2020年5月30日土曜日

監事の業務

2020年5月25日に新型コロナウイルスに関する緊急事態宣言が解除されました。今後は第2波、第3波を考慮し、Withコロナの生活様式にて少しづつ日常を取り戻していくことになります。延期されていた理事会・総会も6月以降、感染拡大防止策を取りながら実施されることになります。今回は監事の業務について説明致します。

総会資料には必ず「監査報告書」という文書が入っています。監事が総会の場で、「貸借対照表・収支決算報告書は適正と認めます。理事の業務執行について不正行為や規約に違反する事実はありません。」と毎年同じ文言を読み上げ、半ば儀式のようになっておりますが、これにはマンション管理にとって重要な意味を持っています。(国土交通省指定マンション管理業協会が公表している監査報告書雛型参照)

監事は管理会社や理事と同様、区分所有者の最高意思決定機関である総会で選任されます。管理組合の役員であることは理事と変わりませんが、業務の内容は大きく異なります。マンション管理は管理会社が理事の指示の下行っています。監事は理事の指示が適切かどうかチェックする役割を担っています。

例えば日常修繕を行うにあたり、理事が自分の親戚が経営する工務店に発注するよう管理会社に指示した場合、管理組合のお金が理事の関係者に流れることになり、受注額によっては管理組合の財産を毀損することになります。このような場合、監事は当該理事の行為は利益相反の疑いがあることを理事会に報告し、同取引が適切であるか、受注額が適切であるかを検証する義務を負っています。結果として、取引が適切と判断した場合、監事は総会で区分所有者に対し「理事の業務執行について不正行為や規約に違反する事実はありません。」と報告することになります。

マンションの資産価値を維持するためには、区分所有者が監事の役割を正しく理解し、監事の業務を有効に機能させることが必要になります。

2020年5月24日日曜日

管理会社の見直し

2020年5月で新型コロナウイルス感染症拡大防止に伴う緊急事態宣言が全国で解除される見通しとなりました。3月決算のマンションでは延期になっていた総会や総会前理事会が順次開催されていくと思います。総会では管理会社の更新が行われます。管理会社が日々どのような業務を行っているのか確認する良い機会になりますので、総会前の理事会に資料を提出させ、説明を求めましょう。ここで自信を持って説明できる管理会社であれば特に問題ないですが、説明を渋ったり内容が良く分からない場合は注意が必要です。

管理会社に委託している主な業務は、事務管理業務、管理委員業務、清掃業務、建物・設備業務の4つになります。各項目については国土交通省が公表している管理委託契約書(雛型)の別表1~4に内容が掲載されておりますので、ご自身のマンションの仕様書と比較して遜色ないかチェツクしてみると良いです。具体的には、業務の内容や頻度が理事や区分所有者の認識や感覚と合致しているか、それらの業務がいくらで受託されているのかを中心に見ていくことになります。業務の「内容・頻度・金額」が妥当であれば例年通り受託契約を更新し、疑問点があれば説明を求め、不満があれば改善を求めましょう。

管理会社の見直しは必ずしも管理会社の交代を意味するものではありません。管理組合としては、先ず、チェツクを強化し管理会社を牽制することで、自発的に改善してもらうことが重要です。次に、「改善を促す」⇒「改善を提案する」⇒「改善を指示する」の順番で進めて行き、それでも改善できない場合に初めて管理会社の交代を検討するのが良いでしょう。このように進めていけば殆どの場合、管理会社が管理組合の意向に沿って自発的に改善を図ります。

マンションの資産価値を維持するためには、管理委託費の額に見合う業務を管理会社にしてもらえるよう仕向けて行くことが必要です。

2020年5月17日日曜日

After コロナ・Withコロナへの対応(緊急事態宣言)

2020年5月14日に一部の地域で緊急事態宣言が解除されました。5月末には全国で解除される見通しです。新型コロナウイルス感染拡大防止対策もいよいよ終わりが見えてきました。しかし、緊急事態宣言が解除されても直ちに元の生活に戻れる訳ではありません。一旦終息した地域でも第2波、第3波が来ることが国内外で確認されておりますので、引き続き一定の警戒は必要とされております。

Afterコロナ(コロナ終息後は社会様式が一変する)・Withコロナ(暫くはコロナと共存した社会様式が必要)という言葉がありますが、マンション管理組合でも新しいスタイルを模索する必要があります。慣れ親しんだやり方を好み、新しいことの導入を拒む勢力が一定数存在するため、平時に新しいスタイルを取り入れることは難しいのが現実ですが、新型コロナを経た現在の社会情勢はこれらを変える大きなチャンスです。

多くのマンションでは、緊急事態宣言で延期されていた理事会や総会が6月以降に組まれていくことになります。再開後初めての理事会で新たなスタイルの導入を提案してみてはどうでしょうか。

・会議開催方法 会議室へ集合する方法から動画(Zoom等)を併用する方法へ切替
・資料配布方法 紙に印刷して配布する方法から電子データ(PDF)の配信へ切替

同時に、新たなスタイルを実施するためにに必要となるノートパソコン、ビデオカメラ、Wifiルーターなどを管理組合の備品として購入できるよう総会に上程する予算案に入れておく必要があります。

現在の管理規約に抵触することがないよう注意を払い、従前のスタイルを望む区分所有者にも配慮しながら、少しずつ新しいスタイルを導入し浸透させていくことが求められます。

マンションの資産価値を維持する為には、いち早く新しい方法を取り入れる動きが必要となります。

2020年5月10日日曜日

緊急事態宣言延長

新型コロナウイルス感染拡大に対する緊急事態宣言は、2020年5月6日迄とされておりましたが、5月31日迄延長されることになりました。3月決算のマンションでは5月迄に総会を行うことになっているケースが多いので、5月7日から31日迄の間に定例の理事会及び総会の開催を予定しているマンションもあったと思われます。

法務省の見解によれば、理事会で決めれば総会を延期することは可能とされておりますので、重大かつ緊急の案件が無いのであれば、6月以降(解除後)に延期することが求められます。また、解除後に開催する場合でも、厚生労働省が注意を促す3密(密閉空間・密集場所・密接場面)には配慮が必要です。密閉された会議室に区分所有者が密集し密接して議論する理事会や総会は飛沫感染のリスクが極めて高い3密の典型になります。総会の実施に固執することで、マンション内にクラスター(集団感染)を発生させては本末転倒です。

今回の総会については、理事会が区分所有者に対し書面決議を促し、3密を避ける形で開催するのがベストです。「飛沫感染を防ぐため原則書面決議とする」旨を区分所有者に通知し、事前に定足数に足る決議行使書を回収しておけば総会は有効に成立します。(国土交通大臣指定のマンション管理適正化推進センターも同旨のQ&Aを出しております。)

一方、理事会としては、「原則書面決議」という閉鎖的な状況を補う施策も必要と思われます。現在の管理規約には規定されていないマンションが殆どだと思いますので、あくまで非公式ではありますが、ZoomやYou Tubeで総会を区分所有者へ配信しては如何でしょうか?今後、「Afterコロナ」、「Withコロナ」として不可欠なツールになる可能性もあります。

マンションの資産価値を維持・向上させる為には、Afterコロナ、Withコロナの社会を見据え、新たな試みを併用していくことが求められます。

2020年5月3日日曜日

苦情対応(緊急事態宣言)

2020年4月から5月にかけて、新型コロナウイルス感染拡大防止のため緊急事態宣言が発出されております。これに伴い、不要不急の外出を控えるよう要請があり、在宅勤務(テレワーク)が推奨されているため、普段は日中の時間帯自宅に居ない方も終日自宅に籠る状況になっております。

マンション内の苦情は、主要なものとして、タバコ・騒音・ペット等が挙げられます。感染症対策として換気が必要になるため、緊急事態宣言下では、近隣住戸からの生活音や、バルコニーや排気口から室内に流入するタバコの煙が気になりやすい状況にあります。

苦情の原因になるようなものは、管理規約の付属資料である使用細則(ルール)で定められております。具体的な規定が無い場合でも、迷惑行為を禁止する条項は入っておりますので、それを根拠に注意を促しましょう。但し、住民間で直接注意をするとトラブルになる可能性がありますので、管理会社を通じて間接的に注意をするのがベターです。管理会社が動いてくれない場合は、理事を通じて管理会社に申し入れるとスムーズに進みます。
※苦情の申入れ(区分所有者⇒理事⇒管理会社)

具体的には、管理組合発信の注意喚起文を管理会社に準備してもらい掲示するとともに、対象住戸に投函するのが効果的です。

マンションの資産価値を維持する為には、快適な居住空間を保つことが必要になります。

理事会の運営方法を工夫しよう!

2024年11月も最終週に入ります。今年も残り僅かですね。管理組合では常に様々な問題が発生しております。今年のうちに解決すべき積み残し案件については、速やかに進めて参りましょう。今回は理事会の運営方法について説明いたします。 理事会は1~2ヵ月に1回の頻度で役員(理事・監事)が一...