2022年4月30日土曜日

自治会との違いを理解した上で相互に協力しよう

2022年4月も最終日。明日から5月に入ります。新型コロナウイスは新規感染者数がようやく減少傾向に転じましたが、多くのマンションでは、ゴールデンウイーク後に総会が開催されます。引き続き感染拡大防止策を徹底していきましょう。今回は、管理組合と自治会の違いについて説明します。

区分所有者からお預かりしているマンション管理費の中から、自治会費を支出しているマンションもあると思います。管理組合が自治会費を代理徴収しているに過ぎないのであれば良いのですが、管理組合の経費として支出している場合は問題があるので注意が必要です。

管理組合と自治会は、「対象者」、「目的」、「加入義務の有無」が異なります。

管理組合の対象者が「区分所有者」であるのに対し、自治会の対象者は「居住者」になります。

管理組合の目的が「資産価値維持向上」であるのに対し、自治会の目的は「地域コミュニティ形成」です。

管理組合は加入が「義務」であるのに対し、自治会の加入は「任意」とされています。

国土交通省は標準管理規約27条のコメントで、マンション管理費と自治会費を区分経理(明確に区別)することを求めています。区分所有者からお預かりしているマンション管理費の中から自治会費を支出すると、結果として自治会に加入したくない人からも強制的に自治会費を徴収することになるため、十分な配慮が必要です。

また、賃貸の場合、結果として非居住の区分所有者(賃貸人)に自治会費を負担させることが無いよう配慮が必要です。自治会は居住者(賃借人)に加入の意思を確認の上、自治会費を徴収する必要があるので、管理組合が代理徴収する場合はその点十分な配慮が必要です。

標準管理規約は、管理費と自治会のお財布を別にすることと、自治会費を強制徴収しないことを求めているのであって、管理組合と自治会の活動を分断することを求めているのではありません。管理組合としては、自治会とどのような関係を築いていけば良いのでしょうか?

其々の目的(マンション資産価値の維持向上・地域コミュニティ形成)が重なる部分で協力していくのがベストです。マンションは地域の中に存在するわけですから、地域コミュニティと関係が悪ければ、資産価値を維持することは難しくなります。一方、自治会は地域内に存在するマンションの居住者の多くが未加入の場合、地域コミュニティの形成は難しくなります。双方の目的を達成するために、お互いができる範囲で協力していきましょう。

管理組合としては、自治会費をマンションの会計とは完全に分けた上で、代理徴収には協力するというのも一つの方法です。

自治会との関係を理解し、相互に協力しあうことで、マンションの資産価値を守っていきましょう!

2022年4月23日土曜日

契約不適合(瑕疵)への対応は管理会社の属性がポイント

2022年4月も最終週に入っていきます。ロシアによるウクライナへの侵攻で、マンションにミサイルが撃ち込まれる映像を見ると心が痛みます。一日も早い終結を祈るばかりです。国内では新型コロナウイルス新規感染者数は下げ止まっておりますが、管理組合としては引き続き基本的な感染防止策を徹底していきましょう。今回は契約不適合(瑕疵)を発見した場合の対処方法について説明致します。

マンション竣工から10数年後に予定されている第1回目のだ規模修繕工事までの間には、どのマンションでも大なり小なり契約不適合(瑕疵)は必ず生じます。その時、管理組合がどのように対応するかによって区分所有者が負担するコストに大きな違いが生じるので注意が必要です。

売り主に対して責任を追及する根拠は、アフターサービス契約や、住宅の品質確保の促進に関する法律(品確法)が挙げられます。躯体10年、水回り5年、その他2年が一般的な保証期間です。しかし、この期間内に発見できるとは限りません。売主は期間を1日でも過ぎれば責任を回避します。売主としての責任が無いわけではありません。売主には完成品を引き渡す義務があるにも関わらず、それを果たせていない以上、管理組合は売主に対し、責任を追及する必要があります。保証期間が過ぎている場合、満額の請求は難しいかもしれませんが、その場合でも売主に補修費用の一部は負担させるべきです。管理組合と売主(デベロッパー)の交渉事になります。

交渉を進めていく上で、管理会社のサポートは欠かせません。但し、管理会社の属性によってサポートの仕方が全く異なりますのでその点留意して下さい。

・デベロッパー系管理会社(売主と資本関係あり)

・独立系管理会社(売主と資本関係なし)

デベロッパー系管理会社は、売主の子会社やグループ会社になります。顧客である管理組合より、親会社である売主の意向を優先します。管理組合が売主に責任を追及する場合、表向きは顧客の立場で売主に対峙しますが、実際は本気で売主を相手に交渉することはありません。従って、管理組合としては、売主と対峙するのではなく、売主グループとして管理会社に対し責任を追及するのが得策です。共用部を管理しているのは管理会社であるため、管理会社は管理組合に対し保証期間内に契約不適合(瑕疵)を報告する義務があります。それを怠ったことが保証期間を過ぎた原因であれば、その責任は管理会社にあります。管理委託契約の善管注意義務違反を根拠に管理会社に責任を追及し、売主グループ内で解決させるのが有効です。

独立系管理会社は、売主と資本関係はありませんので、売主に何ら遠慮する必要はありません。顧客である管理組合をサポートし、一緒に売主に対し責任を追及することは可能です。しかし売主の懐に入って交渉することは難しく、管理組合とともに試行錯誤で交渉していくことになります。独立系の管理会社と管理委託契約を締結する際は、契約不適合(瑕疵)への対応姿勢を予め確認し、管理組合の立場で一緒に闘ってくれるか確認する必要があります。「保証期間が過ぎているから難しいです。」という姿勢であれば、デベロッパー系管理会社と変わらず意味がありません。顧客(管理組合)のために、顧問弁護士を伴に売主に対峙する姿勢が求められます。

契約不適合(瑕疵)には、管理会社の属性を理解した上で、売主に責任を追及することで、マンションの資産価値を守っていきましょう!

2022年4月16日土曜日

機械式駐車場の稼働率を注視しょう

2022年4月も下旬に入っていきます。今年もコロナ禍での総会になりますね。総会前最後の理事会が開催され、総会に上程する議案の確認など、準備の真っ最中だと思います。新規感染者は下げ止まっていますので、油断せず感染症対策を続けましょう。今回は機械式駐車場について説明します。

機械式駐車場とは、限られたスペースに多くの車を駐車できるようにするための構造物です。可動式の構造物であるため、エレベータ同様、「使用するにあたり、常にメンテナンスが必要である」という特徴があります。点検や部品の交換、本体の更新に多額のコストが必要です。これらのコストは主に駐車場利用者から徴収する駐車場使用料で賄われていいます。

1990年代は車を保有する家庭が多く、自治体が付置義務(駐車場数の下限)を定めていたこともあり、分譲マンションには積極的に設置されておりました。2000年代に入ると、高齢化や若者の車離れが進み、車を保有しない家庭が増え、駐車場の契約数が減ってきました。

車の保有台数が減ったことにより、機械式駐車場に空きが増え、駐車場収入は減少する傾向にあります。一方で機械式駐車場のメンテナンスコストは空き区画の分も含め継続的に発生します。機械式駐車場メーカーやメンテナンス業者が淘汰されていることから、メンテナンスコストは増加の傾向が見られます。また、業者の統廃合により、今までと同じサービスが受けられないという問題も出てきています。

駐車場収入の減少と、メンテナンスコストの増加で、管理組合の収支が圧迫されている状況が見られるようになりました。空き区画とメンテナンスコストの問題を考えると、今後は、機械式駐車場の一部又は、全部を解体し、平置きの駐車場への変更も視野に入れる必要があります。

管理組合としては、駐車場の稼働率に注視して、駐車場収入とメンテナンスコストのバランスを確認する必要があります。駐車場収支が赤字になると一般会計から補填することになり、マンションの資産価値を押し下げてしまいます。メンテナンスコストを確保するためには、最低難題の契約が必要なのかを計算し、契約数がそれを下回った段階で、機械式駐車場の減築を検討しましょう。

稼働率に応じて機械式駐車場を減築することで、マンションの資産価値を守っていきましょう!

2022年4月9日土曜日

WEB会議を有効に活用しよう

2022年4月も中旬に入っていきます。新しい期がスタートしましたが、新型コロナウイルス第6波が収まる前に、第7派が始まった感じですね。これからはWithコロナを実践していく必要があります。今回はコロナ禍での理事会・総会のありかたについて説明致します。


直近2年はコロナ禍での総会になりました。今回も同じような状況で総会の時期を迎えそうです。3密を防ぐことが求められる中、標準管理規約42条3項に従って必ず5月中に総会を開催しなければならないのか?が論点になっています。やむを得ず人を集めて例年通りのスタイルで総会を開催した管理組合も多かったのではないでしょうか?

標準管理規約をよく読んでみると、リアルの会議室で開催することを義務付ける記述はなく、WEB会議システムを用いた会議を禁止する記述もありません。現状の管理規約を変えることなく、WEB会議システムを用いて3密を防ぐ形で総会を開催することは可能です。

それでも、パソコンや通信回線を所有しておらず、WEB会議システムを使用することができない方(IT弱者)がいる場合は、リアル会議の参加者数によっては3密を防ぐことが困難であったり、管理組合として新たにIT機器(WEB会議システムなど)を準備する必要がある一方、標準管理規約に、WEB会議を明文化されていない点で不安点な状況になっていました。

そこで、コロナ禍で総会を延期することはできいないか?が論点になりました。この点、「総会提出議案は理事会で決議する」とした標準管理規約54条四号を根拠に、理事会で通常総会の延期議案のみ決議すれば事実上延期することができると解釈することで、状況が落ち着くまで延期した管理組合もあったと思います。但し、総会の延期ができることを示す明確な記述はなく、曖昧さが残る不安定な状況でした。

そのような状況下、国土交通省の検討会で示された標準管理規約改正案では、理事会及び、総会は、WEB会議システムを用いた会議を含むことを明文化するとともに、感染拡大防止のために総会を延期できることも明文化しております。いずれも当然のことを敢えて明文化したに過ぎませんが、理事が安心して当然の判断を下せる点で優れた案だと考えております。

管理組合としては、これに留めるのではなく、非居住の区分所有者も容易に参加できる「WEB会議システムを用いた理事会」を、理事のなり手不足解決の手段として積極的に活用しましょう。

ヤル気のある非居住の区分所有者を取り込むことで、マンションの資産価値を守っていきましょう!

2022年4月2日土曜日

防災設備の特徴を把握し適切に維持管理しよう

2022年も4月に入りました。管理組合も新しい期が始まりました。これから前期の決算と今期の予算を取りまとめ、総会で承認を得ることになります。新型コロナウイルスはまん延防止等重点措置が解除されましたが、オミクロン株による新規感染者数は下げ止まっております。引き続き感染拡大防止策を徹底していきましょう。今回は防災設備について説明致します。

主な防災設備

・消防設備(スプリンクラー・ガス検知器・煙感知器)

・避難はしご

・非常用発電機

・免振装置(免振ゴム・オイルダンバー)

消防設備点検は通常年2回行われます。管理会社に委託された検査員が各住戸を巡回して、ガス検知器や煙探知機が正常に機能するかテストを行います。点検には各住戸に立ち入る必要があるため、在宅している必要があります。コロナ禍では在宅率は高いものの、検査員を入れることに不安を覚える方もいらっしゃると思います。マスク着用やこまめなアルコール消毒など、感染拡大防止策を徹底することで、点検を受けやすい環境を整えましょう。

有事に消防設備が正常に稼働しないと、周囲の住戸に多大な迷惑がかかります。点検を受けなかったことが原因で被害が拡大した場合、損害賠償責任を負わせてしまう可能性があります。都合によりどうしても受けられない方には、次回は必ず受けてもらうようにしましょう。

避難はしごはバルコニーに設置されており、高層階から地上まで安全に避難できる設備です。有事に備え、避難はしごが設置されている場所と、使用方法を確認しておく必要があります。避難はしごが設置されている場所を周知し、使用法用を説明する機会を作って下さい。避難訓練の際、実際に体験してもらうのも一案です。コロナ禍、使用方法の動画を配信するのも有効です。

非常用発電機は、オイルを燃料に電力を作る装置です。年1回はオイルの劣化具合を確認の上、実際に発電できるか稼働させてみる必要があります。メーカー推奨の耐用年数を超えても直ちに交換する必要はありませんが、定期的に点検を受けることは必須です。

免振装置は高層マンションに設置されております。耐用年数は建物に準じますので、竣工時に適切に設置されていれば、劣化などの心配はありません。但し、東洋ゴム製の免振ゴムや、カヤバ製のオイルダンパーは、メーカの検査データ偽装が社会問題になりましたので、東洋ゴムやカヤバの製品が使われている場合は注意が必要です。交換を要求しましょう。

主な防災設備の特徴を正しく把握し、適切に維持管理することで、マンションの資産価値を守っていきましょう!

理事会の運営方法を工夫しよう!

2024年11月も最終週に入ります。今年も残り僅かですね。管理組合では常に様々な問題が発生しております。今年のうちに解決すべき積み残し案件については、速やかに進めて参りましょう。今回は理事会の運営方法について説明いたします。 理事会は1~2ヵ月に1回の頻度で役員(理事・監事)が一...