2020年4月26日日曜日

総会の開催が困難な場合(緊急事態宣言)

国土交通省が公表している標準管理規約では、「理事長は、通常総会を、毎年1回新会計年度開始以後2ヵ月以内に招集しなければならない。(第42条)」とされております。3月決算のマンションでは5月中に総会を開催しなければならないことになります。一方、2020年4月から5月にかけて新型コロナウイルス感染拡大防止策として、政府が全国に緊急事態宣言を発出し、不要不急な外出や、3つの密(密接空間・密集場所・密接場面)を避けるよう要請しています。

このような状況下、理事会ではどのように対応すればよいのでしょうか?急ぎの案件ある場合とない場合で、以下の2点が考えられます。

【急ぎの議案がある場合】
・総会を開催し区分所有者各位には書面による議決権行使を即す。
標準管理規約では、書面による議決権行使が認められておりますので(46条4項)、実際に開催場所に集う人を限定(理事長と管理会社のみ)した上で、開催する方法もあります。招集通知にアンケート用紙を同封し、議事録と一緒にアンケートの回答を載せるなど、区分所有者の参加意識を高める配慮をすれば、特に問題なく実施できると思います。

【急ぎの議案がない場合】
・状況が解消するまで総会を延期する。
標準管理規約では、総会提出議案は理事会で決議する(54条4項)とされておりますので、通常総会の議案として理事会が開催延期議案のみ決議する体裁とすれば、実質的に総会を延期することができると考えられます。(法務省も同様の見解を出しています。)

総会は多くの区分所有者が集会室等の密接空間で密集・密接して議論します。新型コロナウイルス感染拡大防止の観点からは、状況が解消するまでは開催を避けるべきです。

マンションの資産価値を維持するためには、理事会が状況に合った適切な判断をすることが必要になります。(特に緊急時の対応)

2020年4月19日日曜日

感染症対策(緊急事態宣言)

2020年に新型コロナウイルスが世界的に感染拡大したことにより、日本でも同年4月に緊急事態宣言が発出されました。管理組合としても、管理会社と協力して積極的に感染症対策に取り組んで行く必要があります。居住者の皆様に注意喚起の掲示を行い、マンション内での集団感染防止を図りましょう。

居住者、スタッフ(フロント・清掃・点検等)の安全確保
・除菌の徹底(インターホンやエレベーターのボタン、ゴミ捨て場のドアノブ等)
・スタッフの時差出勤、勤務時間変更(体調不良時の出勤見合わせ)等
・住戸内に立ち入りが必要な点検の延期
・理事会、総会の開催延期

マンションには厚生労働省が注意喚起している3つの密(密閉空間、密集場所、密接場面)が多く存在します。人が直接手を触れる箇所(インターホン、エレベーター、宅配ボックス、手すり、ドアノブ)の清掃強化(除菌スプレーを使用した拭き掃除など)が必要です。又、外部からマンション内に菌が流入すること防ぐため、スタッフの勤務体系の見直し(時差出勤など)や、体調不良時の出勤見合わせも必要です。更に不要不急の点検を延期するなどの配慮も必要です。特に3月決算のマンションでは4月下旬から6月上旬にかけて理事会や総会(決算・予算承認)が予定されておりますので、管理組合として、「3つの密」の典型的事例である理事会・総会の延期の決断も必要になります。

マンションの資産価値を維持するためには、緊急時に適切な対応を取ることで、マンション内外からの信頼を高めることが必要になります。

2020年4月12日日曜日

役員選任

役員の選任は(3月決算のマンションの場合)5月~6月に実施される総会で行われます。3月~4月の理事会で管理会社から「次期の役員(理事・監事)をどうするか?」打診があります。現役員が全員留任を希望すれば良いのですが、任期満了を以って退任を希望される方がいる場合は、区分所有者から立候補を募るか、輪番表から候補者を選ぶかの方法で決めていくことになります。順調に決まるマンションもありますが、多くは難航したり揉めたり紆余曲折があると思います。総会直前ではなく早めに準備を進めましょう。

総会で次期役員選任案が承認されることで正式就任となります。6月以降新役員による最初の役員会が開催されます。理事は区分所有者の信任を受け業務執行を担当します。理事の互選で理事長・副理事長・会計担当理事などの役職を決めます。一方、監事は会計処理や理事の業務執行が適切に行われているか監査する役割を担います。新任理事が適切に業務執行を行うためには、前任者からの引継ぎが重要になります。第1回目の理事会には前任者にも出席頂き引継ぎを受けるのも一案です。

新任の理事は最初の半年は手探りで進めて行き、年末から年明けにかけようやく慣れてくる頃に任期満了となります。慣れない理事ばかりの理事会は管理会社が主導権を握ることになりますので、その点は注意が必要です。理事の業務執行の多くは、管理会社を使って進めていくものになりますので、理事が管理会社の言いなりになる構図は避けねばなりません。理事が管理会社を指導監督し、適切に業務執行を行っていくためには工夫が必要です。理事の任期を2年にし、毎年半数を改選することで継続性を維持するのも一案です。

マンションの資産価値を維持するためには、役員の選任方法や前任者からの引継ぎ方法を工夫することで、継続性を維持し、理事会を有効に機能させることが必要となります。


2020年4月5日日曜日

決算について

多くのマンションでは会計期間を4月1日~3月31日に設定しています。決算書類は、一般会計と修繕積立金会計に分かれており、其々に決算書(貸借対照表・収支報告書)を作成(管理会社が案を作成)します。決算書案を年1回の総会(5月頃開催)に上程するにあたり、監事と理事が事前にチェックを行います。先ず監事が決算書及び伝票を精査(監査)し、監査報告書を作成します。それを受け、理事が理事会で決算書をチェックした後、総会に決算書と監査報告書を上程し、決算の承認を受ける流れになります。

※チェックのポイント
貸借対照表(3月31日時点の財産の状況)⇒「預金」・「未収金」
収支報告書(1年間のお金の使い方を記載)⇒「予算」との比較

「預金」不正が起きやすい項目になります。区分所有者の皆様からお預かりしているお金を管理会社が流用する可能性も否定できません。銀行から残高証明書(通帳のコピーでも可)し、貸借対照表に記載されている金額と一致していることを確認して下さい。

「未収金」がある場合は内容を詳細に確認して下さい。一部区分所有者による管理費の未払であることが多いです。何らかの事情があって1~2ヵ月支払が遅れることはあると思いますが、長期化すると回収が困難になりますので、3ヵ月以内には必ず回収して下さい。

「予算」は前回の総会で承認されていますので、予算と乖離する支出がある場合は内容を確認して総会で説明する必要があります。不具合(漏水等)への緊急対応で想定外の工事が必要になった場合などが該当しますが、管理会社の無駄遣いであれば是正が必要です。

総会では理事や監事が区分所有者から説明を求められる立場になりますので、チェックの段階で不明点や疑問点があれば、納得できるまで管理会社に確認することが必要です。

決算は区分所有者からお預かりしているお金の残高や使い方を確認する重要な機会です。使い込みや無駄遣いがあると、マンションの資産価値が損なわれます。マンション資産価値を維持するために、決算書をチェックし、決算が適切に行われていることを確認しましょう。

理事会の運営方法を工夫しよう!

2024年11月も最終週に入ります。今年も残り僅かですね。管理組合では常に様々な問題が発生しております。今年のうちに解決すべき積み残し案件については、速やかに進めて参りましょう。今回は理事会の運営方法について説明いたします。 理事会は1~2ヵ月に1回の頻度で役員(理事・監事)が一...