯渇してしまいますので注意が必要です。

一方、外壁タイルのや屋上防水の状態が良い場合は、長期修繕計画通りに工事を進める必要はありません。設計監理会社の協力を得て、工事周期の延長を検討しましょう。近年の技術革新で、工事素材の質は飛躍的に向上しており、素材の耐用年数は想像以上に伸びています。長期修繕計画策定時に15年周期と想定していても、実際には20年周期に延ばすことが可能な場合もあります。細かな不具合を日常修繕で積極的に補修することで、大規模修繕工事を先に延ばし、工事総額を大幅に削減することができます。

そのためには、管理会社や設計監理会社に対し、「不要不急の工事を行わず、修繕積立金を充実させる。」という管理組合の基本方針を、日頃から伝えておくことが重要です。

可能な限り大規模修繕工事の周期を長くし、財政を充実させることで、マンションの資産価値を守っていきましょう!

2022年5月21日土曜日

管理会社を変更したくなったら

2022年5月も下旬に入っていきます。多くのマンションでは既に総会が実施されたと思います。ゴールデンウイークを挟んで、新型コロナウイルス新規感染者数は一進一退の状況です。これから総会を開催されるマンションでは、感染拡大防止策を徹底しましょう。今回は管理会社の変更について説明致します。



区分所有者が管理会社に満足できないと、管理会社の変更を検討することになります。実際に変更するか否かに関わらず、いちど検討してみるのが良いと思います。一番のポイントは「対価に見合ったサービスを受けているか否か」になります。管理会社との契約は通常、国土交通省が公表している標準管理規約書に準拠しているので、実際のところ契約上のサービスの内容に大きな差ははいと考えられます。

先ず、管理費を確認しましょう。毎月支払っている管理費の大部分は管理委託費として、管理会社に支払われます。管理費が他のマンションと比べて高いか、安いかをチェックします。東日本不動産機構が公表している首都圏中古マンションの管理費・修繕積立金によると、平均で191円/㎡(1戸あたり12,480円)となっております。毎月引き落とされる金額には修繕積立金も含まれますので、内訳も確認してください。

次に、サービスの質を確認します。サービスの質は担当者の能力と態度で決まります。管理会社が管理組合(理事会)から指示された内容を忠実に対応できれば、管理組合の満足度は高まります。どこの管理会社にも優秀な管理マンは必ず存在するので、担当者に満足がいなければ、管理会社の交代を検討する前に、優秀な担当者に変更してもらいましょう。

管理会社が平均並みで、担当者に大きな不満が無いのであれば、管理会社を変更する意味はありません。管理会社の担当者は管理業務主任者や、マンション管理士といったマンション管理に関する国家資格を持っている人も多いです。もちろん、資格があるから仕事ができる訳ではありませんが、管理組合(理事会)が彼らの潜在能力を引き出し、ハンドリングすることでも重要です。これができなければ、仮に管理会社を変更しても同じ結果になります。

管理組合(理事会)は、毎月管理会社に高いお金を支払っているのですから、管理会社の仕事ぶりに関心を示しましょう。委託者からの視線を感じれば、自ずときちんと仕事をするものです。担当者と適切にコミュニケーションを取ることで、不満の多くは改善されます。

対価に見合ったサービスを受けることで、マンションの資産価値を守っていきましょう!

2022年5月14日土曜日

管理会社と管理組合の情報格差とは?

2022年5月も半分が過ぎてしまいました。早いものですね。既に総会を終わられたマンションあると思います。総会は3密の典型になりますので、会場入り口での検温や消毒を徹底した上で、換気も十分に行いましょう。今回は管理会社との情報格差について説明します。


・管理会社⇒マンション管理のプロ集団(管理受託者)

・管理組合⇒マンション管理の素人集団(管理委託者)

管理会社の社員の中には、管理業務主任者やマンション管理士といったマンション管理にに関する国家資格を持っている人もいます。国家資格を持たない人でも長年にわたり複数のマンションの管理を担う中で得た知識や経験があります。マンション管理のノウハウが蓄積されているという意味で、管理会社は、マンション管理のプロと言えます。

一方、管理組合を構成するのはマンションの(区分)所有者であり、必ずしもマンション管理の知識があるわけではありません。どこにでもいる普通の人です。関係業界に勤めている人もいるでしょうが、業界のしがらみもあり、自分が所有するマンションを管理するために力を発揮することは難しいことが多いようです。その点、管理組合は、マンション管理の素人といえます。

プロと素人の間には大きな「情報格差」(知識や経験の差)があります。管理会社は「情報格差」を利用し、手抜きをしようとします。手抜きをしても素人である管理組合にはバレないと考えているからです。素人である管理組合は、毎月高額のお金を支払い、マンション管理業務を委託しているので、その対価に見合ったサービスを受ける権利があります。プロである管理会社に騙されてはいけません。

管理組合は「情報格差」があることを正しく認識し、それを踏まえて管理会社に向き合う必要があります。「情報格差」を埋めるために管理委託費をお支払いしていることを管理会社に伝えましょう。「情報格差の悪用は決して許さない」という姿勢を見せることで、管理会社を牽制し、対価に見合ったサービスを引き出すことが重要です。

管理会社を牽制する方法

・管理会社の担当者と最低でも週2回は、電話やメール等で連絡を取り合う

・理事会の1週間前にレジュメを提出させ、一通り目を通し手から出席する

これを意識して取り組むだけでも、管理会社に与える印象は大分変ります。管理組合は管理会社になめられてはいけません。管理会社の業務内容に関心を持ち、管理会社に丸投げしないことが重要になります。

「情報格差」の存在を正しく認識した上で、管理会社と対等に向き合うことで、マンションの資産価値を守っていきましょう!

2022年5月7日土曜日

会計業務の内容を正しく把握しよう

2022年も5月に入りました。ゴールデンウイークも終わりいよいよ総会の開催が目前に迫りました。皆さん準備は順調に進んでいるでしょうか?総会は管理組合の活動の中で最も密になる場面です。新型コロナウイルス感染拡大防止策をしっかりとった上で開催しましょう。今回はマンションの会計業務について説明します。
マンションの会計は区分所有者からお預かりしている管理費が元手になりますが、具体的にどのように管理されているのかはあまり知られていないのが実情です。会計業務(出納業務)は管理組合が管理委託契約により管理会社に委託している事務管理業務の一環として行われています。(標準管理委託契約書参照)

過去、管理会社の横領事件によって、管理組合の財産が毀損する事件があり、銀行口座の管理方法を厳格化する法改正が2010年に行われました。管理組合としてもマンションの会計業務を管理会社に一任(丸投げ)するのではなく、委託している会計業務を自ら主体的に監督する必要があります。

マンション会計のうち、主な収入は区分所有者から毎月徴収している管理費や、駐車場利用者から徴収している駐車場使用料になります。一方、主な支出は管理会社に対する管理委託費になります。管理会社が管理組合の口座から自らの口座にお金を移動させる行為は、不正が起きても発見することが難しいため、避けなければなりません。仮に振込実務を管理会社に任せる場合でも、管理組合が振込の内容を把握する必要があります。具体的には複数の理事が振込額とその内容を理解した上で、事前に承認する仕組みを作ることが求められます。

管理組合の預金残高は区分所有者共有の財産であり、マンションの資産価値を維持向上させる上で不可欠のものです。管理が杜撰で共有財産を毀損させることがあってはなりません。区分所有者一人一人が関心を持ち、少しでも分からないことがあれば、納得がいくまで管理会社に説明を求める姿勢が重要です。その積み重ねが管理会社に対する牽制となり、適切な管理に繋がります。

3月決算の管理組合は近々総会が開催されます。1年間の決算報告の後、決算承認決議がありますので、この機会に不明点を管理会社に質問して内容把握に努めましょう。

会計業務の内容を正しく把握することによって、マンションの資産価値を守っていきましょう!

理事会の運営方法を工夫しよう!

2024年11月も最終週に入ります。今年も残り僅かですね。管理組合では常に様々な問題が発生しております。今年のうちに解決すべき積み残し案件については、速やかに進めて参りましょう。今回は理事会の運営方法について説明いたします。 理事会は1~2ヵ月に1回の頻度で役員(理事・監事)が一...