マンションは車を駐車する十分な敷地を確保するのが難しいため、機械式駐車場が採用されるケースが多くみられます。特に都市部では殆どが機械式駐車場です。機械式駐車場は、「多段方式・二段方式」と、「垂直循環方式・エレベータ方式」に大別され、前者は屋外、後者は屋内(タワーパーキング)に設置されます。
機械式駐車場は、メンテナンスにお金がかかります。竣工後間もないマンションでは定期点検の費用しか掛からないので、問題点に気付きにくいです。
しかし、竣工後10年を目安に故障が頻発するようになります。機械式駐車場は、細かな部品や精密機器を組み合わせて作られているため、個々の部品や機器が耐用年数を迎えると、その都度不具合が生じます。
不具合が生じると、部品の修理や機器の交換が必要になります。長期修繕計画で予定されているものであれば、特に大きな問題は無いのですが、計画に無い(予期せぬ)修理や交換が続くと、管理費を圧迫することになります。この状況で、駐車場の稼働率(契約率)が下がると管理費が管理費が枯渇してしまいます。
多くのマンションでは、駐車場収入は一般会計で管理し、駐車場支出は積立金会計で管理しているため、機械式駐車場の収支を把握することが難しくなっています。利益を出しているのであれば、問題ないのですが、損失を出してる場合は、機械式駐車場の廃止を含め検討が必要になります。
適切な判断を行うためには、機械式駐車場の収支表を作成し、区分所有者に共有することが求められます。収支表が無い場合は直ちに管理会社に作成を依頼して下さい。(駐車場収支の見える化が必要です。)
竣工後30年の収支は下記のようになります。(60台のタワーパーキングの例)
収入)約3億円<18,000円×12ヵ月×30年×80%(稼働率)×60台>
支出)約3億円<定期メンテナンス及び修理代1億円+本体更新費用2億円>
稼働率の低下や、予期せぬ修理代の増加があり、収支バランスが崩れている場合は、機械式駐車場の廃止を検討する必要があります。本体の更新時に慌てることが無いよう、駐車場収支の状況については、毎年の総会で区分所有者に報告し、共有しておくことが望ましいです。
機械式駐車場の収支を正しく把握することで、マンションの資産価値を守っていきましょう!