2021年8月28日土曜日

区分所有者が所有する範囲を確認する

 

2021年8月も終わります。東京で開催されているパラリンピックが終わればもう秋ですね。新型コロナウイルス感染拡大はまだ収まりそうにありませんが、管理組合としてできる基本的な対策は引き続き実施していきましょう。今回は「区分所有者」が所有する部分について、改めて確認していきます。

区分所有者とは「区分所有権を有するもの」(区分所有法第2条)と定義されており、マンション内の区画(住戸や店舗)を所有するものを意味します。所有しているのは自分の住戸区画(専有部)の他、エントランス、エレベータ、廊下、バルコニー、集会室、管理員室、各種設備など共有部も含まれます。(共有部は持ち分は専有部の面積比率によります。)

一般的に、「マンションを買った」というと、専有部のみをイメージしがちですが、実際は共用部を含んでいることを忘れてはいけません。専有部の維持管理にかかる費用は専らその区分を所有するものが担いますが、共用部の維持管理(清掃・点検など)にも相応のお金がかかっています。

私たち区分所有者は、毎月管理組合に数万円もの管理費を納めています。共用部の維持管理にかかるお金は、管理組合が区分所有者の皆様から毎月預かっている管理費の中から支払われています。区分所有者は、共用部の管理のために毎月管理組合に管理費を納めているのです。

区分所有者から預かったお金は、大枠を管理組合総会で決定し、管理組合役員(理事・監事)が具体的に管理運用しております。

区分所有者は専用部には関心が強い反面、共用部には殆ど関心がないように思います。管理も他人(役員)に任せきりで殆ど関与していないのが現実だと思います。しかし、共用部維持管理の費用は区分所有者が負担しています。

区分所有者には、共用部を維持管理する責任があります。「共用部も含め所有している」という意識をもって、何にどの程度の金額が使われているのか、関心を持つようにしましょう。

「共用部も含め所有している」という意識をもって主体的に管理に関与することで、マンションの資産価値を守っていきましょう!

2021年8月21日土曜日

管理規約の位置づけを考える

 2021年8月も下旬に入ってい行きます。4回目の緊急事態宣言は8月末までですが、新型コロナウイルスの新規感染者は増え続けています。ワクチンが行き渡るまで、管理組合としても引き続き感染拡大防止策を徹底していきましょう。今回は管理規約について説明致します。

マンションには年齢や職業が異なる様々な背景を持った区分所有者が住んでいます。彼らの利害を調整する根拠となるのが、管理規約(使用細則)になります。何か問題が起きた時はまず、管理規約(使用細則)を確認して、それに沿った形で対処することになります。いわば、マンションのルールブックと言えます。

マナー(ペット・騒音・タバコの煙)や、管理費滞納などの問題が生じた時の対応はもとより、緊急時の対応も管理規約に基づいて対応することになります。管理規約の冊子は分かりやすい場所に保管し、常に確認できる状態にしておきましょう。

一般的にマンション竣工時、デベロッパーが管理規約を定めた上でマンションを販売します。管理規約の冊子は、売主であるデベロッパーから、買主である区分所有者に引き渡し時に配布されていることが多いと思います。

しかし、内容についてはデベロッパーが全てを勝手に決めているわけではありません。ペットの飼育可否など販売に直結する部分について、地域特有の事情を踏まえて決めているに過ぎず、その殆どは国土交通省が公表している「標準管理規約」がベースになっています。

また、私たち区分所有者はデベロッパーが定めた原始規約に未来永劫拘束されることはありません。社会情勢の変化によって、人々の生活様式や価値観は変わってきます。管理規約(使用細則)も時代とともに変えていく必要があります。

例えば、ペット飼育可能として販売されたマンションであっても、飼育する人もマナーが悪すぎれば、総会決議によって飼育不可に変更となる可能性はあります。逆に、ペット飼育不可のマンションでも、社会情勢の変化に応じて、ルール詳細を使用細則に定めた上、飼育可能とすることもできます。

全区分所有者の議決権の3/4以上の賛成で管理規約は変更できます。

区分所有者の社会様式や価値観の変化に応じて管理規約を柔軟に変更することで、マンションの資産価値を守っていきましょう!

2021年8月14日土曜日

理事会の運営を工夫する

20201年8月も中旬に入っていきます。東京オリンピック(東京2020)は閉幕しましたが、新型コロナウイルスの新規感染者は緊急事態宣言下でも増えており、ワクチンの普及以外打つ手が無いようです。管理組合としても引き続き感染拡大防止策を徹底していきましょう。今回は理事会の運営について説明します。

理事会は1~2ヵ月に1回の頻度で役員(理事・監事)が一堂に会して行われます。役員は区分所有者が順番で就任しますので、それぞれの方の年齢や職業が違い、ライフスタイルもバラバラです。役員になったものの、土日が出勤である方や、介護をされている方、子供を抱えている方など其々事情を抱えた方が、一同に会し、長時間議論するのは難しい場合があります。

そのような状況で、理事会で効果的かつ効率的に合意形成を行うためには、工夫が必要です。前期から引き継がれた形式を踏襲する必要はなく、今期の役員が出席しやすいような日時に開催しましょう。土日に理事会を開催するケースが多いと思いますが、場合によっては平日の夜間に設定することも検討してみてください。また、コロナ禍ZoomなどWeb会議システムが普及しておりますので、介護や育児をされていてどうしても手が離せない方にはオンラインで参加頂けるようにする良いです。オンラインではれば、出張中の方や非居住も容易に参加できあます。

効果的かつ効率的に合意形成を図るためには、管理会社の協力が不可欠です。会議の場で初めて議案を知るようでは、議案の背景を知るのが精いっぱいで、有効な解決策を議論するには至りません。管理会社には少なくとも会議の1週間前までには参加者に資料を配布してもらうようお願いして下さい。参加者が事前に資料に目を通した上で会議に出席すれば、会議の場ではポイントのみを協議すれば足りますので、短時間で効率的に合意形成を図ることが可能になります。必要に応じて、事前の解説や根回しまで済ませておくとより効果的な結論を導くことができます。この点は管理会社の力量にもよりますが、協力頂けるよう依頼してみて下さい。

例年、欠席者もいる中で2~3時間かけて議論していた内容を、運営方法を工夫することで、全員参加の下、30分程度で合意形成を図ることができるようになります。事前準備が大事です。

理事会で効果的かつ、効率的に合意形成を図ることで、マンションの資産価値を守っていきましょう!

2021年8月7日土曜日

総会での合意形成に向け対応する

2021年も8月に入りました。東京オリンピック(東京2020)は明日閉幕となりますが、新型コロナウイルスは依然猛威を振るっており、新規感染者が増加しております。希望者にワクチンが行き渡るまでもうしばらくかかりますので、引き続き感染拡大防止策を徹底しましょう。今回は総会での合意形成について説明致します。

前回、「理事会の権限は区分所有者からの信頼にある」ことを説明致しました。それを踏まえ、総会で合意形成を図るためにはどのように対応すればよいでしょうか?総会には様々問題が話し合われます。決算承認・予算承認・役員選任など定例の議案は満場一致で承認されることも多いですが、区分所有者の利害が絡む案件は、総会が紛糾することも多いので対策が必要です。

例えば、管理規約の変更や、機械式駐車場の更新など、区分所有者の生活様式や積立金の値上げに関わる議案は丁寧に対応する必要があります。総会に出席する区分所有者は「物言う反対派」と「静かな賛成派」に大別されます。前者は多くの場合少数派(全体の1~3割程度)ですが、大きな声で延々と自説を主張し、議事進行を妨げます。後者は多数派(全体の7~9割程度)ですが、総会で自分の意見の述べることはなく、委任状や議決権行使書で静かに権利を行使する人が殆どです。総会に出席する「物言う反対派」の主張に引っ張られ、多くの区分所有者が反対しているかのような誤った感覚に陥ることも珍しくありません。

理事会は、マンションの資産価値を維持するため、長期に渡り議論してきた結果を総会に上程しますので、「静かな賛成派」の協力を得て、「物言う反対派」の妨害を阻止し、議事運営を円滑に進めていく必要があります。

「静かな賛成派」からの協力を得るためには、日頃から理事会の活動をオープンにしておくことが重要です。区分所有者には理事会の傍聴を認め、広報活動を通じて理事会で決めたことをこまめに報告するなどが考えられます。

「物言う反対派」の妨害を阻止するためには、日頃からアンケートなどを実施し、区分所有者の意向を把握しておくもとが重要です。

「物言う反対派」の主張が少数意見と分かっていれば、総会の場で大声で発言されたとしても、それに動揺したり惑わされたりすることなく、「静かな賛成派」の意向をベースに自信をもって却下することができます。

日頃から理事会の活動をオープンにし、「静かな賛成派」の支持を得ることで、マンションの資産価値を守っていきましょう!

理事会の運営方法を工夫しよう!

2024年11月も最終週に入ります。今年も残り僅かですね。管理組合では常に様々な問題が発生しております。今年のうちに解決すべき積み残し案件については、速やかに進めて参りましょう。今回は理事会の運営方法について説明いたします。 理事会は1~2ヵ月に1回の頻度で役員(理事・監事)が一...