2024年7月27日土曜日

管理会社を変更(リプレイス)したくなったら

2024年7月も最終週に入ります。夏真っ盛りです。地球温暖化による影響が顕著な昨今、熱中症と豪雨に注意してください。命を守る行動に徹しましょう。今回は管理会社の変更(リプレイス)について説明します。


区分所有者が管理会社に満足できないと、管理会社の変更を検討することになります。実際に変更するか否かに関わらず、一度検討してみるのが良いと思います。一番のポイントは「対価に見合ったサービスを受けているか否か」になります。管理会社との契約は通常、国土交通省が公表している標準管理契約書に準拠していますので、実際のところは契約上のサービスの内容に大きな差は無いと考えられます。

先ず、管理費を確認しましょう。毎月支払っている管理費の大部分は管理委託費として、管理会社に支払われます。管理費が他のマンションに比べて高いか、安いかをチェックします。東日本不動産流通機構が公表している首都圏中古マンションの管理費・修繕積立金によると、平均で201円/㎡(1戸あたり12,831円)となっております。毎月引き落とされている金額には修繕積立金も含まれているので、内訳を確認して下さい。

次に、サービスの質を確認します。サービスの質は、担当者の能力と態度で決まります。管理会社が管理組合(理事会)から指示された内容を忠実に対応できれば、管理組合の満足度は高まります。どこの管理会社にも優秀な管理マンは必ず存在するので、担当者に満足がいかなければ、管理会社の交代を検討する前に優秀な担当者に変更してもらいましょう。

管理費の金額が平均並みで、担当者にも大きな不満や問題がないのであれば、管理会社を変更する意味はありません。管理会社の担当者は管理業務主任者やマンション管理士といったマンション管理に関する国家資格を持っている人も多いです。もちろん、資格があるから仕事ができる訳ではありませんが、管理組合(理事会)が彼らの潜在能力を引き出し、ハンドリングすることも重要です。これができなければ、仮に管理会社を変更しても同じ結果になります。

管理組合(理事会)は、毎月管理会社に高いお金を支払っているのですから、管理会社の仕事ぶりに関心を示しましょう。委託者からの視線を感じれば、自ずときちんと仕事をするものです。担当者と適切にコミュニケーションを取ることで、不満や問題の多くは改善されます。

対価に見合ったサービスを受けることで、マンションの資産価値を守っていきましょう!

2024年7月20日土曜日

管理組合と管理会社の間にある情報格差

2024年7月も下旬に入ります。梅雨明けが見えたとはいえ、台風と線状降水帯には要注意です。近年、地球温暖化の影響で全国各地でゲリラ豪雨が発生しています。決して他人事ではありません。管理組合として治水対策を積極的に行っていきましょう。今回は管理組合と管理会社の情報格差について説明します。

・管理会社⇒マンション管理のプロ集団(管理受託者)
・管理組合⇒マンション管理の素人集団(管理委託者)



管理会社の社員の中には、管理業務主任者やマンション管理士といったマンション管理に関する国家資格を持っている人もいます。国家資格を持たない人でも長年に渡り複数のマンションの管理を担う中で得た知識や経験があります。

マンション管理のノウハウが蓄積されているという意味で、管理会社はマンション管理のプロと言えます。

一方、管理組合を構成するのはマンションの(区分)所有者であり、必ずしもマンション管理の知識があるわけではありません。どこにでもいる普通の人です。

関係業界に勤めている人もいるでしょうが、業界のしがらみもあり、自分が所有するマンションの管理をするために力を発揮するのは難しいことが多いようです。その点、管理組合はマンション管理の素人といえます。

プロと素人の間には大きな「情報格差」(知識や経験の差)があります。管理会社は「情報格差」を利用し、手抜きをしようとします。

手抜きをしても素人である管理組合にバレないと考えているからです。素人である管理組合は、毎月高額のお金を支払い、マンション管理業務を委託しているので、その対価に見合ったサービスを受ける権利があります。プロである管理会社に騙されてはいけません。

管理組合は「情報格差」があることを正しく認識し、それを踏まえて管理会社に向き合う必要があります。

「情報格差」を埋めるために管理委託費をお支払いしていることを管理会社に伝えましょう。「情報格差の悪用は決して許さない」という姿勢を見せることで、管理会社を牽制し、対価に見合ったサービスを引き出すことが重要です。

管理会社を牽制する方法
・管理会社の担当者と最低でも週2回は、電話やメールで等連絡を取り合う
・理事会の1週間前にレジュメを提出させ、一通り目を通してから出席する

これを意識して取り組むだけでも、管理会社に与える印象は大分変ります。管理組合は管理会社になめられてはいけません。管理会社の業務内容に関心を持ち、管理会社に丸投げしないことが重要になります。

「情報格差」の存在を正しく認識した上で、管理会社と対等に向き合うことで、マンションの資産価値を守っていきましょう!

2024年7月13日土曜日

管理組合の会計について

2024年7月も中旬に入ります。梅雨明けが待ち遠しいですね。皆さんがお住まいの地域の排水能力に問題は無いでしょうか?排水能力に問題がある場合、想像を絶する局地的な豪雨には対応できないことが想定されます。自治体が発信しているハザードマップを確認し必要に応じて治水対策を施しましょう。今回はマンションの会計業務について説明いたします。



マンションの会計は区分所有者からお預かりしている管理費が元手になりますが、具体的にどのように管理さてれいるのか?はあまり知られていないのが実情です。会計業務(出納業務)は、管理組合が管理委託契約により管理会社に委託している事務管理業務の一環として行われています。(標準管理委託契約書参照)

過去、管理会社の横領事件によって、管理組合の財産が毀損する事件があり、銀行口座の管理方法を厳格化する法改正が2010年に行われました。管理組合としてもマンションの会計業務を管理会社に一任(丸投げ)するのではなく、委託している会計業務を自ら主体的に監督する必要があります。

マンション会計のうち、主な収入は区分所有者から毎月徴収している管理費や、駐車場利用者から徴収している駐車場使用料になります。一方、主な支出は管理会社に対する管理委託費になります。

管理会社が管理組合の口座から自らの口座にお金を移動させる行為は、不正が起きても発見することが難しいため、避けなければなりません。仮に振込実務を管理会社に任せる場合でも、管理組合が振込の内容を把握する必要があります。

具体的には複数の理事が振込額とその内容を理解した上で、事前に承認する仕組みを作ることが求められます。

管理組合の預金残高は区分所有者共有の財産であり、マンションの資産価値を維持向上させる上で不可欠なものです。管理が杜撰で共有財産を毀損させることがあってはなりません。

区分所有者一人一人が関心を持ち、少しでも分からないことがあれば、納得がいくまで管理会社に説明を求める姿勢が重要です。その積み重ねが管理会社に対する牽制となり、適切な管理に繋がります。

毎年の定時総会では、決算報告の後、決算承認決議がありますので、この機会に不明点を管理会社に質問して内容把握に努めましょう。

会計業務の内容を正しく把握することによって、マンションの資産価値を守っていきましょう!

2024年7月6日土曜日

管理組合と自治会の違い

2024年も7月に入りました。早いもので今年も上半期が終了しましたね。残り半年を切りました。積み残し案件があるマンションは管理組合の活動を積極的に進めていきましょう。

今回は管理組合と自治会の違いについて説明致します。




区分所有者からお預かりしているマンション管理費の中から、自治会費を支出しているマンションもあると思います。管理組合が自治会費を代理徴収しているに過ぎないのであれば良いのですが、管理組合の経費として自治会費を支出している場合は、問題があるので注意が必要です。

管理組合と自治会は、「対象者」、「目的」、「加入義務の有無」が異なります。

管理組合の対象者が、「区分所有者」であるのに対し、自治会の対象者は「居住者」になります。

管理組合の目的が「資産価値維持向上」であるのに対し、自治会の目的は「地域コミュニティ形成」です。

管理組合は加入が「義務」であるのに対し、自治会の加入は「任意」とされています。

国土交通省は、標準管理規約第27条のコメントで、マンション管理費と自治会費を区分経理(明確に区別)することを求めています。区分所有者からお預かりしているマンション管理費の中から自治会費を支出すると、結果として自治会に加入したくない人からも強制的に自治会費を徴収することになるため、十分な配慮が必要です。

また、賃貸の場合、結果として非居住の区分所有者(賃貸人)に自治会費を負担させることがないよう配慮が必要です。自治会は居住者(賃借人)に加入の意思が確認できた場合にのみ徴収ができるため、管理組合が代理徴収している場合は、その点十分な配慮が必要です。

標準管理規約は、管理組合と自治会のお財布を別にすることと、自治会費を強制徴収しないことを求めているのであって、管理組合と自治会の活動を分断することを求めているのではありません。管理組合としては、自治会とどんな関係を築いていけば良いのでしょうか?

其々の目的(マンション資産価値の維持向上・地域コミュニティの形成)が重なる部分で協力していくのがベストです。マンションは地域の中に存在するのですから、地域コミュニティと関係が悪ければ、資産価値を維持することは難しくなります。一方、自治会は地域内に存在するマンションの居住者の多くが未加入の場合、地域コミュニティの形成は難しくなります。双方の目的を達成するために、お互いができる範囲で協力していきましょう。

管理組合としては、自治会費をマンションの会計とは完全に分けた上で、代理徴収には協力するというのも一つの方法です。

自治会との関係を理解し、相互に協力し合うことで、マンションの資産価値を守っていきましょう!

理事会の運営方法を工夫しよう!

2024年11月も最終週に入ります。今年も残り僅かですね。管理組合では常に様々な問題が発生しております。今年のうちに解決すべき積み残し案件については、速やかに進めて参りましょう。今回は理事会の運営方法について説明いたします。 理事会は1~2ヵ月に1回の頻度で役員(理事・監事)が一...