2021年9月も最終週に入ります。新型コロナウイルス第5派もワクチン接種率の増加とともに収まってきました。ブレークスルー感染も散見されますので、第6波が生じないよう引き続き感染拡大防止に努めていきましょう。今回は機械式駐車場について説明します。
マンションは駐車用に十分な敷地を確保するのが難しいため、機械式駐車場が採用されるケースが多くみられます。機械式駐車場は、(多段方式・二段方式)と、「垂直循環方式・エレベータ方式」に大別され、全社は屋外、後者は屋内(タワーパーキング)に設置されます。
機械式駐車場は、メンテナンスにお金がかかります。竣工後間もないマンションでは定期点検の費用しか掛からないので、問題点に気付き難いです。しかし、竣工後10年を目安に故障が頻発するようになります。機械式駐車場は、細かな部品を組み合わせて作られているため、個々の部品が耐用年数を迎えるとその都度不具合が生じます。
不具合が生じると、部品の修理や、交換が必要になります。長期修繕計画で予定されているものであれば、特に大きな問題はないですが、計画にない(予期せぬ)修理や交換が続くと、管理費を圧迫することになります。この状況で、駐車場の稼働率(契約率)が下がると管理費が枯渇してしまいます。
多くのマンションでは、駐車所収入は一般会計で管理し、駐車場支出は積立金会計で管理しているため、機械式駐車場の収支を把握することが難しくなっています。利益を出しているのであれば問題ないのですが、損失を出している場合は、機械式駐車場の廃止を含め検討が必要になります。適切な判断を行うためには、機械式駐車場の収支表を作成し、区分所有者に共有することが求められます。収支表が無い場合は直ちに管理会社に作成を依頼して下さい。(駐車場収支の見える化が必要です。)
30年の収支は下記のような計算になります。(60台収納のタワーパーキングの例)
収入)約3億円<18,000円×12ヵ月×30年×80%(稼働率)×60台>
支出)約3億円<定期メンテナンス・修理代1億円+本体更新費用2億円>
稼働率の低下や、予期せぬ修理代の増加があり、収支バランスが崩れている場合は機械式駐車場の廃止を検討する必要があります。本体の更新時に慌てることが無いよう、駐車場収支の状況については、毎年の総会で区分所有者に報告し共有しておくことが望ましいです。
機械式駐車場の収支を正しく把握することで、マンションの資産価値を守って行きましょう!