2020年10月31日土曜日

管理費等の負担割合(複合型)

 

2020年10月も今日で終わり、今年も残すところ2ヵ月となりました。新型コロナウイルスの感染状況は予断を許しませんが、感染拡大防止策を万全に行い、管理組合活動をしていきましょう。今回は複合型(住宅・店舗)の管理費・修繕積立金の負担割合について説明致します。

管理費・修繕積立金の負担割合は管理規約に記載されております。専有部分の床面積の割合をベースに定められています。(区分所有法14条1項)普段生活している際はあまり意識することはありませんが、大規模修繕工事の見積書取得のタイミングで問題になることがあります。

見積書の金額が想定を大きく超えていたため、内容を精査したところ、店舗前にアーケードのような形で設置されている庇(ひさし)の修繕に大掛かりな足場の設置が必要になるため、全体の金額を押し上げていることが判明しました。アーケード状の庇の設置場所は共用部であるため、管理規約に特段の定めがない限り、専有部分の面積割合で負担することになります。

住宅の区分所有者の立場からすると、アーケード状の庇は商業設備になりますので、床面積の比率を根拠に、当該修繕費の大部分を負担することは、抵抗があります。一方、店舗の区分所有者の立場からすると、庇は集客をする上で重要な設備なので、一定のお金をかけて修繕したいものの、共用部に設置されている以上、住宅の区分所有者の同意なしに修繕はできません。

負担割合を床面積の割合と異なる比率とする場合は、「形状、面積、位置関係、使用目的及び利用状況並びに区分所有者が支払った対価その他の事情を総合的に考慮して、区分所有者間の利害の衡平が図られるように定めなければならない。(同30条3項)」とされております。

この問題は、アーケード状の庇の管理について特段の定めが無い点で、管理規約の不備が原因と考えられます。住宅側と店舗側で協議し、管理規約に負担割合の規定を設ける必要があります。

マンションの資産価値を維持するためには、管理規約の不備を放置せず、実情に合わせて都度改定する必要があります。

2020年10月24日土曜日

大規模修繕工事(施工業者の選定)

 

2020年10月もあと1週間。新型コロナウイルスに加え、インフルエンザの流行期に入りますので、感染症対策を万全にした上で、管理組合活動を続けて参りましょう。今回は大規模修繕工事における、施工業者の選定方法について説明致します。

日常修繕であっても、業者を選ぶ際は相見積もり(複数の業者から見積書を取得してマンションにとって最もコストパフォーマンスが良い業者を選ぶ)をするのが基本です。大規模修繕工事の場合は、億単位のお金が動くため、区分所有者からお金を預かる管理組合としては、適正な金額で実施できるよう、施工業者の選定は適正な競争(コンペ)を経て行う必要があります。

大規模修繕工事には巨額お金が絡むので、関係業者(管理会社、設計監理会社、施工業者)の間で、「談合」が行われ「リベート」が支払われることが多いと言われております。施工業者の選定に影響力を持つ設計監理会社に対し施工業者が「リベート」を支払ったり、設計監理会社の選定に影響力を持つ管理会社に対し設計監理会社が「リベート」を支払う可能性は大いにあります。

「リベート」の原資が私たちマンション管理組合が区分所有者から預かっている管理費や修繕積立金であることは言うまでもありません。

施行業者選定の方法を設計監理会社に丸投げしてはいけません。設計監理会社は自らに都合の良い「見積参加条件」を設けることで、自らが首謀する「談合」に賛同しない業者を排除している可能性があります。

「談合」に賛同しない業者を1社でも見積に参加させることができれば、「談合」は成立しません。設計監理会社に選定の大枠を任せる場合でも、設計監理会社が外した業者のうち数社を追加で見積に参加させるなど、管理組合として「談合」を牽制する努力は必要です。また、設計監理会社に「リベートは一切受け取らない」旨の誓約書を提出させることも牽制になります。

マンションの資産価値を維持するためには、大規模修繕工事の施工業者を選定するにあたり、適正に競争原理を働かせる必要があります。

2020年10月17日土曜日

ペットの飼育

2020年10月も半分が過ぎました。新型コロナウイルス感染者数も再び増加傾向にあり、第3波の到来が心配されます。感染予防対策を十分取った上で、組合活動を行っていきましょう。今回はペットの飼育について説明致します。

近年ペットを飼う人が増えてきていることを受け、マンションでも対応が少しずつ変わってきています。国土交通省のマンション総合調査(2018年)(163ページ参照)によると、飼育を容認しているマンションが49.3%に対し、禁止しているマンションが40.3%となっております。1999年迄は飼育禁止のマンションの方が多数派でしたが、2000年を飼育を容認するマンションの方が多くなっております。

このような社会情勢の変化を受け、マンションの資産価値維持・向上の観点からは、使用細則でルールを定めた上で、管理規約でペットの飼育を容認することが望ましいと考えます。

・飼育条件⇒犬、猫、観賞用の小鳥・魚類など種類と、1住戸あたりの飼育数を定める。

・遵守事項⇒飼育場所は専有部分内のみとし、専有部分を出る際は専用の容器に入れる。

・飼育届出⇒「ペット飼育承認申請書」を管理組合に提出し、理事会の承認を得る。

・罰則⇒他の居住者に迷惑を及ぼす場合は、警告・指示・勧告・承認取消を行う。

このような運用することで、ペットを飼いたい人、動物が苦手な人、其々が安心して居住できる環境を整えることができます。

マンションの資産価値を維持するためには、動物が苦手な居住者に配慮したルールを制定し、飼育者にルールを遵守してもらうことが必要となります。

2020年10月10日土曜日

インターネット掲示板

 

2020年10月も中旬に入り気温が大分下がって来ました。新型コロナウイルスが終息しない中、インフルエンザの流行期が近づいています。早めにワクチンの予防接種を行い対策を強化して下さい。今回はインターネット掲示板について説明致します。マンションには多くの連絡・注意・周知があり、印刷物をエントランスやエレベータ内に掲示したり、各戸に投函することで行っています。

掲示は詳細を把握することが難しく、投函は全戸分を印刷する手間とコストがかかるという欠点があります。これを補完するためのコミュニケーションツールがインターネット掲示板です。掲示を直ちに廃止することは難しいですが、インターネット掲示板を併用することで、効率的かつ効果的に連絡・注意・周知の目的を達成することができます。

インターネット掲示板の主な機能

掲示板⇒区分所有者や賃借人が掲示物をインターネット上で確認することでより詳細を把握することが可能となり連絡・注意・周知の効果が上がる。紙資料が減りコストを削減できる。

意見箱⇒区分所有者や賃借人から管理組合へ要望や質問がしやすくなる。(意見収集)

書庫⇒管理規約・議事録を必要な時に確認することができ、紙資料の保管整理が不要になる。

スケジュール⇒年間行事や大規修繕工事の流れをいつでも確認することができる。

「必要な情報を必要な時に確認できる」のがインターネット掲示板の最大の特徴になります。また、インターネット掲示板を介して情報をやり取りすることで、電話番号やメールアドレス等の個人情報を管理会社や他の区分所有者に公開する必要も無くなるので、プライバシーやセキュリティ保護の観点でもメリットがあります。

インターネット掲示板の具体的なサービス事例としては、国土交通大臣指定のマンション管理適正化推進センターが運営する「マンションみらいネット」(年間使用料2万円)の他、ニュースビット社が運用する「マンボー」(使用料無料)が挙げられます。

マンションの資産価値を維持するためには、プライバシーやセキュリティに配慮しつつ、効率的かつ効果的な情報伝達(連絡・注意・周知・意見収集)が求められます。

2020年10月3日土曜日

管理委託契約書

 

2020年も残り3ヵ月になりました。Withコロナの新しい生活様式を取り入れて行きましょう。今回は管理委託契約書について説明します。これは管理組合と管理会社の間で結んでいる契約書になります。管理組合が管理会社に委託している業務の内容が記載されております。管理組合は管理会社に対し、毎月定額の管理委託費を支払っております。毎月どれほどの金額が支払われているのか?支出に見合ったサービスの提供を受けているか?確認しましょう。

国土交通省がマンション標準管理委託契約書を公表しています。殆どのマンションではこれを雛型に作成しておりますので、先ずは、標準管理委託契約書を確認し、その上で自分たちのマンションの契約書の写しを取り寄せ内容を比較するとより理解が深まります。標準管理規約と内容が異なる部分があれば、管理会社にその理由を確認しましょう。

管理事務の内容及び実施方法(第3条)として、事務管理業務、管理員業務、清掃業務、建物・設備管理業務の4つの内容が別表にまとめられています。契約書の内容通りに実施されているか一つづつ確認しましょう。実際には実施されていない業務が含まれている場合は、必ず実施してもらうか、管理委託費の減額を要求しましょう。

緊急時の業務(第8条)として、災害又は事故時は管理組合の承認を受けることなく業務を実施することができる(事後報告は必要)旨規定されています。「理事と連絡が取れなかったので適切な対応ができませんでした」などの言い訳がでできないようになっているので、理事会から管理会社に対し、緊急時は管理委託契約に基づいて適切に対応頂くよう日頃から確認しておくことが重要になります。

有害行為の中止要求(第11条)として、規約に反する行為や他の区分所有者に迷惑をかける行為については、管理組合に代わって注意喚起できる旨規定されています。ペット、騒音、タバコなどマンションでは様々な迷惑行為が発生します。これら一つづつについて理事会の承認が無ければ注意喚起できないとすれば、対応が遅れ大きな問題になります。理事会から管理会社に対し、迷惑行為については管理委託契約に基づいて適切に対応頂くよう日頃から確認しておくことが重要になります。

管理規約の情報提供等(第14条)として、宅地建物取引業者の求めに応じて管理規約や滞納情報、修繕情報を提供できる旨が規定されています。これは区分所有者がマンションを売却する際必要なことですが、この情報はマンションの資産価値に影響を与えるため、注意が必要です。管理会社が宅建業者にどのような情報を提供しているのか管理組合としてきちんと把握する必要があります。宅建業者に提供する情報は理事会で予め確認しておきましょう。

マンションの資産価値を維持するためには、理事会が管理委託契約書の内容を正しく理解し、管理会社に対し適切に運用して頂くよう求めることが重要です。

理事会の運営方法を工夫しよう!

2024年11月も最終週に入ります。今年も残り僅かですね。管理組合では常に様々な問題が発生しております。今年のうちに解決すべき積み残し案件については、速やかに進めて参りましょう。今回は理事会の運営方法について説明いたします。 理事会は1~2ヵ月に1回の頻度で役員(理事・監事)が一...