2020年10月も今日で終わり、今年も残すところ2ヵ月となりました。新型コロナウイルスの感染状況は予断を許しませんが、感染拡大防止策を万全に行い、管理組合活動をしていきましょう。今回は複合型(住宅・店舗)の管理費・修繕積立金の負担割合について説明致します。
管理費・修繕積立金の負担割合は管理規約に記載されております。専有部分の床面積の割合をベースに定められています。(区分所有法14条1項)普段生活している際はあまり意識することはありませんが、大規模修繕工事の見積書取得のタイミングで問題になることがあります。
見積書の金額が想定を大きく超えていたため、内容を精査したところ、店舗前にアーケードのような形で設置されている庇(ひさし)の修繕に大掛かりな足場の設置が必要になるため、全体の金額を押し上げていることが判明しました。アーケード状の庇の設置場所は共用部であるため、管理規約に特段の定めがない限り、専有部分の面積割合で負担することになります。
住宅の区分所有者の立場からすると、アーケード状の庇は商業設備になりますので、床面積の比率を根拠に、当該修繕費の大部分を負担することは、抵抗があります。一方、店舗の区分所有者の立場からすると、庇は集客をする上で重要な設備なので、一定のお金をかけて修繕したいものの、共用部に設置されている以上、住宅の区分所有者の同意なしに修繕はできません。
負担割合を床面積の割合と異なる比率とする場合は、「形状、面積、位置関係、使用目的及び利用状況並びに区分所有者が支払った対価その他の事情を総合的に考慮して、区分所有者間の利害の衡平が図られるように定めなければならない。(同30条3項)」とされております。
この問題は、アーケード状の庇の管理について特段の定めが無い点で、管理規約の不備が原因と考えられます。住宅側と店舗側で協議し、管理規約に負担割合の規定を設ける必要があります。
マンションの資産価値を維持するためには、管理規約の不備を放置せず、実情に合わせて都度改定する必要があります。