2020年11月28日土曜日

玄関扉の鍵(ケーススタディ)

 

2020年11月も最終週になりました。気温と湿度の低下を受け、新型コロナウイルスの感染拡大が止まりません。感染拡大防止策を強化してマンション内クラスターを防ぎましょう。今回は玄関扉の鍵について説明致します。

居住者から玄関扉の鍵のスペアについて相談を受けたり、賃貸オーナーから鍵穴(錠)の交換についての相談を受けることがあると思います。玄関扉は共用部に接しているため本体は共用部ですが、錠と内部塗装は専有部となります。(標準管理規約7条)従って、鍵穴や鍵を交換したりスペアを作る場合は区分所有者の責任と費用で行うのが原則です。

賃借人から質問があった場合は、先ず、区分所有者である賃貸オーナーに相談し承諾をもらうようお伝え下さい。区分所有者から直接質問があった場合は、錠は専有部であることを説明し、ご自身の費用で実施頂くようお伝え頂くことになります。但し扉本体は共用部になりますので、区分所有者が独自にできるのは、鍵穴(錠)の交換のみであり、鍵穴(錠)を追加するなど、扉本体を変更する工事を行うことはできません。(スマートロックのように工事を要せず扉の内側に張り付けるだけであれば許容範囲でしょう。)

マンションの鍵はエントランスのオートロックを兼ねているものもあります。錠が専有部であったとしても、オートロックは共用部になりますので、管理組合としてはセキュリティにも気を配る必要があります。区分所有者から相談があった場合は、正規メーカー(MIWAGOALClavisなど)の代理店を紹介し、必ず純正品を作成してもらうようにして下さい。正規メーカーはマンションごとに情報を管理し、複製依頼があった場合は厳格に本人確認をに行うなどセキュリティ対策を万全に行っておりますので、マンションのセキュリティは確保できます。

マンションの資産価値を維持するためには、管理規約を正しく理解した上で、セキュリティ対策など付随的な部分にも気を配る必要があります。


2020年11月21日土曜日

個人情報保護

 

11月も後半に入り、新型コロナウイルスの新規感染者数が連日過去最高を更新する状態になっております。管理組合の皆様におかれましては、マンション内クラスターを生じさせないよう感染拡大防止策を徹底頂くようお願い致します。本日は個人情報保護について説明致します。

2015年に個人情報保護法が改正され、2017年5月30日より、マンションも同法の対象になっております。個人情報とは生存する個人を特定できる情報のことを指します。マンションでは各種名簿や議事録などが該当致します。各種議事録などが該当致します。

管理組合としては、通常の業務を行う上で、個人情報を頻繁に扱うことになります。災害時の緊急連絡、消防設備点検、排水管清掃、駐車場の申込、専有部分の貸与、滞納の督促など多くの業務で個人情報を取り扱います。個人情報なしでは管理組合の業務は成り立ちません。

個人情報保護法第18条では、個人情報を取得した場合、その利用目的を本人に通知又は公表することが規定されております。しかし、個人情報を取得する都度本人に通知することは非常に煩雑で通常業務が成り立ちませんので、あらかじめ利用目的を公表しておく必要があります。

【公表例】当マンション管理組合は、届け出により取得した個人情報は以下の目的で利用し、届出者の承諾なしに第三者に開示することはありません。

・理事会議事録の送付や総会招集の案内、議事録の送付、そのた管理組合の連絡

・災害時の緊急連絡

・その他、管理組合が、法令・規約に基づいて行う業務

但し、次の売場合は除きます。(本人の同意がある場合、警察など官公署からの要請の場合、法律の適用を受ける場合)

このようにルールを定め、あらかじめ公表しておくことによって、ほぼすべての管理組合業務は従前と同様に行うことができます。同法への抵触リスクを都度考慮するなどの煩わしさは無くなります。

また、管理組合としては個人情報保管に気を付ける必要があります。(紙の資料は鍵を付けて保管し、データにはパスワードを付けて保管し、不要になった情報は都度消去するなど)

個人情報は、利用目的の開示及び、保管を徹底すれば、特に恐れることはありません。

マンションの資産価値を維持するためには、個人情報保護法を理解し適切な措置を講じた上で、管理組合活動を行う必要があります。

2020年11月14日土曜日

エレベータのメンテナンス費用

2020年11月中旬に入り新型コロナウイルスの新規感染者が急激に増えて参りました。第3波はどれほどの規模になるか現時点では分かりませんが、感染拡大防止策を行っ上で管理組合の活動を行って行きましょう。今回はエレベータのメンテナンス費用について説明致します。

エレベータは殆どのマンションについています。70~100戸を超えると2基設置されていることが多いです。居住者の安心と安全を確保するために日々のメンテナンスは欠かせません。管理組合としては、安全を確保した上で、メンテナンス費用を抑える施策を考える必要があります。

我が国のエレベータ市場は三菱・日立・東芝の3社で80%以上を占めており、これにオーチス・フジテックを加えた5社でほぼ独占している状況です。これらの「メーカー系」メンテナンス会社は他社製エレベータのメンテナンスを事実上行っておらず、メンテナンスサービスについては競争原理が働きにくい状況があります。メンテナンス費用は1基あたり月額5万円程度掛かっており高止まりしております。

競争原理を働かせるためには、メンテナンスを専業とした「独立系」メンテナンス会社への変更を視野に入れる必要があります。経験や実績は「メーカー系」と同等であり安全性に問題があることはありません。メンテナンス費用は1基あたり月額3.5万円程度に抑えることができます。(メーカー系に対し少なくとも30%程度抑えることが可能)

エレベータメンテナンスの契約形態には「フルメンテナンス契約」と「POG(パーツ・オイル・グリース)契約」があります。前者は点検時の消耗品費に加え、修理代や部品代も含む契約であるのに対し、後者は消耗品のみを含む契約になります。竣工から日が浅いマンションでは故障することが少ないのでPOG契約で十分ですが、竣工後10年以上経過するマンションではフルメンテナンス契約の方が得な場合もあります。費用総額は部品交換の頻度によりますので、どちらが有利か一概に言うことはできません。

「メーカー系」は競争原理が働かない点が最大の問題点なので、先ずは現在のサービス内容(点検頻度など)で「仕様書」を作成し、複数の「独立系」から見積書を取得することをお勧めします。同じ条件でコストが抑えられるのであれば、変更を躊躇する必要はありません。

マンションの資産価値を維持するためには、コストに見合ったサービスを受ける必要があり、エレベータのメンテナンスについても同じことが言えます。


2020年11月7日土曜日

専有部分と共用部分

 

2020年も11月に入りました。気温と湿度が下がって来ましたので、感染拡大防止策を強化し管理組合活動を行いましょう。今回は専有部分と共用部分の境界について説明致します。

管理や工事の費用負担の観点からも、重要な論点になります。各マンションによって考え方は異なりますが、一般的には、国土交通省が公表しているマンション標準管理規約に準拠して決めていることが多いです。先ずは、管理規約でどのように規定されているか確認が必要になります。

標準管理規約第7条(専有部分の範囲)

2 前項の専有部分を他から区分する構造物の帰属については、次のとおりとする。

一 天井、床及び壁は、躯体部分を除く部分を専有部分とする。

二 玄関扉は、錠及び内部塗装部分を専有部分とする。

三 窓枠及び窓ガラスは、専有部分に含まれないものとする。


※マンション専有・共用区分図の例(国土交通省「マンション管理標準指針」69ページ)


バルコニー・窓ガラス・玄関扉は共用部分に帰属することになっております。従って管理や工事の費用負担は管理組合になるのが原則です。バルコニーの防水工事や玄関扉の交換工事は、一般的に長期修繕計画に含まれ、大規模修繕工事の際、管理組合の積立金で行います。

一方、これらは管理規約で専用使用部分として規定されているため、日常管理は区分所有者が行うことになります。窓ガラスや網戸の破損は日常管理の位置づけで、専用使用権を有する区分所有者の費用で行うのが一般的です。

マンションの資産価値を維持するためには、専用部分と共用部分の境界及び、共用部分に認められた専用使用権に基づき、適切に日常管理を行うことが必要になります。


理事会の運営方法を工夫しよう!

2024年11月も最終週に入ります。今年も残り僅かですね。管理組合では常に様々な問題が発生しております。今年のうちに解決すべき積み残し案件については、速やかに進めて参りましょう。今回は理事会の運営方法について説明いたします。 理事会は1~2ヵ月に1回の頻度で役員(理事・監事)が一...